冬のあったかドリンク

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冬の定番コタツで緑茶

ほとんど雪が降らないとはいえ、上海の冬も十分に寒い。冷たい北風で身体の芯まで凍えそう! こんな時には熱い緑茶をすすりながらコタツでのんびり…というのが日本人の様式美かもしれない。しかしこの〝緑茶〟は、実は身体を冷やす飲み物だということをご存じだろうか? 身体を温めるつもりで飲んでいるものが、反対に「冷え」を助長していることがあるのだ。

 

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アツアツの緑茶。温まると思いきや…?

カフェインで冷える

では、身体を冷やす飲み物とはどんなものだろうか? まずは先ほど挙げた緑茶の話をしよう。体温が下がるのは、緑茶に多く含まれる「カフェイン」が原因と言われている。カフェインは神経を刺激して血管を収縮させ、さらに利尿効果も高いので、2重の効果で身体を冷やしてしまう。これはコーヒーを始めとするカフェインを多く含む飲み物に共通することで、飲み過ぎれば冷え性悪化の一因にもなる。実はカフェインには代謝向上の効果もあるのだが、利尿効果により体温を下げる作用の方が大きいようなので注意が必要だ。

〝ホット〟で冷える

また「熱いだけ」あるいは「辛いだけ」のものも身体を冷やす。おかしなことを言っているように聞こえるかもしれないが、これは人間の恒常性によるものだ。たとえ身体が冷えていても、極端に熱いものや辛いものによる刺激を受ければ、人間の身体は発汗して熱を逃がしてしまう。その瞬間は温まっても結果的に体温を下げるわけだ。そう考えると、インドやタイなどの暑い地域で辛いものが好まれるのも納得がいく。特に、唐辛子は利尿作用に富む「カリウム」が多く、どんどん熱を冷ます。そのほか、糖分や脂質が多いものも身体を冷やすので要注意だ。

なにを飲んだら?

それならどうすればいいのだろうか? 冷たいものを飲むべきだろうか? それはさすがに早計だ。あまり冷やし過ぎると、免疫力が低下しマイナス要素になる。答えはカンタン。身体を温めてくれる成分が入ったホットドリンクを飲めばいい。具体例はおいおい紹介するとして、血行促進や代謝向上といった効果を持つ成分が含まれていると、一過性の温かさが終わった後も身体の芯からポカポカになる。

では、身体を温めてくれる飲み物とは、具体的にどんなものだろうか? 早速次のページから、身近な材料で作れるオススメのドリンクを紹介する。身体を内側から温めて、寒い冬を乗り切ろう!

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実は体温を下げてしまうドリンクの一部をピックアップ

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①ジンジャーティー

まずは、あったか飲み物の代表格。紅茶に含まれるポリフェノールの一種「テアフラビン」は、スーパーカテキンとも呼ばれ、強い抗酸化作用を持つ。血液凝固を抑制し血行促進効果があるほか、ウイルスや細菌を抑えたり、虫歯予防、抗ガンなど様々な作用が期待できる。

この、ただでさえ強力な紅茶にショウガをプラス。古川先生によるとショウガは、血の巡りを良好にし、代謝を促進する働きがあるという。そしてその本領が発揮されるのは、乾燥、加熱された時だ。生ショウガは身体を温めるよりも、免疫力を高めたり直接的に細菌を撃退したりする効果が高い。乾燥、加熱することで「ショウガオール」と「ジンゲロン」を生成。これにより血行を促進したり、脂肪分解や代謝を向上させ、身体を芯から温めてくれる。

 

②グリューワイン

 続いては、赤ワインとシナモンを組み合わせた、ホットカクテル。ドイツが発祥とされているが、ヨーロッパ全土で親しまれている。地域によっては白ワインを使用することもある。

適度なアルコール摂取は、血管を広げ、赤ワインに豊富な「ポリフェノール」とシナモンに含まれる「アラキドン酸」が、ともに血液をキレイにしてくれるので、ダブルで血行促進。また、古川先生によれば、赤ワインは心臓に、シナモンは胃腸に働きかけ、冬場のお腹の冷えを改善するのに適しているという。なお、沸騰させるとアルコールが飛んでしまうので、温度調節に気をつけよう。

スパイスはシナモンに限らず、グローブやカルダモン、オールスパイスなど自由に組み合わせ、好みのグリューワインを探してみるのもおもしろい。

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③柚子ほうじ茶

柚子とほうじ茶と聞いて「なぜほうじ茶?」と思う人もいるかもしれない。漢方学では、発酵食品は血行を促進する作用があるとされ、茶葉を発酵して作るほうじ茶もその対象だ。これは前述の紅茶を始め、ウーロン茶、煎茶などにも当てはまる。ほうじ茶は、緑茶の茶葉を火にかけて炒って作られる。この時、「ピラジン」というリラックスや血行促進効果のある成分が増加し、ほうじ茶独特の香ばしさが得られる。

また柚子を始めとするフルーツに多く含まれる「ビタミンC」には、鉄分の吸収を助ける働きがあり、貧血や冷え症の対策に効果的。また、皮ごと使用することで「ビタミンE」や「リモネン」、「ヘスペリジン」といった血流を良くする成分も摂取できる。

ただし、ほうじ茶にも柚子にも利尿作用があるので、大量に摂取することは控える必要がある。何事も加減が大事ということだろう。

④梅昆布茶

海藻類は鉄分やカルシウムなどのミネラルが豊富で、増血効果が望める。昆布には体内の余分な水を排泄し、血流を良くすることで手足を温める助けになるという。血液を増やし血行を良くする、冬場にピッタリの飲み物だ。

また、梅干しには「クエン酸」が豊富で、エネルギー代謝・新陳代謝を高め、疲労を回復してくれる効果がある。古川先生によれば、漢方学の観点において梅干しは、冬場の「寒邪(寒さ)」を身体の中に取り込まないようにする効果があるとされ、梅と昆布の組み合わせは鼻炎の改善にも役立つそうだ。

風邪を予防し、元気に春を迎える心強い味方だ。

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⑤キャロットスムージー

スムージーと聞けばたいていは野菜や果物を使ったシャーベット状の飲み物を思い浮かべるだろう。しかしこちらのドリンクは、冬でも飲みやすいよう加熱したあったか飲み物だ。

作り方はカンタン。冷凍したニンジンと温めた豆乳をミキサーに入れ、滑らかになるまで撹拌するだけ。大豆に含まれる良質な「タンパク質」と「ビタミンE」が血行を促進し、「メチオニン」がエネルギー代謝を高めてくれる。また、ニンジンに含まれる「カロテン」は強力な抗酸化作用があるほか、食物繊維が豊富で、胃腸の働きを活発にするので、胃にやさしい大豆製品との相性も抜群。内臓から身体をポカポカ温める。

そのままでは飲みにくいということであれば、ビタミンやクエン酸が豊富なレモンと、適量のハチミツを加えることでグッと飲みやすくなる。

⑥黒ゴマココア

糖分が多いと身体を冷やしてしまうので、できるだけビターなものが良い。ココアには「テオブロミン」という成分が含まれ、血管を拡張して血流を良くしてくれる。また副交感神経にも作用し、リラックス効果があり、ココアを飲むとホッとするのはこの働きも関係している。また「ポリフェノール」の抗酸化作用が免疫力を高める。

ここに黒ゴマを加えれば、「アントシアニン」と「ビタミンE」によって毛細血管の保護と血行促進効果が強化される。ミネラルも豊富なので増血効果もある。漢方学的では、黒ゴマは腎に効く食材とされ、冬場の下半身の冷えに効果的だという。

血行促進、増血、免疫力アップと3つそろって、まさに冬場に欠かせないのホットドリンクと言える。

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~上海ジャピオン2015年1月9日号

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