食道をゆく 第39回 醋

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ツー

~江蘇省鎮江市~

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中国では、黒酢が一般的。スーパーなどで1本5元程度

古より伝わる調味料
伝説の酒の神が考案

 「醋(酢)」は、人々の食生活にとって欠かせない調味料だ。
食の中で重要な位置を占めるだけあって、その歴史は古い。
その生誕を探るには、中国最古と伝承される王朝・夏(か)の時代まで遡る必要がある――。
 この時代に、中国で最初に酒を作り、「酒の神」と称されている杜康(とこう)という人物がいた。
彼は、今の江蘇省鎮江市に位置する一帯に移り住んできて、
長江のほとりで醸造所を作り、家族や仲間とともに、日々酒造りに勤しんでいた。
 そんなある日、杜康は作業中にうっかり酒かすを水の入ったかめの中に浸し、
そのまま置き忘れてしまった。

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金山の山上に立つ江天禅寺

 それから21日後の夕方、酉(ゆう)の刻、杜康が再びその水がめのふたを開けると、
ツーンと鼻を突くような香りが漂ってきた。
杜康が恐るおそる指につけて舐めてみると、酸っぱくてほんのり甘い、何とも奥深い味がしたのだ。
調味料として使ってみても具合がよく、
杜康たちは出来上がったものを「調味漿」と呼んで使用するようになった。
 しかししばらくして、杜康はやはりちゃんとした名称をつけた方が良いと思い直し、
考えついたのが、発見した「二十一日酉」の漢字を組み合わせて作った、「醋」という字だった。
 それからというもの、杜康はかめに水と酒かすを入れて21日間待っては、
出来た酢を近所の人々に配るようになった。
その評判は次第に周辺の町へも広がり、やがて中国全土に知れ渡ることとなったのだ。
 夏バテ解消にも効果を発揮するという、本場鎮江の黒酢。
摂取して、残暑を乗り越えよう。

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アクセス】上海駅から動車組(新幹線)で約2時間、硬座73元~

~上海ジャピオン9月17日号より

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