チャイナ地理塾:甘粛省

1.蘭州ファストフード

 上海でもよく見かける、「正宗蘭州牛肉拉麺」の看板。店先の大きな鍋では昼夜、「牛肉麺」のスープを煮込んでいるよ。
蘭州では遠くから来た客人にまず食べさせたいのは「牛肉麺」、蘭州を去る人が最後に食べたいと思うのも「牛肉麺」、といわれるほど、代表的な庶民の味なんだ。
 上海市内の店でも、注文を聞いてから伸ばして茹でた、できたての麺を食べられる。注文するときには、麺の太さも選べるんだよ。太さは6種類ほど。一番太い「大寛」は平べったくて幅が2センチほどもある。一番細い「毛細」は、そうめんくらい細い。私のオススメは、「毛細」。スープが麺によく絡んでおいしいんだ。

2.千年掘り続けた石窟

 広大な砂漠に囲まれたオアシス都市、敦煌には、世界遺産の「莫高窟(ばっこうくつ)」がある。これは、4世紀頃から約1000年に渡り掘り続けられた石窟群。石窟の数は1000以上に上るといわれているが、今のところ判明しているのは492個だけなんだ。
 1900年、莫高窟の中で3メートル四方足らずの小さな窟が偶然発見された。この中には大量の古く貴重な文献が保存されていたんだ。誰が何のために、大量の書物をここに隠したのか。この謎を基に井上靖という小説家が書いたのが、小説『敦煌』。同名で映画化もされているので、敦煌を訪れるときには一度見ておくと、中国西方のロマンにより浸れるぞ。

3.万里の長城の果て

 万里の長城は河北省の山海関から始まり、北京を通り、甘粛省の嘉峪関まで続いているんだ。嘉峪関で見る長城は、連なる山々の上をうねうねと走る北京の長城とは、全く違った趣。広大な砂漠の中を一筋の壁が竜のように走っている様は壮観だよ。
 え、それで結局何キロあるのかって? いや、万里の長城の長さは約6000キロといわれているんだけど…秦・漢・明など各時代に築かれた長城を合わせるとそれを遥かに上回る、地球一周分以上の長さになるともいわれていて、正確な長さはまだわからないんだ。そこで去年から、国が長城の保護を目的に、正確な測量を始めたばかり。というわけで、答えはあと数年待たなきゃいけないみたい。

甘粛省ってどんなとこ?

東西に細長く、砂漠や高原地帯などの境目に位置するため、複雑な地勢と気候を持つ。西端の敦煌は、世界遺産・莫高窟などで有名。

【人口】2,594万人
【面積】45万km2
【省都】蘭州
【民族の割合】漢族93.3%、その他民族8.7%
【平均寿命】67.47歳
【都市部平均年収】8,086.82元(約121,302円)
【農村部平均年収】1,980元(約29,700円)

■次回予告■
四川省

①「麻婆豆腐」の「麻」ってどういう意味?
②四川で始まったある飲み物を楽しむ文化とは?
③パンダを抱っこ、の料金は?

~上海ジャピオン1月12日発行号より

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