食道をゆく 第1回 饅頭

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饅頭(マントウ)~浙江省諸葛八卦村

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「諸葛新興」と書かれたマントウは、1個8角程度

諸葛孔明が発明
川の氾濫を鎮めた

 和菓子の饅頭(まんじゅう)のルーツとも言われる、小麦粉に酵母を加えて発酵させたマントウ。
中国北部では主食として食べられており、手軽な朝ご飯として親しまれている。
このマントウ、実はかの有名な天才軍師・諸葛孔明が発明したものだった。
彼の故郷であり、今も子孫1万人のうち約4割が住み続けているという浙江省諸葛八卦村では、
マントウが脈々と受け継がれている。

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孔明記念堂の「武」と「忠」は、武忠候・諸葛孔明を表す

 起源は、3世紀の三国時代に遡る。
蜀の宰相・諸葛孔明が、南方の豪族・孟獲との戦いに勝利した帰途、川の氾濫で道を塞がれた。
人々は川を鎮めるための風習として、49人の首を捧げようとしたが、諸葛孔明は、
「殺し合いが終わったばかりなのに、殺生はしたくない」と諭し、代わりに小麦粉で練った皮に肉を詰めたものを作らせ、
それを人間の頭に見立てて川に投げ込んだ。
すると川の氾濫は、不思議とおさまったという。
 その後、川に投げ入れてはもったいないということで、祭壇に祭ってから食べられるようになった。
当初は頭の形を模していたため大きかったが、段々小さくなっていったという。

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陰陽太極図の形をした鐘池を中心に広がる生活区

 諸葛八卦村では、今でも孔明の子孫たちが、マントウを特産品として売っている。
マントウ以外にも、孔明ゆかりの風景が諸所に見られ、
例えば、村全体が、孔明が考案したとされる陣形「八卦の陣」を呈している。
村の中心にある鐘池から8本の小道が放射線状に広がり、まるで複雑な迷路のようだ。
 諸葛孔明の故郷を訪ね、孔明が発明したマントウを頬張りながら、
彼の「ワナ」に引っかかるのも良いかもしれない。

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【アクセス】
上海南駅から「動車組」(新幹線)で杭州まで。
約1時間20分、54元~。5時台~1時間に3本程度。
杭州南バスターミナルより蘭溪行きバスに乗り、蘭溪バスターミナルへ
(約2時間半、70元、7時台~18時台まで1時間に1、2本)。
諸葛村行きバスに乗り諸葛村へ(約30分、4元、入場料58元)。

~上海ジャピオン7月17日号より

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