ザリガニストリートへGO!

旬の季節はまさに今
「ザリガニですか? た、食べてみたいっ!」と、
二つ返事でザリガニ体験取材に挑戦してくれたのは、
うら若き20代の留学生トリオ
(左からショーヘイくん、エリコさん、アケミさん=写真)だ。
「ザリガニ」というと日本人にとっては、
「小学生のとき教室の水槽で飼っていた」など、
食べ物としてのイメージはほぼ皆無。
しかしフランスでは、
ザリガニは「エクルヴィス」と呼ばれ、
エビやロブスターと同格に扱われている
高級食材なのだ。
ザリガニの旬は夏。
ザリガニ料理屋は市内各地に点在しているが、
中でも上海っ子たちに「ザリガニのメッカ」として
知られているのが「寿寧路」。
ザリガニ料理屋がずらりと軒を連ねる、
「ザリガニストリート」だ。
軌道交通8号線「大世界」駅から近く、アクセスも便利。

上海有数のローカルエリア
6月某日、3人は未知の食材への期待を胸に、
寿寧路へ。
大通りから寿寧路に足を踏み入れた瞬間、
臭豆腐の独特な香りがどこからともなく漂う。
上半身裸の男たちが道を闊歩し、
路上でニワトリが放し飼いにされている。
ここは上海でも指折りのローカルエリアと言えそうだ。
道の両脇は、そのほとんどがザリガニ料理屋。
店先を歩いていると、
店員さんが「さあ入った入った、何人だい?」
などとガンガン声をかけてくるが、
ひるまずに落ち着いて料理店を眺めてみよう。
寿寧路には全部で十数店舗ものザリガニ料理屋が
並び、「長寿面館」などが老舗と言われている。
だが、基本的にどこもメニューは大きくは変わらない。
客の入り具合や店内の雰囲気などを見て、
3人は挑戦するお店を決めたのだった。

ビニールで完全防備
3人が入店したのは、
中国メディアにもたびたび取り上げられている
「好記龍蝦(ハオジーロンシア)」。
店内には、
過去に取材されたテレビの放映画像などが
誇らしそうに飾られている。
間口はそれほど大きくなく、落ち着いた雰囲気だ。
席に座ると、
店員が無言でビニール袋のようなものを手渡してきた。
広げてみると、ビニール製のエプロンと手袋。
各自服の上から着用し、完全防護の構えで、
いざザリガニ料理として最もポピュラーな、
通称「香辣小龍蝦(シアンラーシャオロンシア)」
(35元/1斤=500㌘)を注文だ。
味は「微辣(ピリ辛)」、「中辣(中辛)」、
「重辣(激辛)」など、お好みで選べる。
3人は、無難に「微辣」を1斤注文した。

かじりながら豪快に
数分後、数十匹のザリガニが銀色のトレーに盛られ、
運ばれてきた。
白熱灯の光に照らされ、色鮮やかだ。
食べ方は意外と簡単。
まずはザリガニの頭部の甲羅を剥がし、
黄色いミソの部分を吸うようにして味わう。
ミソが黒く変色している場合があるので、
それは食べない方が良い。
続いて身の部分にチャレンジ。
手で甲羅を剥がすと、
食べられる部分は意外なほど少ないことに驚くだろう。
酢とショウガ、砂糖で作られたタレにつけて味わうと、
マイルドな辛さと香ばしい匂いが食欲をそそる。
ハサミの部分は豪快に歯でかじりながら
身を食べる人もいるが、
面倒くさければ食べなくてもOK。
「殻、カタイ…」。
3人は最初は慣れない手つきだったが、
次第にコツをつかみ、
次々とザリガニを平らげていった。
「思ったより全然臭くない。
エビが淡白になった感じ」、
「ミソがカニミソっぽい」、
「カラを剥くのが意外と楽しい」などと語るトリオたち。
上海版「エクルヴィス」を気に入ったようだ。

塩コショウ味のザリガニ
「好記龍蝦」では、
「椒塩龍蝦(ジャオイエンロンシア)」という
塩コショウ味のザリガニも用意。ネギがまぶされ、
〝香辣〟のザリガニよりさっぱりしていそうだ。
頭部は始めから外されており、
見た目から来る拒否感はかなり軽減している。
初めてザリガニを食べるなら、
むしろこっちから始める方が抵抗が少ない
かもしれない。

上海っ子たちの感想は
店内にいる中国人のお客さんに話を聞いてみた。
3人連れで来ていた40代の上海人女性は、
「ザリガニを食べないと、
夏が来た気がしない」と言い、
甲羅を器用に剥がす。
「手を使って甲羅を剥がしながら食べるのが、
楽しいのよね」とのこと。
一緒にいた40代の男性も、
「ザリガニ最高だね!」と言いながら思わず裏ピース。
ザリガニのハサミをイメージしているのだろうか。
ちなみに、
日本語や英語は基本的に一切通じないので、
不安な人は
中国語ができる人と一緒に行くと良いだろう。
3人はその後、
シャコやタニシ、
ホタテ貝などのサイドメニューも味わい、
すっかりお腹がふくれた様子。
ビニールの手袋にはいつの間にか油がしみこみ、
手はベトベトになったが、
それもザリガニを食べ尽くした証拠だ。
ローカル気分を満喫した3人は、
ザリガニストリートを後にするのだった。

~上海ジャピオン7月08日号

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