真夏の各国激辛スープ

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激辛スープの代表的存在
爽快感呼ぶレモングラス

 激辛料理の代表格と言えばタイ料理。
中でも「トムヤムクン」は世界三大スープのひとつとして、そして激辛スープの代名詞的存在として、世界に名を馳せる。
 同スープは、レモングラスやバジル、カー(タイショウガ)、エビ、
そして、タイを代表する調味料・ナンプラーなどの材料を使い1日以上かけてじっくりと作られる。
様々な調理法があるが、シェフ歴20数年のタイ人オーナーが料理長を務める「THAI HOUSE」では、
隠し味として仕上げにエバミルクを加えることで濃厚な味わいを出す。
 運ばれてきた深めの器の蓋を取ると、レモングラスやカーなどの入り混じった独特の酸っぱい香りがわーっと漂う。
真っ赤なスープに口をつけると、一口目からピキヌー(唐辛子)のピリピリした辛さが口全体を刺激し、激辛の期待を裏切らない。
その後、さっぱりとした酸味とともにレモングラスの香りが口に広がり、それが鼻から抜けていく感覚は爽快だ。
辛さが限界に達したときには、スープに入る甘いトマトに癒しを求めよう。
 また、四川料理の痺れるような辛さを生み出す〝花椒〟(トウサンショウ)を使っていないためか、
この辛さが不思議とノドには及ばないのでむせるようなことはない。
パイナップルチャーハンなど、甘めの料理とともにスープを堪能しよう。

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THAI HOUSE徐匯店
住所:嘉善路518弄(×建国西路)
電話: 5169-9217(日本語可)
営業時間: 11時~24時
日本語メニュー付き、武定路にも支店あり

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ノドを突く辛さに滲む汗
タマリンド独特の酸味

 主に南インド地方で親しまれスープ「ラッサム」。
日本でいう味噌汁のような感覚で、家庭でも3日に1回は作られる。
とは言え、辛さはインド料理のスープの中でもトップクラスだ。
 このスープはトマトをベースに、ニンニクや赤唐辛子、カレーリーフ、クローブ、タマリンドなど6~7種類の香辛料を使用する。
店によって味はかなり異なるが、特に本場への強いこだわりを感じさせるのは、
6人のインド人シェフたちが腕を奮う「Bukhara」のもの。
本場から取り寄せた材料を使用した、目にも鮮やかなオレンジ色のスープを味わえる。
 スプーンですくって口に運べば、香辛料による鋭い辛味と、トマトとタマリンドによる独特の酸味が同時に押し寄せ、
ノドをピリリと突く。
初めは少しむせてしまうかもしれないが、慣れればクセになる味わい。
本場より辛さを抑えているとは言え、確かな辛さと酸味の刺激により、鼻の下やおでこに汗が滲みだすことだろう。
胃に入ると、クミンやクローブが胃腸を刺激し、食欲を増進する効果もある。夏バテで食欲減退気味の人にもオススメしたい。
 なお、南インドではナンではなく、お米が主食。
スープにつけて食べるなら、「バスマティスライス」(25元)と呼ばれるサラサラのお米をチョイスしよう。

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Bukhara
住所:虹梅路3729号(×延安西路)
電話:6446-8800(英語可)
営業時間:11時~14時半、17時半~23時
www.bukhara.com.cn

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青唐辛子が辛さの秘密
ひと口で汗だく必至

 太陽と情熱の国・メキシコ。辛い料理が似合うこの国では、北米でよく飲まれるチャウダーもメキシコ流にアレンジされる。
 ここで紹介するシーフード・チャウダーには、エビやイカなどの海鮮のほか、
緑色をしたメキシコ原産の食用ホオズキ「トマティーヨ」が丸ごと入り、
細かく刻まれたニンニクや玉ねぎとともに溶けてなくなるまで1時間以上かけてじっくり煮込まれる。
テキサス風メキシコ料理を提供する「メキシコリンド」では、
さらにメキシコを代表する青唐辛子「ハラペーニョ」を加え、辛さを爆発させる。
 ハラペーニョが多めに入ったスープは緑色をしており、真っ赤な色をしたトムヤムクンのような視覚に訴える辛さはない。
スープをひとすくい口入れると、トマティーヨの酸味がグッと押し寄せるが、
すぐにハラペーニョの激辛に取って代わられる。
ノドがひりひりして、胃がカーッと熱くなり、汗がどっと噴き出すこと請け合いだ。
サウナ以上に全身のあらゆる汗腺から汗が出る感覚は、爽快のひと言。
また、スープにはクリームが入っており、舌には膜が張られて味覚を失ってしまうことはない。
 なので、コーンのトルティーヤにのせて提供されるグリルした肉料理「ファヒータ」など、
メキシコ定番料理もスープと一緒に存分に味わいたい。

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mexico lindo
住所: 虹梅路3338弄虹梅路休閑街39号(×延安西路)
電話: 6465-9336(英語可)
営業時間: 11時半~24時(ラストオーダー22時半)

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唐辛子の「辛」に宣戦布告
スープに潜む甘辛の旨み

 韓国料理といえば、唐辛子を使った激辛料理として有名。
中でも、直訳すると「辛いスープ」という名を持つ、
唐辛子のたっぷりと入った「メウンタン」が、韓国料理における激辛最高峰と言える。
 同スープは、昆布や長ネギ、メッチという小さな魚、小エビなどの材料を2、3時間煮込んだ出汁に、
ぶつ切りの魚とペースト状の自家製ヤンニョム(合わせ調味料)、そして、韓国料理に不可欠の唐辛子を入れて作る。
韓国人駐在員も辛さに痺れるという「錦秀江山」のメウンタンは、タラを使ったスープが特徴だ。
 ヤンニョムと唐辛子がたっぷり入り、マグマの溶岩を思わせる真っ赤なスープが、
目の前で沸々と煮えたぎり辛さを増していく。
その中で、ぶつ切りにされたタラの旨みがスープに溶け出す様子をまずは眺めよう。
スープを口に入れた瞬間に、口中が火達磨になりそうな不安を抱きつつの一口目。
唐辛子のビリッとする予想通りの辛さに、身体中から汗が噴出す。
しかし次の瞬間、辛さの中に潜む魚から染み出た旨みと、唐辛子の甘みが口いっぱいに広がる。
身体の芯から燃える感覚をじっくり味わい、リフレッシュしよう。
 最後は、この旨みたっぷりのスープで炒めたチャーハンで〆るも良し、麺で〆るも良し。
鍋の底まで平らげたい。

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錦秀江山
住所: 虹泉路1101弄59号2楼(×虹?路)
電話: 3432-1711
営業時間: 11時半~14時、17時半~22時

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甘さと辛さのせめぎ合い
漂うココナッツの香り

 東南アジアで激辛スープを出す国といえば、まず名前が挙がるのはタイだが、シンガポールにも辛いスープは存在する。
その名は「ラクサ」。
 同料理は、シンガポール・マレーシアでポピュラーなココナッツ風味のスープヌードルで、
潰した唐辛子やカー(タイショウガ)、レモングラス、玉ねぎなどを油で炒めた後、ココナッツミルクを入れて作るスープがキモとなる。
シンガポールにも系列の店を構えるレストラン「牛車水」は、タイやマレーシア、インドネシアから輸入した調味料で、
上海風のアレンジを加えず本場の味を追及する。
 甘いココナッツの香りを漂わせる同料理は、見てビックリ。
ココナッツの白スープに、激辛色の〝赤〟が浮かぶ。
ココナッツの甘みが勝つか、唐辛子の辛さが勝つか、期待を膨らませつつ、
まずスープに口をつけると、軍配はココナッツにあがり、甘い香りが口に広がる。
ただ、その後すぐに、むせるような唐辛子の辛さが襲ってくるのだ。
そうなると、またココナッツの甘さを求めてスープに口をつけ…。
その「甘さ」と「辛さ」のスパイラルがヤミツキになり、快感を呼ぶことだろう。
ラクサ自体が主食なので、ほかの料理に目をくれず、一心不乱に食べよう。

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牛車水
住所: 遵義路100号虹橋上海城6-3(×紫雲路)
電話: 6237-2686
営業時間: 10時半~22時
日本語メニューあり

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~上海ジャピオン8月7日号より

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