食道をゆく 第49回 耳朶眼炸?

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アールドゥオイエンジャーガオ
耳朶眼炸?
~天津市~

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1個わずか2元程度で、気軽に食べられる耳朶眼炸?

かご担ぎからこつこつと
路地の名前がそのまま定着

 天津の3大名物と言えば、以前紹介した「狗不理包子」、「麻花」のほかに、この「耳朶眼炸?」が挙げられる。
中に餡のつまった一口サイズの揚げもちで、歩きながらでも気軽にパクっと食べられる、このお菓子。
実は、今から100年以上前に発明されたものだった――。
 時は1892年、清朝末期のころ。天津では、劉万春という男が、
道端でかごを担ぎ、食べ物を売り歩きながら暮らしていた。
もちろん稼ぎは多くなかったが、それでも勤勉な男はこつこつと貯金を蓄え、
ついには道幅わずか1㍍ほどの狭く長細い路地で、
甥と一緒に「劉記」という看板を掲げた小さな店を出すことになった。
 店では男が研究を重ねた揚げもちが人気を呼び、小さいながらも客足は絶えず、
そのうち「揚げもちなら劉記だ」と、定着するまでになった。
また、揚げもちの中国語「炸?」の「?」という字は、発音が「高」と同じことから、
地位の高さや向上に通じるとされ、祝い事の席でも食されるようになり、店はますます繁盛した。

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市内の南に位置する水上公園。天津テレビタワーが近くにそびえ、園内には動物園がある

 そのうち人々は、店のある路地が「耳朶眼」という名前だったことから、
その揚げもちを「耳朶眼炸?」と呼ぶようになった。
〝文化大革命〟の時代には、「文革炸?店」と改名されたこともあったが、
その間にも、人々はやはり「耳朶眼炸?」と呼んでおり、改革開放後の1987年には、
正式に「耳朶眼炸?」と命名された。
 現在では、中の餡にストロベリーやチョコレート、黒ゴマペーストなどを使用しているものも売られている。
好きな味を選び、天津の路地で食べ歩こう。

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【アクセス】①上海虹橋空港から天津濱海空港まで飛行機で約2時間
②上海駅から新幹線(動車組)に乗り、天津駅まで約10時間、2等301元~

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~上海ジャピオン12月3日号より

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