考える男マートンと哲学の小部屋(トイレ)~上海月湖雕塑公園

-480matong

洞窟と師弟の哲学

私は考える男マートン。最近は君子を目指していたが、悟りを得られず、悩みは深まるばかりだ。そんな折、ある公園に珍しい小部屋(トイレ)があると聞き、藁にもすがる思いでやってきた。

公園入口からまっすぐ進むと、「水晶宮」という名の洞窟が。むっ、あれは便所標識!? これが小部屋(トイレ)なのか…よし、いざ行かん!

さよならマートン

評判通り迫力のある空間だが、なぜ洞窟? …もしや、哲学者ソクラテスの弟子プラトンによる「洞窟の比喩」か? 松明の灯る洞窟内に、身体を縛られた人々がいる。彼らが目にできるのは、壁に映る影のみ。これは、我々が普段見ているものが「実体=イデア」の影なのだという、イデアの概念の説明だ。最初にイデアに関して言及したのはソクラテスだが、プラトンは師の哲学を発展させ「イデア論」を確立。その後、哲学者の育成に努めた。

…そうか、今まで私は1人で思索していたが、人々と対話し、考えを深めることも重要なのだな。人が集まり、対話を楽しむ場…〝茶の間〟か! よし、今後は大部屋(茶の間)にて哲学を深めよう。ありがとう、そしてさようなら、いい小部屋(トイレ)であった。

~上海ジャピオン2014年4月25日号

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