チャイナ地理塾:福建省

1.皇帝の飲むお茶

福建省はウーロン茶の産地として有名だね。よく耳にする「鉄観音」も福建の安渓県で作られているんだ。
世界遺産の「武夷山」では、山の岩肌で栽培する「武夷岩茶」というウーロン茶がある。その中でも最高級、伝説の茶と言われる品種が「大紅袍」。古くは、皇帝に献上されていたお茶で、現在ではたった6本の木が武夷山の一角に残るのみ。茶葉は年間1キロもとれない、極めて希少なお茶なんだ。20グラムで300万円、という値段がついたこともあるよ。現在この木の保護活動が進んでいて、2006年からは木を守るため、茶摘みを一旦禁止している。現在、政府はこの木に1億元(15億円)の保険を掛けているんだよ。

2.住民を守る家

 昔、戦乱を逃れるため華北地方から華南地方まで移ってきた漢民族の集団がいた。彼らは現在も漢民族に数えられているが、独自の言葉や文化を持つため、「客家人」と呼ばれ、区別されている。
 福建にたどり着いた彼らは、原住民のいた地域には住まず、外敵の侵入を避けるための堅固な住居を山間に建てたんだ。それが「客家土楼」。外にぐるりと巡らした外壁は4階建てほどの建物になっている。この壁の厚さは下層部で1・5㍍と、かなり強固に作られているんだ。材料は自然の赤土に砂、石灰のほか、糯米の煮汁、黒砂糖、卵白などをまぜている。砂糖、卵白とは驚きだけど、固まるとコンクリートをも凌ぐ強度になり、ひびわれても自然に元に戻るらしい。一族を守るための、客家人の知恵が詰め込まれた住居なんだね。

3.福建流超豪華料理

 福建料理は、海鮮類を使ったものが多く、調理法もあんかけ、ソテー、煮込みと比較的あっさりしている。日本人の舌にとても合う料理と言われているよ。
その中でも有名な高級料理が「佛跳墻」。これは、お坊さんも塀を跳び越えて食べに来る料理、という意味なんだ。どういう料理かというと、フカヒレや干貝、あわび、ナマコ、豚肉、鶏肉、干海老…など、20~30種類もの食材と調味料を壷に入れ、8時間ほど蒸したもの。材料の豪華さもさることながら、それぞれの食材から染み出たスープが混ざり合って、蓋を開けた瞬間、すばらしい匂いが辺りに漂う。外国から来た要人にもよく出される料理なんだ。

福建省ってどんなとこ?

東シナ海に面しており、古くから海上貿易などで栄えてきた。また海外への移民も盛んで、東南アジア華僑は福建出身者が多い。

【人口】3,535万人
【面積】12.14万km2
【省都】福州
【民族の割合】漢族98.3% その他民族1.7%
【平均寿命】72.55歳
【都市部平均年収】12,321元(約184,815円)
【農村部平均年収】4,450.36元(約66,755.4円)

■次回予告■新疆ウイグル自治区

①首府ウルムチは世界で一番「何」から遠い?
②麺料理「ラグマン」の名前は何から来た?
③とても賑やかな、日曜日の楽しみって何?

~上海ジャピオン2月16日発行号より

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