考える男マートンと哲学の小部屋(トイレ)~FENNEL

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自分の時間が欲しい
私は考える男マートン。
今日は友人と、鎮寧路のバーに来ている。
おっ、バンド演奏が始まった。
心地よいサウンドに旨いウイスキー。
たまらんな。
ん? こんな素晴らしい夜なのに、友人の顔は曇っている。
何々? 最近、平日は仕事漬け、週末は家族サービスで、
自分の時間がないと。
確かに、自由がないとストレスが溜まるな。
何か解決策はないものか…小部屋(トイレ)で考えてくる。

常春の小部屋哲学
部屋の隅に、ネコヤナギが飾られている。
3、4月に咲く、春を代表する花だ。
しかし、上海はすでに夏…妙だな。
まさかこれは、仏哲学者ベルクソンの時間に対する概念
「純粋持続」を表しているのか?
純粋持続とは、時間は時計などで測れるものではなく、
直観的なものであり、持続する意識の流れという概念だ。
これにもとづき哲学すると、過去とは、ただ過ぎ去るものではなく、
それを思い返した時、意識は
そのまま過去に存在していることになる。
つまり、ここに春の花を置けば、外は夏でも、中は春となるのだ。
また、春は自由の象徴でもある。
小部屋(トイレ)は、いかなる時も自由というわけか。
友人には小部屋(トイレ)に籠るよう伝えよう。
ありがとう、いい小部屋(トイレ)であった。

~上海ジャピオン2013年5月31日号

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