待ってました!? 第2弾 メタボおじさん修行の旅

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正統後継者に指導を仰ぐ 優雅さと美しさが特徴の剣

 最近彼女ができて、ハッピーオーラ満点…しかし、幸せの余りメタボ体型に(笑)。このポッコリしたお腹をどうにかしたい! と悩むこっちーが今回挑戦したのは、上海に本部を置く太極拳教室「陳氏太極拳養芯会」の中国武術だ。

同教室は日本人講師である塚本博信氏が、陳氏太極拳と、500年の歴史を持つ剣や大刀などを使った武術を指導するため週1回開講。同氏は、2016年5月に中国河南省にある太極拳の発祥地・陳家溝で、陳氏太極拳の伝承者として門人儀式に参加し、中国国内や日本に向けてその地位を発信することが正式に認められた、11代目正統継承者である。

同氏の肩書におののきながら「痛くないっすか?痛いのマジで嫌なんです」と、まだ何も始まってもいないのに幾度となく情けないセリフを吐くこっちー。まずは、優雅さと美しさが特徴である剣の指導を受けることに。基本的な操法が多数あるということで、〝ド素人〟でもできる簡単な3つの型を学ぶ。剣を持たない反対側の指は、人差し指と中指を揃えて伸ばし、薬指と小指を曲げてその指先を親指で押さえる「剣指」という特別な手の形をしないといけないんだそう。しかし、こっちーの指先はピースになっている(写真②)…こんなことでは先が心配だが、こっちーが次に習うは槍と大刀を使ったさらに上級者向けの武術だ。

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標準武器だった大刀

生徒のみなさんがバッグから取り出し、いそいそと組み立てているのは、本日のメインとなる全長196㌢、刃渡り58㌢の刀「大刀(だいとう)」。大刀とは長い柄に幅が広い片刃の刀身を付けた武器で、刃自体の重量をもってたたき斬ることを目的としているため、力が強く身体が頑強で威風堂々とした人が使うのに適していると言う。南宋初期には対重装騎兵用の武器として、大斧とともに重装歩兵の標準武器となったものの、火薬を使う兵器の発展で銃や大砲が台頭し、重くて扱いづらいこともあり、兵器としての第一線を退いたんだとか。

初心者は、型を覚えるために重さ200~400㌘のものを使い、上級者では3㌔500~5㌔500㌘を使用する。伝人(伝承者)ともなると、10㌔ほどの大刀を振り回せるんだそう。一方、自分の背丈以上もある大刀を目にしたこっちーは「いやいやいや、こんなのどうするんすか? 危ないですよ」と始める前からへっぴり腰(笑)。そんな彼をよそに、師匠はやる気満々だ。

いよいよ実践スタート

まず、みんなのレッスン風景を見学させてもらう。と、簡単そうに動く彼らの姿に何を錯覚したのか「はい、はい、はい、そういう感じですね。イケるかもしれません」などと大口を叩くこっちー。大丈夫かしら…と心配する取材班を尻目に、マンツーマンでゆっくりとした動きを学び始めた…が、言わんこっちゃない! 武器にビビりまくって、顔が引きつる、引きつる(写真②)。ただ、次第に慣れてきたのか笑顔がこぼれるようになり(写真③)、ここで師匠から本格的な型の指導を受けることに。美しくキレのあるカンフーの動きをしながら、大刀を振り下ろしたり、突き上げたり、くるくる回したり…必死についていこうと、もがくこっちーに静かにエールを送る取材班。遠目にはかなり様になっている様子が覗える(写真④)。

調子が出てきたところだったが、雨が本降りになってきたため、室内へ移動。ここで、外(写真②・③・④)と内(写真⑤・⑦・⑧)でこっちーの足元が少し変わったことにお気付きだろうか。〝裾は引くずるくらいがカッコいい〟という情報を仕入れ早速実践しているのだ。確かに!少し強そうに見えると取材班が褒めると「ですよね、ですよね」と片刃の部分を使って師匠に技を仕掛けるはっちゃけっぷり(写真⑤)。師匠も「あ~れ~」と一緒になって楽しんでくれており、その姿にホッと胸をなでおろす取材班だった。

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槍の名手に劣らない動き

続いてはシンプルな形状だが、攻撃力の高い「槍術」を学ぶ。槍の先端部は金属製の刃でできており、槍杆に木ネジなどで固定する。その固定した根元に馬のたてがみなどで作られた房を付けるのが一般的だ。この房の役目は、槍で相手を刺した時、血が槍杆を伝って流れ、血で手が滑るのを防ぐためと言われている。

先ほどと打って変わり軽い槍を手にしたこっちーは、楽勝と言わんばかりに「これいいっすね♪」と満面の笑み(写真⑥)。動作にも余裕が出てきて、槍使いの名手だという師匠の動きにもある程度付いていけるようになる(写真⑦)。動ける自分に自信を持ったのか、最後はまた大刀にチャレンジしたいと決めポーズ! (写真⑧)。そんなこっちーの様子を微笑ましく見つめる師匠であった。

メタボ体型改善には至らず

こっちーに今日の感想を聞いてみると「最初はただ怖いだけだったが、中国武術の一端を知れて楽しかった」と話す。「ただ、ポッコリお腹を引き締めるにはまだまだ修行が足りないな…」とポツリつぶやき、その場を後にしたのだった…。

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~上海ジャピオン2017年10月27日発行号

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