食道をゆく 第64回 灯影牛肉

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ドンインニウロウ

灯影牛肉

~四川省達州市~

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紙のような薄さと色艶が、食欲をそそる灯影牛肉。お酒の肴に食べたい
罪で地方に配属された詩人
壁に映った紅い影
色鮮やかな紅い外観が目を引く「灯影牛肉」は、四川を代表する食品で、100年以上もの歴史を持つ。
牛の後ろ脚の肉を切った後、漬ける、干す、あぶる、蒸す、揚げる、炒めるなどの6つの工程を経て完成する。
四川独特の〝麻辣〟の辛さと甘さを持ち、噛めば噛むほど味わい深い。
日本人にはあまり馴染がないが、四川だけでなく、全国の民衆から愛され続けているこの料理。
一体どういう由来があるのだろうか?
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元?が達州を離れた、正月9日の「登高節」(登頂節)になると賑わう鳳凰山
かつて唐の時代に、元?(げんしん)という有名な詩人がいた。
当時、彼は朝廷の監察官を務めていたが、宦官や他官僚との紛争の罪で、
通州(今の四川省達州市)への左遷を余儀なくされた。
彼が現地の軍事官として過ごしていたある日。
仕事を終えた彼は、近所の店に一杯飲みに行った。
酒のつまみに出された料理は牛の肉切れで、色艶が出て、紅く輝いていたという。
そして食べてみると、鋭い辛味がピリッと喉を走ったのだ。
この薄くて半透明、尚且つ美味な料理に魅せられた彼は、灯りの下で、再び箸で掴んだ。
すると、紅い牛肉の表面上の模様が、影となって壁にはっきりと映っていたのだ。
これを面白く思った元?は、即座に「灯影牛肉」という字が閃き、そのまま、この料理の名前にした。
そして、通州では、詩人元?が名付けた料理として「灯影牛肉」の名で有名になり、
四川を代表する料理になった。
〝巴山蜀水長、灯影牛肉香〟(四川一帯の山水は広く、灯影牛肉は美味い)という言葉の通り、
美しい四川の自然の中で、詩人気分に浸ってみよう。
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【アクセス】
①上海浦東空港から成都双流国際空港まで、空路で約3時間
②上海駅から達州駅まで、空調普通快速列車で約27時間、2等席220元~
~上海ジャピオン5月27日号

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