上海ジャピオンの特集 記事

中国 秋の味覚

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中国にもある秋の味覚

二十四節気の1つで、旧暦9月に当たる「寒露(かんろ)」が10月8日(水)に過ぎ、秋が本格的に始まった。日本で「収穫の秋」と言われる通り、様々な食物がこの時期に実る。中国も同じく「金秋到了、碩果累累(秋になり、作物が豊富に実る)」の言葉があり、街中の食品市場では、秋を旬とする食材が並ぶ。

マツタケにカボチャ、サツマイモにクリ、サンマ、柿…我々の感覚で秋の味覚と言えば、右記のものが思い浮かぶ。中国では、それらも秋の味覚に含まれるが、上海ガニを筆頭に、ダイコンやレンコン、ヤマイモにトウガンなど、根菜が挙げられる。食材の種類は、地域によって違いはあるものの「時令菜shi2ling4cai4(旬の食材)」と呼び、家庭で調理して楽しむことが多い。

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ローカル市場で旬の味覚を探す

秋の味覚とは、食べ頃を迎えたものだけではない。中国には健康維持のため、季節ごとに決まった食材を摂り入れる習慣がある。漢方の観点から食材を選び、それを秋の味として嗜む傾向が強いのだ。例えば秋は、気候の問題で肌が乾燥しやすいため、水分を多く含むダイコンを、あるいは身体を温める効能があるカボチャを食べよう、といったもの。

食材の性質から選ぶ

これは漢方に基づく概念で、中国で古来伝わってきた食材の性質「四気五味」によるものだ。四気とは、身体を温める効果がある「熱性」と「温性」、体温を下げる「寒性」と「涼性」。また、これらのいずれにも属さない「平性」もある。食材はいずれかの性質を持っており、さらに、「温性」と「熱性」を「陽」、「寒性」を「陰」という。「陽」に属する肉や魚などの食材には、身体を温め、一方「陰」に属する豆類や野菜などの食材には、身体を冷やす作用がある。「五味」は、「酸(酸っぱい)」、「甜(甘い)」、「苦(苦い)」、「辣(辛い)」、「鹹(塩辛い)」の5つの味覚を指し、漢方の食材はすべて、これらのいずれかに分けられている。また、食べた食材が、身体のどの部位や臓器に作用するかを示す「帰経(きけい)」でも分類。「心(心臓、循環器)」、「肺(肺、呼吸器)」、「肝(肝臓)」、「脾(胃腸、脾臓)」、「腎(腎臓、骨、耳)」の5つがあり、例えば、循環器系に関係する臓器や舌などは「心」、呼吸器系や皮膚や鼻、のど、気管支は「肺」となる。そして、この四気五味、や帰経に基づいて、食材や薬物をバランス良く組み合わせることで、健康を維持するのが、料理や漢方処方の大原則だ。

これらを踏まえたうえで、中国の旬菜と秋に摂りたいヘルシー食材を追っていこう。

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「四気五味」の食材一例
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中国秋の食材の王道

中国華南地域の秋を代表する食材と言えば、上海蟹だ。毎年9~10月に水揚げが行われ、市場に出回る。

日本では「チュウゴクモズクガニ」と呼ばれる。現在中国でも流通しているのは、養殖がほとんどで、江蘇省陽澄湖産や上海市崇明島産が有名だ。海のカニに比べれば小さく、身も少量だが、上海蟹の魅力は内子(未成熟の卵)と蟹味噌だ。「九雌十雄(オスは旧暦10月、メスは旧暦9月)」という言い方があり、新暦10月のメスは甲羅の中の内子、11月のオスは味噌と身が絶品という。代表的な食べ方は、15分~20分蒸したカニを、鎮江産の黒酢に付けて食べるというもの。ただし、寄生虫を持っている場合があるので、十分に加熱してからいただきたい。

自宅で手軽に調理できるので、市場でぜひ購入してみよう。

 

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これぞ自然の中の薬

ヤマイモは11月~2月頃に旬を迎えるため、これからがおいしくなる。

すり下ろすとネバネバしたムチンと呼ばれる成分がを含み、独特の甘味を持つヤマイモ。日本ではとろろにしてご飯にかけたり、汁に入れたりするが、中国では「清炒山薬木耳(ヤマイモとキクラゲの炒め物)」、「山薬排骨燙(ヤマイモと鶏のスープ)」など、すり下ろさずに切ったものをそのまま使って味わうことが多い。中国語で山薬という名を持つのは、たんぱく質が豊富なほか、ビタミンB1、B2やカリウム、食物繊維なども比較的多く含まれ、疲労回復、虚弱体質の改善、免疫力のアップなど多数の薬膳効能があるから。また、便秘改善や咳止めにも効果的で、生薬の材料にもなっている。まさに自然の薬と言える。

廉価で栄養や料理法も豊富なので、秋の料理メニューにぜひヤマイモ料理を1品加えておきたい。

 

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秋に香る水中のクリ

ヒシ科の水草で、夏に花を咲かせ、秋に実を膨らませる。

中国名を「菱角」と言い、果実が横から見ると菱形で、角が生えたように、両端に2本のトゲがあることに由来する。「秋天到了、菱角香(秋が来るとヒシがおいしい)」という言葉があるほど、秋の味覚としての認識が強く、特に華南地域では、9月頃から食糧市場で販売される。主に家庭料理用の食材であり、料理店などで用いることは少ない。外側は硬い殻に包まれており、この処理がなかなか大変だが、一度鍋で10分ほど湯がくと、殻が全体的に柔らかくなる。果肉は、茹で具合によって食感が変わり、浅いとシャキシャキ、しっかり茹でたものは栗とレンコンの中間のような、ホクホクした食感になる。

秋にしか出荷されないので、見かけたらぜひ買ってみよう。

 

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ナシでホットデザート

ナシは中国原産のフルーツ。今や日本を含むアジア地域や西洋諸国などで栽培されている。

中国で流通しているのは、洋ナシのようなびん型をした「鴨梨」や華北地域で栽培される「雪花梨」。特有のシャリシャリとした食感はもちろん、水分が80%以上を占めるほど瑞々しく、甘味があるのが特徴。デザートとしてだけではなくスープ料理の具材にも使え、ニンジンやピーマン、肉などと一緒に炒めてもシャリシャリ感は健在で、肉も柔らなくなり、風味も増す。もちろん、生で食べるのも良いが、氷砂糖とナシを煮たホットデザート「氷糖炖雪梨」はやさしい味わいで消化の良い食べ物として、中国では風邪引き時によく食べられるのだとか。

ただ、ナシは「涼性」に属し、身体を冷やす効果があるので、食べ過ぎには注意したい。

 

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ダイエットにダイコン

中国で「秋後蘿蔔賽人参(秋のダイコンは栄養価が高く、コウライニンジンに勝る)」と言われるほど、薬膳効果が注目されているダイコン。

身体を冷やす「寒性」に属し、太る原因となる、身体中の余分な熱を取り除く作用を持つため、過食気味で身体に熱がこもっている人に処方される。体内の老廃物を排泄する力もあるため、ダイエットや美容効果も期待できるという。また、更年期の女性に顕著とされる、イライラやのぼせ、頭痛などの失調状態を表す「気逆(きぎゃく)」を治す効果もあるのだとか。鉄とマグネシウムの含有量が多く、粘膜の病気を癒す作用もあるため、風邪や気管支炎の咳止めにもオススメだ。

身体を冷やす効果があるので、ほかの「熱性」の具材と一緒に、スープや煮物にするのが◎。

 

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レンコンで乾燥対策

水生植物「ハス」の地下茎が肥大化したレンコン。こちらも薬効の高い漢方食材として重宝されている。

性質は加熱により変化するが、肺に溜まった熱を取り、潤いを生んで乾燥を防ぐほか、身体に熱が蓄積して起こる肌トラブル、下痢や便秘、胃腸の問題改善に役立つとされる。これは、ヤマイモ同様、レンコン内に含まれるネバネバ成分、ムチンの働きによるもの。空気が乾燥する秋に相応しい食材だ。中国では「蓮荷全身都是宝(ハスはすべての部分に使用価値がある)」と言われる。実際、レンコンのほか、ハスの花や葉はハス茶に使用でき、「ハスの実」と呼ばれる種子は生食でき、晩夏から初秋にかけて街中で売られるほどだ。

フライやスープ、炒め物など、あらゆる調理法に適しているので、摂り入れてみよう。

 

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肺を潤すことが美肌のカギ

中華スイーツの常連、シロキクラゲ。古くから不老長寿の薬として珍重されてきた。

シロキクラゲは、肺を潤す効果があることで有名。漢方では、肌の潤いには肺が関わっていると考えられており、肺が乾燥すると肌も乾燥すると言われている。肺に潤いを与えるのが、煮ることで出るシロキクラゲのとろみだ。このとろみは内臓の保湿液となり、さらに血管に弾力を持たせるという作用もあるので、肌にとって大事な「潤い」と「ハリ」を得られるわけだ。乾燥した空気を吸い、肺がダメージを受けやすいこれからの季節に欠かせない。

料理法は至って簡単。水で戻してから茹で、クコの実やナツメ、オレンジなど、ほかのフルーツを添えていただこう。楊貴妃も愛したという、美容食材。ぜひお試しあれ。

 

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天然の整腸薬

「ハチミツの歴史は人類の歴史」と言われるほど、人類発展との関わりが深いハチミツ。

漢方でもその薬効が重視され、白キクラゲと同じく肺を潤すほか、身体の気・血などを補い、解毒作用や病気に対する抵抗力を高める効果がある。ハチミツの殺菌効果により、胃の炎症を抑え、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などに用いられてきたことが中国古代の本草書『神農本草経』にも記されているほどだ。秋は気候の変化による身体の冷えや、食べ過ぎなどで胃腸の不調が起こりやすい。その対策にハチミツを摂ることをオススメする。

ハチミツゆず茶や、ヨーグルトに混ぜて食べるのも良い。早速市場に出かけて、食欲&健康の秋を過ごそう。

 

~上海ジャピオン2014年10月24日号

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