愛と独断の 第17回上海国際映画祭 突撃リポート

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審査委員長にコン・リー

ジャジャーン! 6月14日(土)~22日(日)開催された「第17回上海国際映画祭」。 映画のためなら、自前のイカダで大西洋を横断してでも駆けつける私、シネ猫が突撃開始!

まずは、「上海国際映画祭」
の基本情報をおさえときましょ。今年17回目を迎える同映画祭は、1993年にスタート。2001年までは隔年開催で、翌年より毎年開催に。1994年には「コンペティティブ長編映画祭」として、国際映画製作者連盟(FIAPF)の公認を受け、ステイタスな国際映画祭の仲間入りを果たしてます。

あまり知られちゃいないけど、中国国内には〝中国四大映画祭(上海国際映画祭、金鶏百花映画祭、中国長春映画祭、珠海映画祭)〟が存在し、その中で歴史、規模共にダントツなのが上海。つまり、中国大陸最大の映画祭というわけよ。

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シャンパンゴールド流行中

映画祭といえば、開幕式のレッドカーペット! 憧れのスターを生で拝もうと、会場の上海大劇院に駆けつけたのはいいけど、そこに待ち受けていたのは…鉄壁の要塞。レッドカーペット周辺には厳重なガード、通りを渡ったところには観光バスが連なってがっつり目隠ししてるっ! これじゃ、進撃の巨人でもない限り、見えねーよ(怒)。あっけなく玉砕したシネ猫、動画サイトでレッカペ鑑賞。今年、開幕式に参加したのは、英国俳優ヒュー・グラント、ニコール・キッドマン、韓流スターのソン・スンホン、レイン。中国イケメン俳優のニコラス・ツェー(謝霆鋒)、チェン・クン(陳坤)もいるっ!それにしても、中華スターが思いのほか少ないのが気になる~。

気を取り直して、ピー猫の辛口ファッションチェック! 今年のレッドカーペットはシャンパンゴールドがトレンドなのか、コン・リー、ニコール・キッドマン、リン・チーリン(林志玲)が同色系。美白肌を強調ってとこか。キッドマンの白さなんて、もはや『呪怨』の俊夫くんといい勝負。あらー、今年はやっちゃってる系の奇抜なセンスのスター不在で残念! で、勝手にベストドレッサーは、ブルーのシンプルなビスチェドレスのガオ・ユエンユエン(高園園)に決定! ワーストは、ちっこいのに柄ドレスでさらに圧縮しちゃった元中国香港アイドルユニット・ツインズのジリアン・チョン(鍾欣桐)。スタイリスト、クビにしたら?

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コンペ作品に異常事態!?

ここからは、今回上映された作品の中から、独断と偏見による話題作をご紹介しますぜ!

まずは、ワールドコンペティション部門「金爵奨」。今回の同部門は全15作品、そのうち3本がワールドプレミア(初の公式上映)というなかなかの快挙。ワールドプレミアの本数は、映画祭のメンツだからねぇ。
ところが、異例のハプニングが勃発! ワールドプレミアの1作品にして、中国の自国映画『勝利』が直前に上映禁止という事態に…。主演男優ホワン・ハイポー(黄海波)が、とある罪を犯して逮捕されたのが理由みたいで、もう唖然ボー然。2011年の『鋼のピアノ』で国際的にも高い評価を受けたジャン・モン(張猛)監督の最新作だってのに! ちなみに今作は、10年間の服役を終えて出所した元ギャングのボスが、幼稚園を経営しながら新たな人生を切り拓いていくというストーリー。まさか、実生活で刑務所に逆戻りとは、話題作りにしたって、こりゃやりすぎ。ポスターの中の俳優の写真が、でっぷり太ったパンダに差し替えられてたのも哀愁を誘ったわ…。

ワールドプレミアの残る2本は、『ブリキの太鼓』(1979年)で知られるドイツの巨匠フォルカー・シュレンドルフ監督の10年ぶりの新作『Diplomatie(外交)』と、周防正行監督作『舞妓はレディ』。前者は、第二次世界大戦中のパリで起きた歴史上の事件を描いたドラマ。アイロニックな鋭い視点は、さすがはシュレンドルフ!と唸らせる1本。一方、周防監督による久々のエンタメ作『舞妓はレディ』は、歌って踊る〝舞妓ミュージカル〟。この作品、とにかく人気が高くてチケットは即完売。ついでにダフ屋の言い値も舞い上がってて、あえなく挫折したんだけどね。チッ!

続いて、アジアの新たな才能を発掘する、コンペ部門「アジア新人奨」から。

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ロックの父、監督デビュー

中国ロック界のゴッドファーザー、ツイ・ジエン(崔健)がギターをメガホンに替えて、52歳にして初監督を務めたのが『藍色骨頭』。2005年発表の自身のアルバム「給你一点顔色」の収録曲「藍色骨頭」からインスパイアされたストーリーなんだって。オープニングからグッと心を鷲づかみにするかっちょいい映像は、ウォン・カーウェイ(王家偉)監督の『天使の涙』や『花様年華』の撮影で知られるクリストファー・ドイル。元々、大親友だというちょい悪オヤジコラボが今後、中国映画界に一大旋風を巻き起こすかも。
名作が銀幕によみがえる

変わって、粋の良さに圧倒されたのは、中国映画『禁止吸煙』。今年春に公開されたニン・ハオ(寧浩)監督の『無人区』とかぶる部分は多々あるけど、とにかくスピード感と勢い、笑いがてんこ盛りでお腹いっぱい。監督の1人がなんと新疆ウイグル地区でツアーガイドの仕事をしている関係で、同地のいいとこ取り映画になってるんだとか。確かに、砂漠のロケーションが素晴らしい!

今年、映画祭のキーワードの1つとなったのが、名作のデジタルリマスター。いわゆる〝4K〟と呼ばれるデジタル修正で、『タクシー・ドライバー』、『ゴッド・ファーザー』などの名作も画質が断然違ってくる。マーロン・ブランドのブルドックみたいなシワもくっきりよ! そのうちの1本、83年の時を経てスクリーンによみがえった2K修復版『恋愛与義務』は、25歳で自らの命を絶ったロアン・リンユイ(阮玲玉)の主演作。公開当時のように、弁士とピアニストを伴って再現された上映会は、オールド映画ファンの涙を誘ったわ。デジタルリマスターは、映画の未来を担う大事な武器だと改めて実感したな。

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中国近代映画の礎

映画祭の個性は、1つはコンペ、もう1つが特集上映。今年の特集上映は、中国近代映画史を語る上で欠かせない二人の監督にスポットを当ててたよ。

中国を代表する監督・俳優、ジャン・ウェン(姜文)の処女作『太陽の少年』(1994年)から近年の大ヒット作『さらば復讐の狼たちよ』(2010年)まで、全作品を網羅した「姜文回顧展」。何度でも観たくなる、秀作ぞろい! ワールドプレミアを予定していた最新作『一歩之遥』の編集が間に合わず、公開が今年末に先送りになるという残念なニュースも飛び込んできたけれど、『さらば復讐の狼たちよ』の続編となる今作、早く観たい!

そして、今年3月に急逝した映画監督・映画プロデューサーのウー・ティエンミン(呉天明)と、同世代の監督作を上映する「呉天明与第五代」。中国第五世代監督といえば、1980年代中旬、自由な作風で中国映画を世界に知らしめ、中国近代映画の礎を築いたと言われる人々。チャン・イーモウ(張芸謀)監督が役者として出演した『老井』(1987年)をはじめとするウー・ティエンミン監督作品と、彼がプロデューサーとして世に送り出したチャン・イーモウの出世作『紅いコーリャン』など、中国映画の黄金時代をプレイバック! 大監督さん、あの頃を思い出してください!

というわけで、幕を閉じた「第17回上海国際映画祭」。総括すると、スター勢ぞろいの派手な大作もなく、コアな映画ファン向けの作品に偏ってたような。それでも平日昼間の上映回も満席、チケット入手困難と、よもやの大盛況。上映後の満場の拍手は、いつだって映画スタッフへのリスペクトと愛を感じさせてくれるんだな。だから映画祭はやめられない! あ、そういえば私のチョウ・ユンファは?

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~上海ジャピオン2014年6月27日号

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