手打ちの味がつなぐ人と人

最高の原料で、本物のそばを上海に広めたい


 寿司、うどん、お好み焼き――上海に溢れる日本食の影には、食文化を伝える人たちの努力がある。〝そば屋を出す人への応援〟と銘うつ「大江戸そば教室」もそのひとつだ。
 日本では、お父さんの趣味としても人気のそば打ちだが、上海ではどうだろう。同教室の経営者・土肥さんに聞いた。

最高の材料で最高の味を

 「そば粉を時計版に見立てて、5分間隔で麺棒を回しましょう」生徒にそう教えているのが土肥さんだ。教室は自宅のリビングで、テーブル上にはそば打ち板が三枚並ぶ。
 土肥さんがそば打ちを習い始めたのは16年前。その翌年上海を訪れた際、本物のそばをこの地で広めたい、という思いを抱いた。2年前から本格的にそば打ちを教え始め、ことし10月から、上海日本人学校と提携し、「大江戸手打ちそば教室」をオープンした。
 「最初はボランティアも同然でしたが、人も増えて今は100人近い生徒がいます」
 使用する材料や道具は、すべて土肥さん自身が日本から手持ちで仕入れて来る。飛行機だと重量オーバーになるので、船で来る時もしばしば。「最高の材料がないと、最高に味はできませんから」土肥さんは職人の顔でそう語る。

生徒のレベルは、初心者からセミプロまで幅広い。国籍も、日本人もいれば、中国人もいる。

そばの味が作る人間関係
 生徒にはそば屋の経営を目指す人も多い。そして彼らのサポートが土肥さんの目的だ。
 「本当に美味しいそばを上海に広めたいんです。それはひとりではできません。人との触れ合いや交流という関係を、大事にしていきたいです」
 僕のそばを食べた人はまた食べたくなる、そう自身で語るそばの味が、土肥さんの人間関係をつなぐのだろう。

教室はほぼ毎日開いている。打ったそばは、もちろんすぐ食べられる。

 大江戸そば教室は、難易度と日数が異なる3種のコースを用意している。
一日体験コースは300元。
問い合わせは6406‐3464。

~上海ジャピオン12月1日発行号より

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