中国酒~プチ変わり種編~

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 中国には色々なお酒があるが、
中でも日本で紹興酒やラオチュウなどとして知られる「黄酒」は、お米を使った代表的なお酒だ。
「黄酒」以外にも、もち米を使った「米酒」など、多数のお米のお酒が店頭に並ぶ。
その中から、ちょっと変わったお酒を紹介する。

①?神農皇・華夏女人酒

 ネーミングからして、女性に良さそうなお酒。
日本でも有名な伝奇小説『西遊記』に出てきた〝女人国〟に行けるのかと思えるような、
麗しい香りは、日本酒を思い出す。
味の方も日本酒とワインを混ぜた感じで、酸っぱさが強烈に残る。
お酒に付いている解説によると、女人酒の起源は、
1300年ほど前の唐代の女帝・則天武后に献上されたお酒という。
飲めば則天武后のように美しく、勇ましい女性になれるかも?

②?中国黄酒

 見た目は、明らかに缶ジュースだが、実際は正真正銘のお酒だ。
一口飲むと、紹興酒のほのかに甘い味が登場。
その後、マグロの醤油漬けのような独特のテイストが口の中に広がる。
酒のあてがない時でも楽しめると考えれば、一石二鳥、一挙両得かも。
100歳以上の老人が数多く住む江蘇省如皐市のお酒なので、
その長寿にあやかって飲みつつ、新年から長寿を祈願してはいかがだろう。

③?七仙縁孝感?米酒 お酒を売っている棚の中でひと際、異質な感じが際立つ外観と中身。
お米が浮いていることからも分かるように、日本でいうところの甘酒に近い。
味は甘酒と異なり、タイやベトナムのデザート風で、甘酸っぱさが初恋の想い出をくすぐること請け合いだ。

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 「黄酒(紹興酒)」や「白酒(パイカル)」だけが、中国酒ではない。
フルーツ豊富な中国では、果実酒系のお酒も百花繚乱。
その中でも、上海のスーパーなどで手軽に購入できるものを紹介していく。

①?洋葱紅酒(タマネギワイン)

 果実系のお酒の代表といえばワイン。
とはいえ普通のワインは飲み飽きたという人には、このタマネギワインを是非。
赤ブドウ72%、タマネギ28%の割合で作られたこのワインは、初めは普通のブドウ酒としか思えない口当たり。
ただ飲み干した瞬間、じわじわとタマネギの苦味が口の中を襲う。
飲めば飲むほどタマネギを感じるが、タマネギを生で食べたときのような辛さはなく、
あっさりしているので、お酒が得意でない人でも大丈夫な味わいだ。

②?桂花酒(キンモクセイ酒)

 白ワインにキンモクセイ(桂花)の花を漬け込んだ、日本人にもおなじみの果実酒。
コルクを抜いた瞬間に、キンモクセイの甘い香りが漂い、飲むと優しい甘さが身体を突き抜ける。
癖がなくて飲みやすいので、女性と一緒に飲む際は、必ず用意したい。
また、ライチ・リキュール、グレープフルーツジュースなどとともにシェイクすれば、
カクテル「楊貴妃」が出来上がる。
絶世の美女に想いを馳せつつ愉しむのもいかが?

③?山?酒(サンザシ酒)

 甘ったるい香りのため、軽い気持ちでガブッと飲みがちだが、
果実酒にしてはアルコール度数も14度と低くないので、一気に飲むと胃がカーっと熱くなること必至だ。
カシスっぽい味のサンザシの自己主張が激しいので、
ストレートで飲むより、ロックやソーダ割りで飲むのがベター。

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④?威龍起泡酒(シャンパン)

 中国語で「泡が起きる酒」と言い得て妙な、シャンパン。
その存在感に圧倒されるが、味はかなり薄めだ。
リンゴ酒が20%使われているこのお酒の色は、可愛らしいピンク。
また、味がニッキ水を薄めた感じに似ているところもあり、懐かしい子どものころを思い出すきっかけとなる。
値段も手頃なので、新年祝いのシャンパンファイト用に買うのもありかも。

⑤?大蔵秘・青?干白酒(チベット・ハダカムギワイン)

 欧州のワインの製法とチベットの伝統的な酒「青?酒(ハダカムギ酒)」の製法を融合し、作り上げたお酒。
香りと味は、パイナップルのようであり、パンのようでもある不思議なもの。
またアルコール度数は9度だが、アルコールの存在感は余りない。
今まで味わったことのない感覚を、体感してみたい人は是非。

⑥?枸杞酒(クコ酒)

 赤い実のクコが描かれたキュートな外観からは、想像がつかないほど強い、「白酒」がベースのお酒。
ウイスキーっぽい香りと喉越しに加え、クコの実の甘酸っぱい後味を愉しめる。
日本人にはちょっと度が強いので、ちびちび飲むのが吉だろう。

⑦?張裕・金獎白蘭地(金賞ブランデー)

 3ツ星がキラリと光る中国ブランデー。
1919年のパナマ博覧会で金賞を受賞したことから、〝金獎〟という冠がついている。
ビターチョコレートのような香りと味わいがあり、序盤はさっぱり、中盤以降にピリっとした感覚が訪れる。
4ツ星タイプのものもあるので、飲み比べてみよう。

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 古来中国では「酒は百薬の長」と言われ、飲み方次第では健康に有益なものとされる。
それを体現しているかのようなお酒が、漢方薬の入った薬味酒だ。
春節休みで遊び疲れた身体をいたわる、薬味酒の数々を見ていこう!

①?竹葉青酒

 山西省のみならず、全国でメジャーな「白酒」たる汾酒に、竹の若葉やクチナシを加えたお酒。
造血や解毒、炎症を抑える作用があるとされる。
竹の葉の色が滲みでたかのような、鮮やかな黄緑色をしており、
味は薬草のようなワイルドさと、汾酒の抑えた甘みを兼ね備える。
飲みにくいと感じる人は、トニックウオーターやソーダで割るのもいいだろう。

②?致中和・五加皮酒

 1763年に創業した老舗酒メーカー「致中和」が送り出す、健康保健酒。
五加皮や当帰、玉竹、肉桂など29種類の漢方薬材が使用されている。
その匂いからすぐ頭に浮かぶのは、日本の病院のロビー。
味は、〝漢方テキーラ〟とでも言うべき刺激があり、
ドイツのリキュール「イエガー」と似た穏やかな甘さを有する。
漢方の絶妙なブレンドを味わえる逸品だ。

③?茵陳大曲酒

 創業者の張謇氏の肖像が目立つ黄色いお酒。
体内の熱や、余分な水分を除く作用があるとされる、漢方薬材・茵陳(インチン)が使用されている。
カンキツ類のフルーティーな香りがするが、一口飲むと、ピリピリした刺激が訪れ、
一瞬で喉が渇く感覚が面白い。
忘れ難い味わいと感覚なので、「白酒」好きならヤミツキになること必至だ。

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④?健力酒

 朝鮮人参が自己主張しているお酒。
霊芝やタツノオトシゴなどが入り、効能には「疲労を防ぐ」と書かれる。
フタを開けた瞬間に朝鮮人参特有の匂いが吹き出し、
ゴボウのような泥臭さと土っぽい、野味溢れる味わいを覚えることだろう。

⑤?張裕・特質三鞭酒

 ワインで有名な「張裕」による薬味酒系のお酒。
「名前にある3つの鞭とはなんぞや?」という疑問が浮かぶと思うが、
その答えは、オットセイ、鹿、ヤマイヌの雄の生殖器のことだ。
聞いただけで、飲むのを敬遠する人もいると思うが、勇気を出して飲むと、
カカオマスのようなほろ苦い味が口の中にパッと広がる。
なお、効能には、身体の中を錆付かせないようにする「抗酸化作用」が期待できるとある。

⑥?華佗十全酒

 三国時代の名医「華佗」を社名とするメーカーによる、その名もパーフェクト酒。
炭のような香りと焦げたような味わいが混ざり合い、身体の中を駆け巡る。
効能に「疲労を防ぐ」と書かれているが、その効果の程度は不明。
三国志の名医を信じて飲み続ければ、絶大な効果も現れるかもしれない。
継続は力なり?

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~上海ジャピオン2月11日号

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