食道をゆく 第32回 餛飩

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フントゥン
餛飩
~北京市~

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餛飩は、1皿5~10元とリーズナブル。北京には、「餛飩侯」という老舗チェーン店もある

コン氏とトン氏がモデル
憎しみを飲み込んで


 日本でもおなじみの、小麦粉で作った薄い皮に肉餡を詰めた餛飩(ワンタン)。
全国各地で子どものおやつや軽食として食べられている。
その呼び名も各地によって様々で、広東では「雲呑」、湖北では「包面」、
江西では「清湯」、四川では「抄手」、新疆では「曲曲」…といった具合だ。
それだけに、由来も諸説あるのだが、ここでは漢朝時代の異民族・匈奴(きょうど)にまつわる話を紹介する。
 当時、今の北京周辺にあたる北方では、遊牧民族である匈奴が辺境を騒がしていた。
強い勢力を有する彼らに、庶民たちは安寧とした暮らしを送ることができずにいた。
特にある村落では、渾(コン)氏と屯(トン)氏という2人の匈奴の首領が、強い権力を奮っていたのだ。

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瑠璃廠(るりしょう)には、書画用品や骨董品などを販売する店舗が立ち並ぶ

 そのストレスを解消しようとした庶民たちは、肉の餡を皮で包んだ料理を作り、
それに2人の名前を取って「餛飩」(渾屯と同音)と名付けた。
その料理を食べることで日頃の恨みを晴らすと同時に、平和な暮らしができるよう祈願したのだ。
 当初はただ単に肉の餡を皮で包んだものを総称して「餛飩」と呼んでいたのだが、
その後、各地で改良が加えられつつ、その都度名称も変化して広まっていった。
今では餛飩と言えば、一般的にスープと一緒に食べられることが多い。
 さらに北京では、最初に作られたのが12月22日(21日の年もある)にあたる冬至の日だったこともあり、
この日に食べる習慣もあるという。
とはいえ、今や年間を通じて親しまれているこの?飩。
本場でたらふく頬張り、昔の庶民たちのストレス解消法に倣ってみよう。

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【アクセス】
①上海虹橋または浦東空港から北京首都空港まで飛行機で約2時間
②上海駅から「動車組」(新幹線)で北京まで約10時間、二等席327元~

~上海ジャピオン6月4日号より

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