成金男の建築美学~上海浦西ユニークビル編~

①紙片楼
南京東路辺りで見つけたのが、このアパート。
ウォールの薄さに、アイがドットになるよな。
でもな、ちょっと横にずれてルックすると、
錯覚だって気付くぜ。
遊びマインド溢れるアーキテクチャだよな。
角部屋だとウォール幅20㌢ってのが、
ボールに傷だが、面白いデザインには替えられないぜ。
ちなみにこのアパートは築80年で、
元々はホテルだ。
土地をマックスに有効利用してるし、
俺のエコでユニークゴージャス、っていう理念に合ってるな。

②衡山馬勒別墅飯店
成功の秘訣はチャイルドの心のままでいたことだと、
アインシュタインは言ってたな。 
俺も、チャイルドの心とドリームを持って生きてるぜ。
ここ上海でも、遠い昔の租界時代には、
チャイルドのドリームに現れたハウスを、
実際に作った豪快な奴がいたのさ。
屋根、ウィンドウ、高さ、カラー…統一感のなさが、
いかにもチャイルドが見そうな童話的ドリームだろ? 
俺も成金チャイルドが生まれたら、
ドリームに出てきたビルを作ってやるか。

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①東方倫敦広場
こいつは、東方のロンドンスクエアってネイムのマンションだ。
昔ロンドンいた時は、
メイフェアでパツ金娘とセレブデートを楽しんだものさ。
このビルの特徴はセンターの穴。
チャイナの伝統的考えだと、穴があることで、
バッドなことがステイしないっていう意味になるんだぜ。
俺も自社ビルに穴ぶち抜いて、
セスナを潜らせるアクロバット飛行大会を開くのもいいな。
オフコース、俺もプライベートゴールドセスナで参戦するぜ。
ナウから楽しみだな。

②上海新天地朗廷酒店
ユニークビルと言えば、
新天地に超ビッグな〝蜂の巣〟があるのを思い出したぜ。
それは、俺のねぐらだった、
5ツ星ホテル「ザ・ランガム新天地上海」さ。
幾何学的な蜂の巣のようなデザインは、
帰巣本能をかきたて、人を惹きつけるよな。
タイムもあるし、
久々にホテルの〝女王蜂〟探しに行ってみるか。

③上海広播大厦
俺がそそられるビルはやっぱり、
近未来をフィーリングできるやつさ。
俺はこのビルをルックした瞬間に、
ボディにバードスキンが立ったぜ。
まさに俺が、チャイルドの頃にシンキングしていた、
ジャスティスヒーローたちの本部そのものだったからさ。
センターの球体がオープンして、
ヒーローの乗ったマシンが、ナウにも出てきそうだろ。
最上階はオフコース司令室だよな。
自社ビルなら、俺の部屋、つまり社長室にするか。
成金ヒーローたる俺の根城にピッタリなデザインだぜ。

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④同済大学中法中心
自社ビルにもアカデミックなエレメントは必要だよな。
アカデミックの象徴と言えば、
大学でファイナルアンサーだろ。
そこで色々ルックしたんだが、
大学にユニークなアーキテクチャは少ないな。
でも1つあったぜ、同済大学に。
こいつはウォールが赤錆まみれなのさ。
まあ、あくまでデザイン上の処理だけどな。
これは学生に向けて、
ヘッドを錆び付かせるなっていう戒めだぜ、メイビー。
デザインにも寓意がニードってことだな。

⑤海通証券大厦
マーケットでマネーを稼ぐのにマストニードなことって、
何だか知ってるか? 
ビッグウェーブに上手くライドすることさ。
マーケットのアップダウンに、
ワンハッピーワンサッドばかりしてたら、
フォーチュンの女神はスマイルしてくれないぜ。
この人民広場前にある証券ビルをルックしてみな。
上部の曲がり具合が、マーケットの荒ウェーブみたいだろ。
オールウェイズ、マーケットを気にしろってことさ。
これこそ、マーケットの天才サーファーたる俺に相応しい
デザインかもな。

⑥上青佳園32号楼
俺の最近の趣味はロッククライミングさ。
どのロックをつかむかで、
その先の運命がチェンジする…
これはセレクトが絶え間なく続く人生の縮図。
それに魅せられたのさ。
このマンション見てみろよ、
デザイナーも俺と同じ考えをベースに設計した結果だよな。
俺なら頂上まで、ロックを備え付けて、
ギネスブックに載るロッククライミング施設にするな。
オフコース、頂点をエブリデイ極めるぜ。

⑦上海龍之夢麗晶大酒店
エブリバディ裏のフェイスを持ってるもんだろ。
このホテルもそうさ。
延安ハイウェイから眺めると、
ただのフラットな一面だが、
バックを見ると段状になってて、
違う表情を見せるのさ。
これは、モダンアートと言っても問題ナッシング。
俺なら作品ネイムは、
アヴァンギャルド・モアイ像と付けるな。
アングルによって、
全くディファレントなフォルムを見せるってのは、
欲張りな俺にとって、欠かせないポイントだぜ。

?①上海明天広場JW万豪酒店
俺らモテ男ってのは、
気配りもフェイスもオフコース、グーだ。
ビルもそうだろ。
ビルのフェイスと言えば、その頂上部だよな。
個性的なフェイスの上海ビル群の中でも、
このJWマリオットはワンテイスト違って、
シャープな角錐が、
切れ長でキリッとした目のイケメンを彷彿とさせるよな。
そして、オサレアイテムの〝パール〟を隠し持って、
ナイトにはパープルのライトをスカイに放つのさ。
とんがって生きる俺の象徴として、ありのデザインだ。

②上海西蔵大厦万怡酒店
男のロマンと言えば、
ワンカントリーワンキャッスルの主になることだよな。
俺は、自社ビルに姫路キャッスルのエレメントを
取り入れるつもりさ。
どうするかシンキングしてた時、
このホテルをルックして、ピンとカムしたのさ。
俺も成金ビル屋上に、キャッスルを建てればいいなと。
ゴールド屋根のこの重厚で堂々としたパレスは、
富と名声、権力の象徴だな。
俺の自社ビル屋上には、
金閣寺のようにゴールドで包んだ
成金キャッスルを建てて、
豊臣秀吉の黄金の茶室ならぬ、
ゴールドのドンペリルームを作るか。

③上海威斯汀大飯店
住む場所がゴールデンキャッスルに決まったら、
身なりやアクセもそれ相応のゴージャスさが必要だよな。
まあ俺は、30キャラットのダイヤリングや、
ロレックスもマウンテンほどあるし、何てことないがな。
だが、さすがの俺も敵わない、
アクセ持ってる奴が外灘にいたぜ。
このウェスティンは、超特大のクラウンを被ってるのさ。
しかも昼はシルバー、夜はゴールドにチェンジするのさ。
相手が人間じゃなくても、負けるのは悔しいもんだ。
俺も可愛い成金キャッスルに、
特大のゴールデンシャチホコをあげるぜ。

④上海新世界麗笙大酒店
同行中の成金フレンドが、藪からスティックに、
人民広場にUFOが現れたというんで、
慌てて見に行ったのさ。
そこにあったのは、ホテルのUFO型の回転レストラン。
まんまと騙されたわけだが、
このUFO、
夜はオレンジのライトを放って交信してるようで、
気になってナイトもスリープできないぜ。
ド派手で奇抜な手法で人を惹きつけるのは、
俺も見習わないとな。

⑤金鐘広場
ペンはソードよりストロングって言うが、
上海はまさにそれを体現してるな。
ソード型ビルはナッシングだが、
ペン型のビルは至る所にあるからな。
このシャープペンシルタイプからボールペンタイプまで、
カラーカラーだぜ。
愛用の最高級蒔絵万年筆「NAMIKI」をモチーフにした
ビルってのも、成金キャッスルに合うだろうな。

⑥上海斯格威鉑爾曼大酒店
俺がリスペクトする英雄は、ナポレオンさ。
ナポレオンが、戦いの勝利を記念して作ったのが、
パリの凱旋門ってのは知ってるよな。
俺も大儲け記念に自社ビルを建てるわけだから、
現代版凱旋門ビルを建てるべきかもな。
俺の人生のキーワード〝シャイニング〟を現すように、
太陽の光に反射して煌く総ガラス張りのこのホテルは、
頂上の〝門〟部分も俺のようにスタイリッシュだし、
理想的な参考資料だな。
さて、凱旋路一帯の土地をリサーチしてみるか。


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?~上海ジャピオン02月24日号

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