上海でお好み焼き②

2006/5/26
上海ジャピオンの特集

上海でお好み焼き三昧

　ここ数年、上海では日本人の増加に伴い日本料理店の数も急増中。お好み焼き専門店も日本人の多い古北・虹橋地区を中心に着実に軒数を増やしている。専門店ともなれば、味の追求、こだわりが生まれ、メニューや具材も各店各様。特にお好み焼きの命とも言えるソースは、どの店も日本から輸入したものに各店独自の味付けを加えるという熱の入れようだ。とろみや甘味に若干の差があるので、食べ比べてみるとおもしろい。週末は、鉄板を囲んで家族団欒や友達とワイワイ食事なんていかがだろう。
　創業から変わらぬ味と評判を引っさげて、４年前に上海にやってきたお好み焼きの老舗ブランド「ぼてぢゅう燦」。山芋をたっぷり加えたソフトで厚みのある生地が特徴だ。一番人気は、大きめに切った豚肉やイカ、むきエビを混ぜ込んだ生地に半熟卵をのせた「三種ミックス月見焼」。焼くときに海苔とかつおぶしをまぶし、さらに豚肉をかぶせて外側のカリカリ感を演出する。豪快にふりかけたかつおぶしが、お好み焼きの上でゆらゆら踊り、食欲をそそる。好みに合わせて、伝統の甘辛ソースと白いマヨネーズをつけるといいだろう。「もちチーズ焼」も女性客からの支持を得ている。
　「やきやき三輪」も「ぼてぢゅう燦」と同様に日本から上海進出した店のひとつ。お好み焼きを形容するときに“外はカリカリ、中はふんわり”というが、同店のお好み焼きの“ふんわり”感は上海随一。陳店長によれば、その秘密は「生地の練り加減とタイミング」だという。鉄板にのせ生地が膨らみ始めたら、素早くひっくり返し、裏に卵を貼り付ける。生地自体に使う卵も多めなので、全体に卵の味を感じさせる。「三輪スペシャル」はシーフード、牛すじ、油かす、じゃがいも入り。「三輪ミックス」は具材を牛肉かシーフードか選ぶ。
　「大阪本場の味、忘れたらあかん」をモットーに、調味料から鉄板まですべて日本から輸入したこだわりの店が「花子」。親しみやすい味と抑えた価格で常連客も多い。旨みたっぷりの特製ダシ汁を練りこんだ生地は、家庭的でどこか懐かしさを覚える味わい。オススメは大阪風の定番「豚玉」と、イカ、タコ、エビなど豊富な具材が入った「ミックスお好み焼き」。大阪風をウリにしているが、業者に特注製作している生めんを使った広島風お好み焼きもある。
　夏場のスタミナアップへ向けて、ボリューム満点のお好み焼きを提案するのは「味蔵」。「豚ステーキミックス玉」は、イカ、タコ、エビ、ホタテ入りの大阪風お好み焼きの上に、豚ステーキとニンニクチップをのせ、ケチャップとマスタードで仕上げた一押しメニューだ。同店では、寿司や刺身も扱っているので、お好み焼きに使用する魚介類の鮮度は抜群。お好み焼き全メニューは、プラス５元で生地にそばを加えたモダン焼きにできる。

　お好み焼きでは上海一の老舗「花月」は、関西風と広島風のどちらも「日本と同じ味」と口コミで評判のお店。一番ダシしか使わない贅沢な生地と化学調味料を一切使わない濃厚なソースに加え、ボリュームのわりに価格も抑え目なので、リピーターも多いという。店内は広くないので、来店の際は予約がベター。
　関西風が中心の上海で、広島風で勝負するのが今年４月古羊路にオープンしたばかりの「武之助」。人気は「広島風お好み焼き肉玉そば」と「広島風お好み焼き肉玉うどん」。薄く焼いた生地をキャベツにかぶせ、蒸すように焼くことでキャベツ本来の甘味を十分に引き出している。最後にしっとり甘めのソースと、紅しょうが、青海苔、ゴマで彩りと風味を添えて出来上がり。広島風お好み焼きの上に、生卵ととろろこんぶをのせた「並木焼き」など、オリジナルメニューもある。
　最後に、東京の味覚もんじゃ焼をウリにするお店が徐家匯にある「三駒屋」。もんじゃ焼を注文する人の大部分が、初めて食べるということもあり、スタッフが焼き方、食べ方を教えてくれる。１枚で２～３人前、ビールのつまみに最適だ。トッピングは豚肉、チーズなどの定番のものから、ツナやカレーなどの変り種まで全35種類あるので、自分好みのもんじゃ焼を楽しめる。