500号記念 500元ツアー ~エディターズ・ドリーム編~

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男子たるもの野望を抱け

ワイは大阪出身、36歳の編集48や。
SNH48を追っかけるため、すべてを捨て上海に乗りこんでもう半年や。
毎週SNH48を見て癒されているんけど、なんか空虚感が残るわ。
そや、もう1つの野望「チャイニーズドリーム」をまだつかんでへんやん。
なになに? 中国香港に競馬場があるから、お馬さんでつかんだらええと。
デスクのおっちゃんええこというやん、ならプラン考えて。
でも旅費は500元や、ビタ1文まけへんで。

中国香港までは硬座19時間やて。しゃあないな、夢をつかむためや、多少は我慢したる。
「沙田競馬場」までは、MTRに乗って「馬場」駅まで行くんやな。

競馬場兵どもが夢の跡

そういったら、おっちゃん、出発前に「お客さん、帰りの交通費は自分で稼いでください。
3レースの3番の馬は鉄板だから、まずはそれで」って言ってたな。よっしゃ、3番に200㌦賭けるで。

さぁ、レースや。あれ…3番めっちゃ出遅れてるやん。
あれ…そのままゴール。くそっ、あのオヤジ、簀巻きにして九龍湾に沈めたる!
しかし、このままやったら帰られへんな。
掛け金のミニマムは10㌦やし、男ならここは勝負や、まだ終わらんで。

1時間後、ゴミ箱から当たり馬券を探すみじめなワイ…
そういえば困ったらこの封筒を開けろって、おっちゃんいってたな言ってたな。えっ?
10㌦入ってるやん。おっちゃんありがと、これでもう一勝負できるわ!

うぉ~神様ありがと。単勝32倍的中や!
よっしゃ! もういっちょいくぞ~、えっ、今のが最終レースやて…。
そういや、もらった封筒の中に入ってた紙に、こんなん書いてたわ
「野望見て無謀とわかる異国の地」。
ワイはその言葉を噛みしめ19時間硬座へ…。

 

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ウサギさんは月にいるぞ

私の夢は月のウサギさんと遊ぶこと。
そこでジャピオンデスクに問い合わせたら、安徽省の景勝地・黄山を紹介してくれたわ。
お月様は空にあるから、山のテッペンに登ればウサギさんに会えるって♪
しかも中秋節時期なら、お月様も真ん丸、絶好のシーズンじゃん!

まずは列車に揺られること6時間半…深夜便だから爆睡、お尻は痺れたけどチャージ完了。
黄山風景区、そして入山口まではバスでス~イスイ♪

入山口から頂上までは約6時間。
1度リタイアした苦い経験があるけど、今回はウサギさんに会えるから、足取りも軽い♪
ふぅ、頂上でひと休み――と言いたいところだけど、その前にテントを張ってスタンバイ。
夜の山頂はとっても冷えるので、防寒対策は必須ね。
夜になったら商店で購入しておいた月餅を片手に、お月様鑑賞。山頂で見るお月様は一段とキレ~。
あ、ウサギさんが呼んでる。わっ、身体がフワッと浮いてきたよ…。

ピンチをチャンスに変える

気が付いたらテントで寝ていた私。夢だったのかな~?
ふと時計を覗くと朝5時!慌てて支度をし、展望スポットへ。
カメラを構えてスタンバイ、だけど日の出の時間を過ぎても太陽は出てこないなぁ…と5時45分、ついにご来光~!
横のおばちゃんは5回目で初めて朝日を拝めたんだって。私、やっぱりツキ持ってる~♪
帰りは行きとは違うルートで下山。
途中、足が疲れて「もう歩けない」ってなったけど、セルフマッサージで乗り切ったわ。
本当は、キラキラと輝く王子様が現れて「姫、どうぞ」っておんぶしてくれるのを期待してたんだけどなあ。
夢か真かおぼろげだけど、ウサギさんと遊べたこのプラン、大満足です♪

 

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笹舟が僕の豪華客船

中国と北朝鮮の国境の河で、ボートに乗れるそうです。
留学時代に中国人の友だちに聞いてから、1度行ってみたいと思ってたんですよ~。
でも今回の予算は500元。
移動手段としては列車で35時間強、予算の50%をオーバー…え、すでにアウトですか?
そこをなんとか、とツアーデスクの方に頼み込むと、プランを設定して送ってくれました。
さすが、500元のプロは違いますね。
「ボートが70元、遊覧船が50元なので笹舟で我慢してください」ですか…えっ?
と、とにかく、車内で読む小説を大量に用意して行ってみましょう!

あと一歩で資金が底を…

今回のプランで食費に使える資金は、たったの2・5元。電車の中で使えるお金はありません。
今は錦州、もう24時間飲まず食わず。
目的地に着く前からグロッキーな僕がバッグから次の文庫本を取り出すと、隣に座っていた中年夫婦が心配してくれました。
えっ、オレンジジュースをくださるんですか!? ありがとうございます!
お二方とは瀋陽でお別れ。このご恩は一生忘れません。

さて、列車内を省エネモードでやり過ごし、朝靄がかかった丹東にやって来ました。
駅から20分ほど歩くと中国と北朝鮮の国境の河、鴨緑江に到着です。
では、笹舟を浮かべて国境に思いを馳せましょう。
さあ、僕の夢を乗せて河を渡ってください!
…あ、沈んだ。

川岸でしばらく呆然とした後、駅に戻る途中で中華まんと水を購入。
これからまた35時間か…と思ったら30時間みたいです。ラッキーと喜んだのもつかの間、目的地は蘇州。
あれ? あー、資金不足で蘇州までしか帰れないんですか。
そこからはヒッチハイク。なるほど、家に帰るまでが遠足ですね…。

 

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本場の味を訪ねて

残業する時、私の夕食は8割方「蘭州拉麺」。
中国に来てから、スパイスたっぷり麺の虜になっちゃった。
ところがね、留学先や出身が蘭州って人に聞くと、本場の蘭州ラーメンはひと味もふた味も違うらしいんだ。
そりゃぜひとも試してみたい!
…と思い始めて早3年。やっと夢を叶えられる日が来たわ。

予算500元でもLCC「春秋航空」便があるじゃん、と思ってたらダメだ、
往復に燃油サーチャージで完全アウト。
ってことで、ジャピオン旅行社のオッサンが組んでくれたのがこのプラン。

どれ食べてもウマイ!

宿に泊まる費用もないし、幸い駅のすぐそばに4軒もラーメン店があるってことなんで、日帰りもヨユーってわけ。
しかし、この歳で21時間硬座は堪えるわ…沢木耕太郎だってバスで世界一周した時は26歳だっつーの。
腰が痛いけど、まずは牛肉麺を食べなきゃ。

うわあ、麺屋さんが何軒も並んでる…どれがいいんだろ。
モシモシそこ行く現地のお方、どのお店の牛肉麺がおいしいデスカ?
「どれでも一緒だよ!」…そう来るか。
じゃあ右端のお店にしておいて、後でお腹空いたら隣のを食べよう。
しかし、丼1杯の麺が6元て。
安いわ、さすが本場。麺の太さが選べるんだっけ、とりあえず「細的」にしとこ。
わーラー油たっぷり、けどそれがウマーイ!! 繰り返すけどさすがは本場の味だわ。

ここまで来たらやっぱり、街の中心を流れる偉大な黄河を見なくちゃ。
うわ~マジで黄色い~。モシモシそこの現地のお方、黄河っていつもこんなに黄色いの?
「(爆笑)」…ですよね~。帰り用に名産のブドウ買って、乗る直前にもう1杯麺食べて、あ~満足♪
これで29時間の硬座も耐えられ…ないけど。

 

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世界遺産を走る

今年の上海マラソンは11月。そろそろ身体を慣らしておかなくちゃいけないんだけど、
もう公園とか平坦な道でのランニングに飽きてたんだ。
そこで、苦手な坂道と、高所での心肺機能強化を目的に、憧れの長城を走ったぜ。
彼女にも付いてきてもらいたかったんだけど、興味がないらしい。
仕方ないな、寂しいけど今回は1人で走るとするか。

さてさて、居庸関は同じ北京の長城・八達嶺と比べて険しく、全長約4㌔、1番高い場所は標高2100㍍あるんだぜ。
2012年にここでクロスカントリー大会が行われたことがあるから、
走れることは走れるんだけど、世界遺産なので事前に申請して許可を得ないとダメ、
あと通行人の邪魔にならないよう道の端を走るのさ。

今度は長城マラソン

入り口に石碑があって「不到長城非好漢(長城に行かぬは男にあらず)」って彫られているんだ。
この石碑を過ぎたらラン開始だ。いきなり50段はある石段を登るんだけど、これがかなり急…。
走破できると思ったけど、30段目ぐらいで失速、歩いちまった…。
でも通路はするっと走れて気持ちいいな。風も心地いいし、眺めも最高さ。
高いからか、速いペースで走ると息苦しくなってきたから、バナナとスポーツドリンクで栄養補給だ。
石段は歩き、通路はランのパターンで何とか長城の端まで到達。もう足が動かない。
10時間以上、硬座に座って、いきなりこれは相当キツい。
でも上海から、500元で世界遺産を走れるなんてドリームだぜ。
毎年4月頃に河北省承徳市で「金山嶺長城マラソン」が行われるから、今度はこれに参加してみるか!

~上海ジャピオン2014年9月19日号

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