チャイナ地理塾:内モンゴル自治区

1.赤と白のごちそう

 内モンゴルでは、昔から放牧が盛んに行われ、畜産物が生活を支えていた。彼らの食べ物は、この家畜たちの肉やミルクを使った「赤」や「白」の料理が多いんだ。
一番のごちそうは、羊をさばいて塩だけで茹でたもの。さばく時には一滴の血も無駄にせず、すべて食料にするんだよ。羊肉は臭みの強いイメージがあるけど、新鮮な肉は匂いもなく、柔らかい。これを、ナイフで削りながら食べるんだ。これが豪快な「赤」のごちそう。
「白」の料理には、牛や羊、ラクダのミルクで作ったチーズ、クリーム、ヨーグルトなど何十種もの乳製品がある。馬などのミルクをひたすらかき混ぜて作る自家製酒「アイラグ」も有名だよ。

2.騎馬民族の伝統

 内モンゴルの伝統的なスポーツは、相撲、競馬、弓射の3つがある。この中で、最も発展し、今でも人気があるのが、相撲。名前は「ブフ」という。一口にモンゴルの相撲といっても細かく分かれていて、場所によっていろんなコスチュームやルールがあるんだよ。
基本的に日本のような土俵はなく、スタジアムでどちらかが倒されるまで戦う。あるルールでは、足の裏以外が地面についたら負け、別のルールでは、手をつくと負け。強い力士は英雄として、みんなの憧れの的なんだ。
競馬は、騎馬民族の伝統を感じられるスポーツだね。省都のフフホトにはアジア最大級の競馬場があるんだ。6~12歳の少年少女騎手もいるよ。

3.動物たちの贈り物

 かつての遊牧民も、今は中国政府の政策で定住を始めている。以前は移動式の「パオ」と呼ばれる家に住んでいたんだけど、現在ではレンガの家を建てて住む人が多い。それでも草原のど真ん中で、ガスも電気もないような集落もある。そんなところでは、家畜の糞をマイナス30度の寒い中で乾燥させて燃料にする。草だけを食べて育った家畜の糞を乾燥させると、燃やしても臭くない、うってつけの固形燃料になるんだ。
 これを使えば極寒の地でも十分に家の中を暖められるし、料理をするにも火力は問題なし。強火が不可欠な野菜炒めだって作れてしまうんだ。あるものを上手に生活の中で使う。遊牧民たちの生活の知恵だね。

内モンゴル自治区ってどんなとこ?

モンゴル族が多く居住する自治区。豊かな草原で盛んに牧畜が行われてきたが、最近では西部から砂漠化が進み、問題になっている。
【人口】2,386.4万人
【面積】118.3万km2
【省都】呼和浩特(フフホト)
【民族の割合】漢族 79.3% その他民族 20.7%
【平均寿命】69.87歳
【都市部平均年収】9,137元(約137,055円)
【農村部平均年収】2,989元(約44,835円)

■次回予告■貴州省

①貴州にある「アジア唯一の家」って何??
②茅台酒はどうやって世界的に有名になった?
③一風変わった貴州料理は「唐辛子の何炒め」?

~上海ジャピオン2月2日発行号より

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