食道をゆく 第30回 麻花

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マーホア
麻花
~山西省介休市~

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麻花は、1斤(500g)6元程度で売られている

忠臣を亡くして後悔
日持ちをさせるために

 麻花は、小麦粉に水を混ぜてこね、棒状に伸ばした後ねじり、油で揚げたお菓子だ。
一口サイズから、50㌢ほどの大きなものまである。
有名なのは天津の「十八街麻花」だが、そのルーツは山西省にあった――。
 今から2000年以上遡る春秋時代。
今の山西省にあたる晋の国で内乱が起き、
君主の文公(ぶんこう)は、忠臣であった介子推(かいしすい)とともに、国外へ亡命した。
 数年後、内乱が収まり再び王となった文公は、
逃亡中、世話になったお礼にと、介子推を昇進させようとした。
しかし、母親と介休市にある綿山の山奥で暮らしていた介子推は、頑として受けようとしない。
 すると文公は何としても受けさせようと、介子推のいる綿山に火をつけた。
火事になれば介子推も山を下りてくるだろうと考えたのだが、結局介子推は下りて来ず、
3日3晩燃えた後の山で、母親と2人で焼死しているのを発見されたのだ。
 たいそう後悔した文公は、この日は火を一切使用しないよう、人々に命じた。
これが今の清明節の前日にあたる「寒食節」だ。
そこで、日持ちのする食品を作ろうと試みた人々が、
小麦粉をこねて油で揚げたら、何日も持つことを発見した。
これが今の麻花の原型となる。

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寒食の発祥の地として、介休の主な観光地となっている綿山

 今や麻花と言えばすっかり天津というイメージだが、
天津では甘い麻花が主流なのに対し、山西省の麻花は塩味も多い。
酒のつまみにもなりそうな麻花を買い求めに、山西省へ行ってみるのも良いだろう。
そして由来の通り、日持ちするのが麻花の魅力。
帰りにはおみやげ用として大量に買い込もう。

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【アクセス】
①上海虹橋空港から太原武宿空港まで飛行機で約2時間。
列車に乗り換えて太原から介休まで列車で約2時間、硬座9元~
②上海から太原まで直達特別快速列車で約13時間、快速列車で約20時間、硬座179元~。
太原から介休まで列車で約2時間、硬座9元~

~上海ジャピオン5月21日号より

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