上海ジャピオンの特集 記事

オーガニック食ライフ

最近日本でも流行しつつある
〝週末ファーマー〟や〝プチ農業〟。
仕事として農業をする自信はないが、
プランターでは物足りない…そんな人のために、
貸し農園がある。
自分で食べる分だけ、
採れ過ぎたらご近所におすそわけもいい。
今回は、浦東新区にある貸し農園
「しんせんファーム」にお邪魔する。

虫や鳥と一緒に生きる
しんせんファームは、2010年4月にオープン。
「上海点点緑農業科技有限公司」が所有する
有機農園にあるビニールハウスのうち2棟を、
日系スーパー「しんせん館」が借り上げて、
個人利用者に貸しし出している。
上海点点緑農業科技有限公司は、
世界で最も厳しい有機農業基準を設ける
「米国農務省全米有機認証基準委員会」
の規定に従って、農作物を生産しているという。
同委員会の有機農業基準は、
環境に負担をかけないで、
そこに暮らす虫や鳥などの生物と共に生きる
農業を目指して定められており、
化学肥料や農薬の使用を認めない。
こうした動きは、欧米や日本はもとより、
中国でも活発になってきており、
2008年には
「世界最大の有機農業国」に認定された。
現在では、個人所有のものも含めれば、
約3000の有機農場があるという。

貸しし出しのルール
しんせんファームは、
ビニールハウス内の農地を1区画20~45平方㍍に分け、
毎年4月と10月の2回、
半年契約でオーナーを募集する。
賃料は20平方㍍のもので、
1900元+保証金100元。
これには、農具レンタル料、有機肥料代、
水道費に加え、平日の水撒き委託料、
農業レッスン費まで含まれており、
日本と比べても決して高くはない。
ちなみに、日本の関東圏で借りる場合は、
約10~20平方㍍で月額5000円くらい
(要別途管理費)が相場らしい。
また、空きがあればシーズン途中からの
貸し出しも可能。
その場合の賃料は、日割りで計算してもらえる。
ただし、農具というほどでもない細々したもの、
例えば軍手や長靴などは自分で用意する。
種や苗は現地でも小分けして
売ってもらうことができる。

田舎暮らしに触れる
「農のある暮らし」への憧れは
今やちょっとしたブームの感があるが、
憧れから一歩踏み出して実際に農園を借りる
具体的な動機は何だろうか。
借りている数人に聞いてみると、
田舎暮らしに触れたい、
安心でおいしい野菜を食べたい、
子どもに、野菜がスーパーで買うものではなく、
畑で育つものだと教えたいという答えが返ってきた。
こうした利用者の思いやニーズは、
実際に農園を借りて野菜を育てる中で、
どのように満たされたり
変化したりしているのだろう…そんな疑問を胸に、
ファームへ足を運んだ。

2号線の果てに
しんせんファームは、
軌道交通2号線の「遠東大道」駅から
徒歩10分のところにある。
駅を出ると三輪タクシーが待ち受けており、
農園まで5元で行ってくれる。
しかし、重い荷物がなければ、
おいしい空気を吸って緑の中を歩くのが、
断然オススメ(写真①)。
農園入口の門を入ると、
いくつものビニールハウスがお出迎え。
少し進んだ左手の2棟が
「しんせんファーム」だ(写真②)。
ビニールハウス横の側溝には水が流れ、
小さな魚がいる(写真③)。
自然に囲まれたのどかな農園は、
日頃の煩わしいことも忘れ、
おだやかな気持ちにさせてくれる(写真④)。

食への関心 農業のプロ
今回ナビゲートしてくれた郭田さんは、
今年の3月に20平方㍍の区画を借りたという。
日本にいた頃から、
食に対する関心が強い方だった郭田さんだが、
農作業はというと、これが全くの素人。
「最初の作業が土おこしだったんですけど、
男手がないと大変ですね」と、
郭田さんは始めたばかりの頃の苦労を振り返る
(写真⑤)。
この農園では、奥に寮が設けられ、
管理者は家族ぐるみで農園の管理・運営に携わる。
雨の降る日以外は、
毎日2回水撒きをしてくれるが、
あとは必要とされるまで手を出さない。
管理者の1人、
王さんは農園全体を見る現場監督だ(写真⑥)。
会員がやってくると笑顔で出迎え、
必要な時には土の耕し方から苗の植え方などなど、
農作業のノウハウを丁寧に教えてくれる。

苦手な虫も克服
郭田さんはこれまで小松菜にチンゲン菜、
オクラなどが山ほど採れた(写真⑦)が、
ブロッコリーには青虫が大量発生し、
葉っぱを食べられてしまったとか(写真⑧)。
青虫はおろか、虫全般が苦手だった郭田さんだが、
これには反撃に出ることに。
王さんのアドバイスで、
虫が嫌う万能ネギを隣に植え、
終には素手で青虫を掴めるほどに成長したのだった!
そしていま、郭田さんの畑はナスやトマト、
ゴーヤーにピーマンが収穫の時を迎えている。
「一番嬉しいのは、
やっぱりたくさん収穫できた時ですね」と、
採れたばかりの野菜を手に、
充実した笑顔を見せてくれた(写真⑨)。

カボチャの受粉作業
お昼近くには日差しが強くなるので、
郭田さんはいつも早朝に農園に向かう。
この日は特に、
カボチャの花がしぼむ前にの受粉作業を終えようと、
始発で出てきた。
カボチャは雄花と雌花があるので、
たっぷり花粉がついた雄花を摘み取り、
雌花の中心に擦りつける(写真⑩)。
「雌花が2つしかないし、
いい遺伝子が受粉するように、
いっぱい擦りつけちゃおう」と
郭田さんは畑を飛び回って次々と雄花を摘んでくる。
ほかの会員の畑には、
空心菜にほうれんそうに青じそ、
それからなんとスイカまで植えられていた(写真⑪)。
また郭田さんの畑にもとうもろこしが植えてあったが、
「何が収穫の目安なのかわからないので放置してて…」
と苦笑いするのだった(写真⑫)。

土と作物で季節を知る
同ファームを担当する
しんせん館スタッフの石井さんは、
日本農業養成学校で研修を受け、
農家でボランティアとして経験を積み、
オープンに臨んだという。
「農作業なんて全く触れたことがなかったけど、
一度収穫の喜びを味わったら、
ハマりましたね」と、石井さんは話す。
また、季節によって土の状態や採れる野菜も異なり、
季節を感じるのだとか。

?野菜本来の味にビックリ
現在の契約期間満了まで、残り約1カ月となり、
石井さんの元には会員たちから続々と、
採れた野菜や料理の写真が届いている(写真⑬⑭⑮)。そのどれもがピカピカときれいな色をしており、
「夫の野菜嫌いが治りました」、
「野菜って、本来はこんなに味が濃いんですね」
といったメッセージも添えられているそうだ。

冬の野菜に胸が躍る
ファームでは、
季節ごとにバーベキューパーティーや芋掘りなど、
イベントも用意されている。
なかなか一緒に作業することのない
ほかの会員とも顔を合わせ、
情報交換の場にもなっているとか。
農園はこれから、冬を迎える。
大根やカブ、水菜にルッコラと、
楽しみが多い季節だ。
「大根は採れ過ぎたら、
切り干し大根にするといいですよ(写真⑯)」
などと、石井さんは毎週会員宛にメールを送り、
郭田さんは今日も朝食のために
始発で農園へと向かうのだった。

~上海ジャピオン8月19日号

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