地下鉄終点に行ってみた パートⅡ

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駅のアナウンスで耳にしても、中々利用することがない地下鉄の終点駅。市内から延びるその路線の果てにはいったいどんな世界が広がっているのか――。ガイドブックでもあまり紹介されていない、地下鉄終点駅を巡ってきた。

11号線「花橋」駅

上海―昆山が1時間 住みよいベッドタウン

2013年10月、上海で初めて市を跨ぐ路線として話題になった11号線「花橋」駅。ここはすでに昆山市内であるにも関わらず、上海の「江蘇路」駅からは片道7元、

90分で着く。上海のベッドタウンとして一気に不動産価格も上昇している。

改札を出た取材班を待っていたのは、不動産販売のチラシ配り。市内に比べればまだまだ安いうえ、上海の中心部までのアクセス便から、

人々がマイホームを買い求めるのも頷ける。熱心な勧誘をスルーし外へ出るも、左右どちらに進むべきか悩む取材班①。

そこで駅職員にリサーチしたところ「道路を西に進んで、3つ目の信号の左手に〝花渓公園〟があるよ」と教えてくれた。

直線距離にしておよそ1㌔。1つ目の信号で11号線の末端②を発見する。蘇州までの延長計画もあるらしいが、今のところ工事が始まる気配は見られない。

道路の両脇には飲食店やベーカリー、ヘアサロン、病院と何でもそろう③。

その先に例の公園が見えて来た。東西に200㍍、南北に600㍍伸びる広々とした中国式庭園には芝生や池、東屋など、どれをとっても整備が行き届いている④⑤。

郊外という立地からか人も少なく、まさに穴場だ。都会の喧騒を離れ、リフレッシュに訪れることをオススメする。

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9号線「松江南」駅

 情緒漂う街並み残る山水画の壁画アート

市の南西に位置する松江区は、佘山リゾートやテーマパーク「ハッピーバレー(歓楽谷)」、辰山植物園など、観光スポットが多いことで知られる。

そんな松江区へと伸びているのが9号線。2012年末に「松江体育中心」駅、「酔白池」駅、「松江南站」駅が加わった。

市中心部の「徐家匯」駅からは片道7元、1時間ほど。最初は混み合っていた車内も「松江新城」駅を越えると、一気にガラガラに。

駅を出た目の前に滬杭高速鉄道「松江南」駅①があるのだが、取材当日は週末にも関わらず荷物を提げた人もチラホラ、客引きのタクシー運転手が油を売っている。

近寄ってきた運転手に最寄りスポットを聞くと「だったら酔白池公園があるぞ」との答え。しかし、1つ手前の駅なので、残念ながら却下。

さて、どうしたものか…とりあえず駅を離れようと相乗りタクシーを捕まえ行き先に悩む間に他の乗客を送ることに。

すると、途中で気になる標識を発見。これはイケる! と勘が働いた取材班はすぐさまタクシーを降り目的地へと向かった。

「潅頂禅院②」は1622年から続く歴史ある寺で、本堂には明代の古い石碑が残る。さらにこの一帯③④は、文化保護区として昔ながらの古い街並みが残され、

人々が生活を送る。細い路地を探検気分で進み、川沿いへ出るとそこには300㍍に渡る壁画が⑤!

同地区の観光業活性化のため、敦煌の壁画を修繕したチームが今年3月に作成。歴史ある街並みとアートのコラボ、一見の価値アリだ。

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16号線「滴水湖」駅

乗車率高し16号線船旅へ思いを馳せる

2013年末に開通した16号線は、国内の軌道交通初となるクロスシート(横座席)を採用している。

昨年末には「露山路」駅―「龍陽路」駅間も開通し、始点の「龍陽路」駅から終点まで約90分、片道9元で行けるようになった。

朝のラッシュアワー時の混雑が激しいことで知られる16号線だが、この日も始発駅から乗車したのに、ものすごい混みよう。

クロスシートに座る夢は叶わないのか…1時間が経過し諦め始めた頃、「惠南」駅で一斉に人が降り無事座ることができた。

駅前には噴水広場があり、子どもたちの遊ぶ姿がある①。近くにいたカップルに、滴水湖のほかに見所はないか尋ねると「中国航海博物館がおもしろいよ」と

オススメしてくれたので、早速向かってみることに。

案内された通り、大通り沿いを歩いていくと、右手奥の方に帆船の先端のようなものがチラリと見える。これを目指して歩くこと5分、

帆船をモチーフにデザインされた博物館が現れた②。中へ入ろうとすると、警備員が「最終入場は15時半だからもう時間ないよ」と忠告。

あちゃ~、せめてエントランスだけでも、と覗いてみると、中は吹き抜けになっており大型帆船が出迎える。4万6434平方㍍の敷地内には膨大な数の模型と資料があり、

1日いても飽きないほどの見応え③。

帰りは国内最大の人工湖・滴水湖周辺を散策。露店が出ていて、シャボン玉やアクセサリ、凧などが販売されている④。

立ち時間が多く足がすっかり棒になった取材班は、四輪自転車⑤をレンタル。爽やかな風を受け、秋の訪れを感じるのであった。

 

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13号線「金運路」駅

 意外に都会な嘉定地区グルメにショッピング三昧

市街地から西北に延びる13号線は、上海国際博覧会専用ラインとして2010年4月に「馬当路」駅―「世博大道」駅区間が一時開通。

12年末に「金運路」駅―「金沙江路」駅、昨年末に「金沙江路」駅―「長寿路」駅間が開通し、この沿線上にショッピングモールができるなど、着々と開発が進む。

駅は大通りに面していて車通りが多い①。今まで訪れた終点駅とは景色が異なり、マイナスイオンの溢れる緑はそこにはない。

周りを見渡すと、目の前に巨大なショッピングモール「万達広場②」が鎮座。何でもそろう市内からわざわざ郊外まで来て買い物するメリットはあるのか?

調べてみると、ここは中国不動産大手「大連万達集団」が、五角場、周浦に続いて上海に開発した大型総合施設で、建設総面積約55万平方㍍、

総額40億元を投じた代物なのだとか。

期待に胸を膨らませ顔を見合わせる取材班。施設内には、IMAXシアターを有する映画館があり、2棟の建物の間には〝金街〟と呼ばれる美食店が連なる

アーケードが続く③。しかし昼が遅くお腹も減っていないので、カフェで小休憩。その後、施設の周辺を回り、最初の入口へと戻る。

来た時に気になっていたフライドチキンの店④は相変わらずの長蛇の列。と、そこで広場に置かれた2人乗りの謎の乗り物を発見

――どうやら両サイドに車輪が付いていて、自動で前に進む仕組みのよう。しかも暗くなるとピカピカ光り始めた⑤。

グルメにシネマにショッピングと娯楽施設が充実。新しいデート先候補にいかが?

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~上海ジャピオン10月9日発行号

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