年越しは手打ち蕎麦

仕事しごとで、年末感が全くない…。そんな人も少なくないだろう。
せめて大晦日だけでも年末気分を味わうために、今年は年越しそばを手打ちしてはどうだろう? 
 さらに夫婦で打てば、絆もより一層強まるに違いない。
今週はそば打ちの体験リポートを紹介する。

夫婦でそば打ち体験 そば打ち師匠は60歳

そば打ちを体験してくれたのは、村上栄一さんと、奥さんの花野子さんご夫妻。
2人とも5年前に上海に来てから、特に日本らしい年越しは経験していないという。
さらにそば打ちはもちろん、今まで麺作りをしたこともないという全くの初心者。
 そして講師を務めるのは、蕎麦店「紋兵衛」の総経理・土肥さん。
元々日本で事業をしていたのだが、上海に蕎麦を広める決意をしてやってきた筋金入りの蕎麦好き。

同店では普段からそば教室を開催しており、これまでに大人から子どもまで500人以上もの人たちがそば打ちを体験してきた。

 全くの初心者も、始めて90分後には自分で打ったそばを手にする。出来上がりを楽しみに、そば打ちスタート!


初めは少し緊張? 蕎麦粉と初対面

まずは土肥さんからの説明。
「水回し」や、「菊練り」といった耳慣れない言葉のオンパレードに村上夫妻は店に貼ってあるレシピを覗き込みながら、真剣に耳を傾ける。

つまりは粉から麺を作る過程は大きく3段階あって、木鉢の中で粉と水を固めて、麺棒で平らにして、包丁で切る、ということだ。

 体験するのはつなぎが2割、そば粉8割の「二八そば」。この日は、500㌘を1つの鉢で2人一緒に打った。

 スタートは、粉と空気を混ぜる「粉ふるい」から。

「細かくふって、空気を混ぜるのがコツね」と土肥さんが実演して、栄一さんにバトンタッチ。

初めは緊張するのか、恐る恐るといった感じでふるいを完了。
次に、粉に水を足して、混ぜていく。

そば打ちは男性向き? 段々変わる眼の色

水を3回に分けて注ぎ、その度に水と粉を手で混ぜ合わせる。

栄一さんがちょろちょろと回しながら注ぐと、土肥さんが「そうそう、じゃ次は粉と水を合わせる『くくり』やります」と言って手早く混ぜ始めた。

右手を右回り、左手を左回りに交互に回すと段々中くらいの丸い塊ができてくる。

軽快な動きに、夫妻から「おぉー」と感嘆の声。「一見簡単そうだけどね、木鉢の中で手がこんがらがっちゃう人が多いんだ」とのこと。

 花野子さんも試してみるが、初めは手が少しもつれ気味。一方栄一さんは手つきがなんともリズミカルだ。

「初めてとは思えない!」と土肥さんに褒められながら二人三脚で進行。塊が段々増えてきたら、そば玉作りも中盤戦だ。

 次にぽろぽろの塊を1つにまとめる「練りこみ」の作業。

まずは土肥さんがささっとまとめ、状況を解説。

 「今、肌がぶつぶつでしょ?これをこうして150回くらい練っていくと、肌みたいにすべすべしてくる。

嫌なことがあっても、ずっと練ってると忘れちゃうから(笑)。はい、どうぞ」と、栄一さんからスタート。

伸ばしてたたんで、上から体重をかけてつぶす…の繰り返し。
花野子さんも「けっこう硬くなってきた」、と順調そうだ。

 次に表面のシワとり。周辺のシワを中央に寄せて菊の花のような形にしてから、ずんぐりとした円錐形にまとめていく。

難易度の高い作業ながら、栄一さんはまた上手く仕上げた。

すると「いいセンスしてるなあ。弟子になるか?」と土肥さん。

夫妻とも緊張がだんだんほぐれてきた様子で、そば玉完成!

 土肥さんの「シャッターチャンス!」との言葉に、栄一さんが手にそば玉を載せて満面の笑顔となった。


バランス崩して北海道!? そば打ちラストスパート

あとは最終工程の「麺切り」までひとっ走り。

乾くと割れてくるため、時間との勝負だ。

 台に打ち粉をまぶし、手の腹で円の中心とふちの間にくぼみを作るように30㌢程度の円盤状に伸ばして、平らにする。

 「麺棒で丸を四角にします。バランスが難しくて、〝北海道〟になっちゃたりするんだよ」とアドバイスを受けながら、栄一さんが試す。

「力のバランスが難しいっすね」と言いながらすっかり真剣モードだ。

 そして、ひし形になった生地を薄く伸ばす「のし」。

生地を台に広げ、麺棒で厚さ1㍉程度にする。

順調だった栄一さんも「これは難しいな」と、この作業には苦戦。

「右手が強いんですかね」と冷静に分析し始める。

 それでも綺麗にのばし、「本のし」で正確な長方形に。

周りに少しひびが入ってきてしまったが、麺きりまでもう一息だ。

破れないよう気をつけながら3つ折に畳んで、麺を切る。

約1㍉幅に切り揃えたら、麺が切れないように優しく1房つかみ、打ち粉を払って完成! 

 栄一さんの「ハマリそうですね(笑)」の言葉に、花野子さんも思わず笑った。

 その日の夜、手打ちそばを早速食べた村上夫妻は、「今まで食べたそばの中で1番おいしかった」とお腹まで満足の体験となった。

今年の年末は、あなたも手打ちでどうだろう?

【年越し蕎麦の由来】

日本人はどうして年越しにそばを食べるのか? 

これには色んな言い伝えがある。

①そばの麺のように細く長く生きるため
②そばの麺は切れやすいから1年の悪い縁や苦労を切り捨てるため
③そばは悪天候にも強い植物なので、同じように強くなるため

 などなど、さらに地方毎に異なる由来もある。
日本人にとっては1年のうちで最も重要な祭礼となる年末年始。

何かと不便な海外生活の中で、今年も1年無事に過ごせたことに感謝し、大切な誰かと一緒に年越しそばを味わって新たな年を迎えよう。

紋兵衛そば教室
■体験1回コース
料金: 250元
所要時間: 約1時間半
授業時間:10時~と14時~の2回。要予約
内容: 500g、5人前を打つ。
   3人まで追加料金なしで同時受講可能。
   そば打ち後、その場で試食。
   残りはつゆ付きで持ち帰り出来る。

~上海ジャピオン12月19日発行号より

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