食道をゆく 第51回 ?八粥

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ラーバージョウ
?八粥
~江蘇省南京市~

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今の?八粥は、雑穀のほかにナッツ類やレーズンなども入っており、ほんのり甘い

旧暦12月8日に食べる粥
幼い朱元璋の思い出の味

 去る1月11日(火)は、旧暦の12月8日、つまり「?八節」だった。
この日は釈迦(しゃか)が悟りを開いた日とされており、中国では古くから、
「?八粥」という雑穀やなつめを煮た粥を食べる習慣がある。
では、なぜこのような習慣ができたのか。
今回は諸説ある中から、明朝の初代皇帝・朱元璋(しゅげんしょう)にまつわる由来を紹介していこう。
 それは元朝末期、まだ朱元璋が幼い頃の話。
安徽省の貧しい農家に生まれた彼は、家計を助けるため、牛の放牧をしていた。
ある日、放牧に出かけた朱元璋は、うっかり牛を1匹逃がしてしまい、夕飯抜きにさせられた。
朝から何も食べていなかった朱元璋は、何か食べられる物はないかと、野原を探しまわった。
すると、目の前を太った大ネズミが横切り、慌てて巣の穴に入っていくのを発見したのだ。

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朱元璋と后妃の陵墓である明孝陵は、世界文化遺産にも指定されている

 朱元璋はネズミが肥えていたのを見て、きっと食糧を蓄えているに違いないと推測し、
樹の枝を使って巣の穴をほじくった。
すると、様々な穀物が穴から出てきたのだ。
そこで朱元璋はそれらを持ち帰り、キレイに洗ってから煮て粥にして、空腹を満たすことができた。
 月日は経ち、朱元璋が南京で即位した後に迎えた?八節の日、ふとその時の粥を懐かしく思い出した。
そこで朱元璋は、料理人に雑穀の粥を作るように命じ、?八節にちなんで、自ら「?八粥」と名付けたのだ。
そしてこのエピソードが民間へと伝わり、次第に?八節の習慣として、広まっていったという。
 悲惨な幼少期を経て、身を起こした朱元璋。彼に尊敬の意をこめ、一口ひとくち味わおう。

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【アクセス】
①上海浦東空港から空路にて南京禄口空港まで、約40分。1日1便
②上海駅から南京駅まで、新幹線(動車組)で約2時間半、硬座93元~

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~上海ジャピオン1月21日号

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