水滸巡礼~108の足跡~凌振(りょうしん)

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山塞に轟く雷鳴
凌振(りょうしん)

ゆかりの地 河北省邯鄲市磁県
あだ名 轟天雷
職業 砲隊隊長
宿星 地輔星

河北省邯鄲市磁県出身。
元官軍の将校で、武器庫を管理する傍ら、
砲弾の製造にも携わる。
宋軍の呼延灼(こえんしゃく)将軍の呼びかけに応じて
梁山泊を攻撃するも、宋江に乞われ入山。
方臘の戦い後は、官位を得て火薬局の役人となった。

天地を揺るがす轟音
砲弾で梁山泊を圧倒
凌振は官軍の出身で、かつては東京開封府(現河南省開封市)で
「甲丈庫(武器庫)」の管理を担当していた。
その一方で、火砲の製造と使用に長け、
「風火砲」、「金輪砲」、「子母砲」の、3つの大砲を開発。
これらは天地を破壊せんばかりの威力を持ち、
雷のごとき轟音を発したという。
そんな凄まじい砲弾を作り出す彼を、
人は「轟天雷(ごうてんらい)」と呼んだ。

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邯鄲市磁県に位置する磁州窯遺跡は、
宋・元代を代表する陶窯、磁州窯(じしゅうよう)の窯跡

凌振はある日、朝廷から梁山泊討伐を支援するよう命じられる。
討伐軍を率いるのは、宋の名将、呼延灼(こえんしゃく)。
討伐軍は、戦法「連環馬(れんかんば)」で梁山泊軍に大勝したが、
周囲を水に囲まれた梁山泊を陥落させるには火砲が必要と考え、
彼に援助を求めたのである。
彼が命に従い、三発発射すると、見事山塞に命中。
その破壊力に梁山泊はなす術もなく、
圧倒されるばかりであった。
梁山泊は、砲弾を取り除かない限り勝ち目はないと、
闇夜に紛れて敵陣に忍び込むよう水軍に命じ、
砲台を水中に落とさせた。
凌振は船で水軍を追ったが、返り討ちに遭い、捕縛される。
処刑を覚悟したものの、
彼を高く評価していた宋江は礼を尽くし、入山を勧める。
そして、時を同じくして捕らえられた呼延灼の部下とともに、
ついに決意した。
その後も火砲の製造に関わり、砲隊を指揮。
これまでになかった飛び道具を扱う隊として、勝利に何度も貢献した。

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武霊叢台(ぶれいそうたい)。
邯鄲市中央部に位置し、戦国時代に趙の武霊王が、
軍事操練と歌舞の観閲のために建造した

凌振が生まれた河北省邯鄲市磁県。
故事「邯鄲の夢」でお馴染みのこの地は、
春秋・戦国時代は、趙(ちょう)の国の都として栄えた。
彼が発した凄まじい砲音は、
遠いこの故郷にも響いたことだろう。

【アクセス】
①上海浦東空港から空路にて河北邯鄲空港まで約2時間
②上海駅から邯鄲駅まで、快速列車で約17時間、硬座153元

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~上海ジャピオン2013年4月26日号

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