民族訪ねて三千里~第6回

南はミャンマーまで 天地を作る創世神話
アチャン族は、
雲南省西部から国境を跨いで
ミャンマーにも住んでいる。
彼らの居住地を囲むように流れる怒江は
ミャンマーでサルウィン川、
瀾滄江はタイでメコン川とそれぞれ名称を変える。

雲貴高原の虎跳峡。
谷底まで3,000メートル以上もある険しい峡谷

アチャン族には、古くから伝わる
「ジェパンマとジェミマ」という創世神話がある。
天地が誕生する前、
一筋の光が差し込み、
混沌とした世界は光明と暗黒に分かれた。
その際に生まれた天公ジェパンマは天、
地母ジェミマは地をそれぞれ創った。
2人は天と地が重なる山の頂上で出会い、
ジェミマはひと粒の卵を産み落とした。
9年後、9人の女の子が生まれ、
ジェパンマとジェミマは災難や病気を取り除く占いや、
狩猟、料理など生活についての知識を授けた。
これが最初の人類である。
このような創世・人類始祖物語は、
アチャン族に限らず、
雲南省を中心とする少数民族の特徴だ。

アチャン族の女性。結婚後は円筒形の帽子を被る。
同族内での同姓の結婚が認められていない
珍しい文化もある

また、アチャン族は、
祝祭日に未婚の若者が求愛の歌を掛けあう
「歌垣」を得意としている。
かつてはアチャン族の夫婦の7割以上が
歌を通して結ばれたが、
現在はやはり少なくなったとか。
歌垣の前には、新年や婚礼、
客を迎える時に踊る「ウォロの踊り」で、
遠くから来た娘たちを歓迎する。

瑞麗市の姐勒金塔。
ミャンマー文化の影響が色濃く出ている

雲南省は稲作や焼畑が生活の主収入だったが、
明代頃から鉄器の製造を初め、
飛躍的な進歩を遂げた。
現在も鉄細工は有名で、
特に「?撒刀」という刀の質の高さは群を抜いている。
雲南省は宣威ハムや米線(ビーフン)など
料理が豊かな地域で、
納豆やコンニャクも食すなど、日本食とも近い。
雲南ではグルメ旅行としゃれ込みたい。

~上海ジャピオン8月19日号

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