本場のちまきを食す①

端午の節句にちまきを食べよう


 中国では古代より、旧暦の5月5日(端午節)に「粽子」(ちまき)を食べる習慣が受け継がれている。この習慣は、中国の故事に由来する。
 紀元前277年、楚の国の政治家(詩人でもあった)・屈源が失脚し、祖国に殉じて5月5日、河に身を投じた。屈源の死を悼む村民たちは、供養のために米を笹の葉に包んで河に流した。これが「粽子」の始まりといわれ、毎年この日にちまきを食べるようになった。のちにこの行為は、邪気を払う風習として習慣化した。
 端午節が近づくと、中国各地で、街中の食品店やスーパーなどが集中的にちまきを売り出す。今年の端午節は新暦の5月31日。上海の街でもすでに、ちまきの「専柜」(専用売り場)が食品店の店頭を賑わし、スーパーには真空パックや冷凍のちまきが並び始めている。

 上海の「専柜」のほとんどを占めるのが、ちまきブランドとして全国的に有名な「五芳齋粽子」のちまきだ。ちまき発祥の地である浙江省嘉興市に生産工場を持つ。同社の上海支社経理の呉大興さんは、「端午節の約1ヵ月前から、上海市内約50ヵ所にある専用売り場では、ちまきを買い求める人の列が途絶えなくなります。それに合わせるように、嘉興市の生産工場では、端午節の約2ヵ月前から通常の作業時間1日8時間を1日12時間に延長し、約1ヵ月前からは昼と夜のシフト制をとり、24時間体制で生産作業にあたっています」と話す。
 嘉興から車で約30分のところにある水郷古鎮・西塘でも、この時期になると、ちまきの生産に変化が表れる。西塘のちまきとしては、個人経営者が作っている1口サイズのちまきが主流だ。しかし、端午節が近づくと、一般的なサイズのちまきも、1口サイズのものと同様に多く作られるようになる。
 端午節には是非、中国本場でちまきを味わってみよう。

~上海ジャピオン4月28日・5月5日合併号より

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