食道をゆく 第48回 叫化鶏

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ジヤオホアジー
叫化鶏
~江蘇省常熟市~

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蓮の葉を開けると、芳しい香りが漂う叫化鶏

貧しい浮浪者の知恵の結晶
美食家・乾隆帝も絶賛

 「叫化鶏」は、内臓を取った鶏に具材をつめ、蓮の葉で巻いて包み焼きにした中国版ターキーだ。
「叫化」は、中国語で「浮浪者」を指す。
その名の通り、この料理を開発したのは、ある貧しい浮浪者だった――。
 明朝末期ころ、常熟にある虞山(ぐざん)のふもとに、1人の浮浪者が住んでいた。
ある時、彼は幸運にも若鶏を手に入れた。
しかし困ったことに、料理をするための炊飯用具や調味料などはもちろん持っていない。
通常は湯をかけて毛を抜くのだが、彼にはその湯さえ手に入れることができなかった。
 困った彼は、ある奇抜な方法を思いつく。
内臓を取り除いてから毛をつけたまま泥の中に埋め、その上に葉っぱや木の枝を積み上げて火を点けた。
しばらくすると泥はカチカチに固まり、泥を取る時に毛も同時に取り除くことができたのだ。
彼は大喜びで、出来上がった鶏にむさぼりつき、あっという間に全部食べ終えてしまった。

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叫化鶏を発明した浮浪者が暮らしていた虞山は、
現在は国家森林公園となり、常熟の人々に親しまれている

 その後、この方法を聞いた近隣の村人が作り方を真似し、
さらに調味料や中に具材をつめるなどの工夫を施していった。
こうして浮浪者が考案したことから「叫化鶏」と呼ばれるようになり、
常熟の名物料理として広まっていったのだ。
 清朝には、第6代皇帝である乾隆帝が、常熟を訪れた時にこの料理を口にし、絶賛。
料理名を聞かれた農民が「叫化鶏」という名前は聞こえが悪いと、
とっさに「富貴鶏」と答えたことから、「富貴鶏」とも呼ばれる。
 復活祭やクリスマスには、七面鳥の代わりとして叫化鶏を食べに、常熟を訪れてみるのも良いかもしれない。

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【アクセス】上海長距離バスターミナルから常熟まで、バスで約5時間、32元~

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~上海ジャピオン11月26日号より

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