体を鍛え、心を正すスポーツ

仲間意識と、続けることの大切さを学んで


 上海の中学・高校では、柔道や空手など、日本の格闘技に興味を持つ生徒が増えている。その流れのひとつが、日本国際親善空手道連盟「闘真会館」が、上海甘泉外国語中学校と提携して開いた空手教室だ。11月17日(金)、その授業風景を覗いてみた。

楽しくも、厳しく

 約300平米の全面床の道場に、道着をまとった生徒達がずらりと3列に並ぶ。その前で、「一分間黙想!」と叫ぶのが、闘真会館から派遣された増尾勇一指導員だ。
 闘真会館は1984年に設立、現在は海外5カ国に支部を持つ。中国への初進出は3年前で、上海が選ばれた。この時日本から派遣されたのが増尾さんだ。増尾さんの同館入門は4歳。高校生で黒帯を取り、7年前には黒帯二段になって、指導員の資格も得た。
 「海外での指導は挑戦でした。言葉が伝わらず、最初は苦労も多くて」進出当時の様子を、増尾さんは振り返る。当初は通訳もいたが、自分の言葉で伝えたいと、中国語の授業に参加するようになる。
 「日本との違いは、楽しさを心がける点。生徒の多くは初心者なので、まず空手を好きになって欲しい。もちろん厳しさも必要ですが」今は通訳なしで指導する増尾さんは、さじ加減の難しさをそう話す。

道場は全面床。全面タタミにする予定だったが、許可が下りなかった。扉は、横に開く日本式。

しつけからやる指導
 右手の拳を左手で隠し、生徒達が整列する。授業はこの姿勢で始まり、終わる。道場にはそんな厳粛な空気がある。
 「中国と日本では、子供のしつけ方も違うようで……まずはそこからやってます(笑)。今の子どもはすぐ挫折しがちですが、仲間意識を育み、続けるよう指導していきたい」そんな増尾さんの言葉には、教師としての責任感があった。

組み手はフルコンタクトで、形は糸東流だが、授業はまだ基本段階。生徒には日本人も少なくない。

闘真会館道場は、上海甘泉外国語中学校内にある。
問い合わせは136‐8173‐0077。

~上海ジャピオン11月24日発行号より

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