魅惑の卸売市場 義烏潜入レポート

目指すは「福田市場」
ブース数なんと4万以上

 義烏のウワサは枚挙にいとまがない。
街全体が店だとか、アラブっ系おじさんがそこらじゅうにいるだとか、日本の100均はここで仕入れているだとか。
行った人の話では、雑貨の洪水だったなんていう声もある。
 とにかく、街全体が大規模な卸売市場と問屋街で埋め尽くされているらしい。
そして、その数ある市場の中でも最大規模を誇る義烏国際商貿城が通称「福田市場」。
そこでは、300万平米の敷地になんと約4万ものブースがひしめいているというのだ。
経済低迷中の今ならバラ売りもしてくれるらしいと聞き、善は急げと、早速新幹線で義烏に向かった。


上海からは新幹線
ベテランガイドの案内で

 ほんの1~2年前までは、義烏に行くにはバスで5時間ほどもかかっていた。
しかし、上海南駅から新幹線(動車組)が開通したおかげで、今では約2時間で義烏駅に到着する。
広い座席でくつろいでいると、山間が続くのんびりした風景に変わって義烏に到着。
今回の案内役、義烏の卸売市場の通訳・ガイドを専門にしている金東梅さんが義烏駅で待っていてくれた。


世界中から集まるバイヤー
100均グッズも豊富!?

 「福田市場」は、1区から、昨年10月にできたばかりの4区までと4つの建物からなる。
日用品、工芸品、アクセサリー、おもちゃ、金物、メガネ、文房具、バッグなど、4万ブースある店舗には170万種類以上の商品が集積されているという。
1つの店を1分見るとして全て見終わるのに1週間かかると言われているのも納得だ。
 中東、香港、韓国、南アフリカ、欧米と、国内外から訪れるバイヤーは1日平均約20万人とも言われ、日本からの視察ツアーや買付けに来る人々も年々増えているとか。
日本の100円ショップの中にもここで仕入れをしているところがあるそうだ。
「小商品海洋、購物者天堂(雑貨の海、買い物天国)」。この言葉が、義烏の今を凝縮している。
 さて、義烏のことが少しわかったところで、さっそく義烏探検へ行ってみよう!


巨大市場の制覇には
現地ガイドが頼り

 今回案内してくれる金さんは、義烏で仕事をして5年のベテランガイド。
流暢な日本語で義烏の街を案内してくれるので心強い。
送迎車の中では、義烏を訪れるバイヤーについて説明してくれた。
 「義烏に訪れる海外のバイヤーは、中東の方が一番多いですね。
なので、水パイプやイスラムのお祈り用絨毯などがあって、扱う商品は国際色豊かです。日本の方も多いですよ。
企業の方や個人でネット販売をしている方など様々な方が来られます。
みなさん、普通1週間は滞在して行かれますね」。と金さん。
 探索の前に、市場の攻略法を教えてくれた。市場に着いたらまず、壁の案内図を確認して、見たいものを決めて計画的にまわる。
そして、旅客センターで案内図をもらう。
1区のビルはA~Eブロック、2区はF、Gブロック、3区はHブロック、そして4区と区画され、ブロック毎にアイテムが分けられているので、地図があれば探しやすい。
 また、2区のFからG間には無料電動カーも走っている。


いいもの発見!
まずロット数の確認を

 まずは1区の正面玄関から入館だ。
こちらはぬいぐるみやパーティーグッズのエリア。
小さなブースがびっしりと並び、どの店も商品が天井まですし詰め状態に置かれている。
 さっそく数字の形をしたバースデーロウソクの値段を聞いてみると、最小購入単位に腰抜け。
1個1・6元だが、注文は360個から・・・。
さすがにそんなにいらないので購入は断念。
そこで金さんが、「少量の買い物のコツは、まず倉庫に在庫があるか確認すること。
在庫があれば、少量でも売ってもらえることがありますよ」と教えてくれた。
次に入ったバッグ店にて、在庫を確認すると、ウエストポーチならあるとの返答。
1個10元で20個からだったが、金さんが20元払うから1個で売ってと頼むとなんとOK! 
 また、1区2階のアクセサリーエリアには、「Stock」や「有現貨」、「零售」などと貼紙された商品が。
これは、店側が処分したい商品なので少量から購入可。
 肝心の値段交渉については、「義烏では、相手が外国人だからといって高い値段を言うことはありません。
競争が激しいため最初に一番安い値段を提示するのが普通」とのこと。
小売価格が高いものほど最小購入数は少なくなる傾向がある
。たとえばUSBメモリ1G(24元~)は20個から。
水パイプは85元(高さ25㌢)でバラ売りOK。
 とはいえ、少量購入できない店も多く、買い物熱が冷めやらない。
すると金さん、「実は小売店がこの市場の中にあるんですよ」と言うではないか。

少しの買い物なら
小売店エリアへ

 その小売店とは、サンプルを購入するバイヤー向けにひとつから販売してくれるお店のこと。
日用品、工芸品、時計、メガネ、文房具、アクセサリーなどを扱う「旅游購物中心」(2区西33号門2階と3階)と、おもちゃを扱う「玩具購物旅游特色街」(1区1階8-14号門)、そしてカバンを扱う「箱包購物旅游専区」(2区中央大庁1階2―6号門及び4階東38-42号門)の全3店だ。
 ここでは、ロット数が多くて買えなかった商品も1個から買える。価格も、卸価格と変わらないものもある。
大人気だったリモコンヘリコプターは卸価格と同じ240元。値切れるので、卸価格を頭に入れて交渉してみよう。


歩き回ったら一休み
市場内にはレストラン多数

 ものすごい広さの義烏を歩き回ると疲れること必至。
適度に休みをとりながら回ろう。
 昼食は、市場内にたくさんあるレストランを利用するのが効率的。
まずはカウンターでコインを買い、好きなおかずをトレイに取る時にそのコインで支払うシステム。
余ったコインはまた現金に交換できる。
このほかに喫茶店などもあるので、一休みスポットには事欠かないだろう。


夜の義烏は違う顔
1泊で楽しむ中東世界!?

 市場は17時前に早々と店じまいしてしまうが、その後は各国料理のレストラン街が活気を呈し始める。
中でもアラブ料理の店は異彩を放ち、まるで中東に来たような雰囲気だ。
 福田市場からタクシーで約15分の「商貿区夜市」。
この稠州路界隈を訪れると、シシカバブの香りが鼻腔をくすぐる。
あちこちで、中東系のおじさんが水タバコ(イスラム圏でポピュラーな喫煙具の一種)を楽しんでいる。
フルーツや花の香りなど、様々な水タバコのフレーバーが昼の疲れを癒すはずだ。
 夜の義烏を味わうなら、是非1泊を。
3ツ星級なら150元前後~、5ツ星級でも400元前後から宿泊できる。
そこには、昼とは異なる夜の顔が待ち受けている。

~上海ジャピオン3月20日号より

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