考える男マートンと哲学の小部屋(トイレ)~1933老場坊

 

恋とアートな空間
私は考える男マートン。
最近急に寒くなり、
秋の終わりを感じる。
しかし、私はまだ〝芸術の秋〟を
堪能していない。
そこで、気軽にアート体験ができる、
食肉加工工場をリノベートした、
デザイナーズスポット「1933老場坊」へ
友人と来ている。
彼は、芸術は二の次で、
燃え上がった恋の悩みを相談したくて
ついてきたと言うが…
全く面倒なヤツだな。
東西の建築様式が融合した同館。
館内の、この立体的で複雑な設計は、
足を踏み入れると、
迷宮に迷い込んだかのような錯覚に陥る。
なんと芸術的なのだ!
想像力が刺激されるな。
素晴しい哲学的アイデアが浮かびそうだ。
友よ、悪いが私は小部屋(トイレ)へ行く!

 
哲学でクールダウン
広いスペースに、
飾り気のない手洗いボールと個室が並ぶ。
全体をモノトーンで揃え、
ここの特徴である、
冷たく硬い質感を活かした空間だ。
ん?
かたいしつかん…難い疾患…難病…
もしやこれは、
「お医者様でも草津の湯でも」治らぬ、
〝恋の病〟を表しているのか!
なるほど。
このクールな芸術空間に腰を落ち着け、
考えを巡らすと、
熱い恋心も冷静になれるという哲学だな。
せっかくだし、友人にも教えてやろう。
ありがとう、
いい小部屋(トイレ)であった。

~上海ジャピオン2012年11月9日号

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