教えて!ローカル市場

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さあ市場へゴー!

 今日の主人公・タナカ太太は上海歴の短い駐在員妻。
普段の買い物は、もっぱら日系スーパーやカルフールで済ませている。
「ローカル市場って、どこで何買ったらいいのかよく分からないんですよね」
という彼女は、2月某日、野菜市場デビューを思い立った。
行き先は、古北の太陽市場だ。
 そして、今回は心強い助っ人がついている。
旦那さんが日本人という中国人女性で、日本語ペラペラのベテラン太太Sさんだ。
「ローカル市場は鮮度が良いものも多いし、種類も豊富。
上手に使えば、食生活がぐっと豊かになりますよ」
とSさんは、市場の魅力を知り尽くす。
近くに市場があれば、これは使わない手はない。

まずは値段チェック

 太陽市場は1階に川魚と鶏肉(生きたまま)、
2階に野菜、豆腐、調味料、漬物、魚介類、卵、豚肉などが売られている。
 2人がまず向かったのは、2階の野菜売り場。
サッカーコートほどの広い売り場に、同じような店が何軒も並んでいる。
「一見同じような店でも、鮮度や値段がそれぞれ違うんです。
何軒か見て回って値段を聞いて、一番良いものを選びましょう」とSさんは言う。
とはいえ、一度良いものをゲットできたからと言って、いつもその店が正解とは限らないとか。
その日たまたま鮮度が良かっただけで、別の日にはほかの店の方が良い場合もあるらしい。
 市場では値段を聞いただけで買うと見なされ、野菜をビニール袋に包まれてしまうこともしばしば。
そんな時はどうすれば良いのか。
Sさんは「『いりません』とはっきり断れば良いだけです」と言う。
日本人的奥ゆかしさは、ここでは必要なさそうだ。

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値切る必要なし

 野菜は「斤(ジン、1斤=500㌘)」という単位で量り売りするのが基本。
2人が目を付けたのは、チンゲン菜によく似た「小青菜(シャオチンツァイ)」。
市内で取れた露地物で、今が旬とか。
1斤1・5元で、買ったらビニール袋一杯に渡された。
Sさん曰く、調理方法は塩炒めにして、隠し味に少し砂糖を入れると甘味が引き立つという。
また、料理の前には、10分ほど水に浸して良く洗っておくのがベターだそう。
 価格について、「市場で買う時は値切るべきなのかしら?」
とタナカ太太は心配したが、その必要はないようだ。
「基本的には言われた値段で買って大丈夫」と、Sさんは答えてくれた。

鶏ではない「素鶏」

 続いて2人が向かったのは、豆腐売り場。
スーパーではなかなかお目にかかれないレア商品もあるという。
Sさんのオススメは、「素鶏(スージー)」。
「鶏」という字があるものの、実際は鶏肉ではない。
水気の少ない固めの豆腐で、そのまま食べてもいいし、炒め物などに使ってもいい。
「これ、子どものおやつにしてもいいかも」と、タナカ太太も素朴な味が気に入ったようだ。

アヒルの卵に挑戦

 豆腐屋の先にあったのは、卵屋さん。
卵が店先に山積みになっていて、少し鶏の羽も混じっている。
Sさんは「中国では日本と違い、卵は洗わずに売っています。
市場の卵に限らず、冷蔵庫にしまう前に軽く水洗いした方が衛生的ですね」と話す。
そして、中国ならではということで勧めてくれたのが、「アヒルの卵」。
「少し臭みがありますが、味は普通の卵とほぼ同じです。
栄養豊富で、女性の美容にも良いらしいんですよ」と言う。

光る主婦の知恵

 卵も購入前に鮮度チェックをした方がよく、「表面がザラザラしているものを選びましょう」とSさん。
買うとそのままビニール袋に入れて渡されるが、このままでは少しでもぶつけたらすぐに割れてしまう。
すると「さっき買ったチンゲン菜の中に入れておきましょう」と、ベテラン太太ならではの提案が飛び出した。
 続く調味料売り場では、これまた未知の食材群に遭遇。
太めの春雨や塩漬けのタケノコなど、中国らしい食品も並ぶ。
ここでのSさんのオススメは「紫菜(ズーツァイ)」。
乾燥させたのりの一種で、卵スープにすると美味しいそうだ。

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魚介は火を通す

 さらに先に進むと、魚介売り場に到着した。
巨大な太刀魚のような魚や、日本では見慣れない魚も並んでいる。
鮮度はさすがに日本と同じというわけにはいかないが、
火を通して塩焼きや味噌煮などにすれば問題はないとか。
「私、前に鯖を買ったら骨ごとブツ切りにされてしまったんですよ」というタナカ太太。
そんなときは「不要切、請劈開!(ブヤオチエ、チンピーカイ)」とお願いすればいいのよと、
Sさんはアドバイスする。

異国情緒の肉売り場

 続いて豚肉がお出迎え。
豚肉売り場には、カタマリ肉が白いボードの上に常温で置かれている。
日本のスーパーとはまったく売り方が違い、
初めて見る日本人はカルチャーショックを感じるかもしれない。
 「市場でお肉を買うメリットは、その場で欲しい分量だけひき肉にしてもらえること」とSさん。
衛生面が気になる人も多いかもしれないが、東南アジアなどでは肉を常温で販売するのはむしろ一般的。
異国気分を味わうには、一度トライするのも悪くないかも!?

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感動の新鮮鶏肉

 最後に向かったのは、1階の鶏肉売り場。
生きたままの鶏を選び、その場で処理して肉にしてもらえる。
日本にはないシステムで、これまたカルチャーショック必至だ。
スーパーの肉に慣れている日本人にとってはいささか生々しく映るが、
「一度この鶏肉の美味しさを知ると、きっとまた使いたくなりますよ」とSさんは言い、
「童子鶏」と呼ばれるヒナ鶏を勧めてくれた。
 ここでも「元気な鶏」を見抜く眼力が必要だ。
「目がぱっちりしていて、羽につやがあるものが良いでしょう」とSさん。
「コレ」と指差すと、店員さんが鶏をつかまえ、量りの上に載せて価格を計算してくれた。
一羽30元だった。
 その後、鶏は裏の方で処理をされ、ほんの2~3分ほどで「鶏肉」となって返ってきた。
そのまま持ち帰っても良いが、スープ用などにブツ切りにしてもらうこともできる。
半分をブツ切りにしてもらって受け取ると、タナカ太太は「お肉、あたたかい…」とつぶやいた。
肉に自然な光沢があり、新鮮そのもの。
気づけば夕方近くなり、2人は両手に大量のビニール袋を抱えて市場を後にした。

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上海の楽しみ増える

 タナカ太太はその日の晩、この鶏を使って、蒸し鶏を作って食べたとか。
その美味しさに感動して編集部に送ってきてメールが下記である。
現地にもう一歩深く溶け込み、上海ライフの楽しみ方を発見したようだ。

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~上海ジャピオン2月25日号

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