第1回 中国国際輸入博覧会レポート

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世界各国から出展者が集結

去る2018年11月5日(月)、虹橋国際空港の西側に建つ世界最大級のコンベンションセンター「国家会展中心(上海)」にて、「第1回中国国際輸入博覧会」が開幕。151カ国の国と地域から3617社が出展し、業界向けのセミナー、新製品発表会、ビジネスマッチングなどのサブイベントが多数行われた。同博覧会を訪れた中国内外の営業担当者は40万人以上、計15万社のバイヤーが参加し、来場者は80万人を超え、成約予定額は578億ドルに達したとされる。会期は6日間にわたり、大盛況のうちに幕を閉じた。

同博覧会は昨年5月、首都・北京で開催された「〝一帯一路〟国際協力サミットフォーラム」において、中国国家主席がその開催を発表。〝輸入に特化した総合見本市〟との位置付けで、中国と世界各国との経済交流、協力を強化するとともに、世界の貿易と経済成長を促し、開放型の世界経済発展を促進する、という目的が掲げられた一大イベントであった。また中国政府は今後5年間で、10兆㌦以上の商品とサービスを輸入し、世界中の企業に向け、中国市場に進出する歴史的な機会を提供するとしている。さらに今後1年間で、世界及び中国大陸で初発売される新商品、新技術、サービスは570件以上となる見通しだ。

中国国家主席の姿も

国家主席が開幕式に出席し、主旨講演を行ったとあって、世界中から注目を集めていた同博覧会。しかし一般向けにはチケットが入手困難であり、変わり行く街並みや交通規制、公共工事は目にしたものの…展内では一体何が行われていたのであろう? という人も多いはず。次ページからは、未来の生活に密着性が高まるであろう「ロボットレストラン」や「パワーアシストスーツ」の開発に見られる〝産業界の発展〟にスポットを当て、「中国企業」と「日系企業」2つの観点から輸入博を探っていく。

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産業技術発展が顕著に

中国市場の消費量、輸入量は急速に増加しており、大きなポテンシャルを秘めている。近年では世界で最も人口が多く、世界第2位の経済大国、消費国、輸入国にもなった。そんな中で中国の産業界では、世界的に見ても〝最も先進的な取り組み〟が始まっていた。

今回の輸入博で、勢いを増す中国オートメーション産業の最先端技術が垣間見られる「ロボットレストラン」が登場したのだ。

ウェイターはロボット

輸入博では来場者及び出展者に向け、場内で飲食サービスを提供する100以上のレストランが続々と到来した。伝統的な上海料理店などが出展する中で注目を浴びたのが、「ロボットレストラン〝ROBOT.HE 機器人餐庁〟」だ。中国のインターネット黎明期の1999年に創業されてから近年目覚ましい成長を見せる「阿里巴巴(アリババ)」傘下の、「盒馬鲜生(ハーマーシェンション)」が展開している。

このレストランには、輸入博に向け開発が進められていた〝新形態のオーダーシステム〟が取り入れられた。客はレストランに入ってテーブルに着席し、スマホでQRコードをスキャンして注文すると、できたての温かい料理がロボットの〝手〟でレールに乗せられ、客の目の前に運ばれてくる。そして「ご注文の品です。ごゆっくりお召し上がりください」の音声メッセージが流れるというものだ。ロボットは、料理を乗せると自動的に注文元のテーブルまでの最適ルートを計算する。二次元バーコードが設置された搬送経路の上をスムーズに移動し、約40秒で提供する仕組みだ。

中国企業のニューリテール戦略が具現化されたとも言える近未来的なレストランの姿は、国内外から大きな注目を浴びた。

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中国でビジネス展開に意欲

輸入博公式ホームページによると、日本からの企業出展が出展社数、規模ともにトップであったと言う。現在、中国ではネットショップなど色々な方法で日本の商品を買えるうえ、日系デパートなどの店舗でも実際に手に取ることができる。売り手側は中国側バイヤーとスムーズに交流するため「微信(WeChat)」を活用するなど、様々な取り組みをしている。今回の輸入博は、そんな日系企業にとっても業務拡大のチャンスであった。では、実際に出展した企業の手応えはどのようなものであったのだろうか? 今回は近未来車などの「産業関連技術製品」を展示した「(株)ジェイテクト」の清水氏に、現場からの〝声〟を伺った。

手応えを感じた出展

清水氏:今回の輸入博覧会では、あらゆる産業の人々へ弊社製品

を知っていただくよい機会となりました。自動車ブースは、2017年4月に開催された「上海モーターショー」以上の人出が感じられ、弊社ブースにおいても非常に活気がありました。

展示では、来場者に理解していただきやすくするため、実際に体感できるような工夫をしたほか、バスがバス停に自動で正しく停まる制御技術などの最新技術を映像で紹介。また、少子高齢化や労働災害の増加などの社会的な課題に対して開発されたパワーアシストスーツ「J―PAS」を実際に体験してもらったり、ギア加工を一台で実現した工作機械「GS300H」の加工実演を行いました。

工作機械は有力なビジネスマッチングが数件あったことが、予期せぬうれしい展開となりました。中国内外の皆様にも好評を得られたと思います。日本製品に期待が寄せられていると、肌で感じました。

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輸入商品を中心に販売する

一般には馴染みの薄い輸入博であったが、世界中から集められた選りすぐりのインポート商品を購入することができる〝輸入博アンテナショップ〟が、市内中心地に常設されているのをご存じだろうか? 入場無料で、閉幕後も利用できるとあって中国内外の来訪客で賑わう。

「東方国際輸入商品販売センター」と呼ばれるこの施設は、中山北路2900号に設けられ、展示商品は日本を含む約30カ国から100以上のブランドが進出。ニュージーランド産の無添加「ピックスピーナッツバター」(88元~)や、フランス伝統の制法が存分に生かされたオーガニック・ベビー用品ブランド「Moulin Roty(ムーラン・ロティ)」、日本からは最新のベビー用品を網羅する「コンビ」の育児用品などが購入できる。また同センターでは、今後も様々な輸入商品が売買できるオンラインプラットフォームを設ける。

次回の輸入博は来年11月

中国国際輸入博覧局の副局長によると、第2回輸入博の企業出展申請は、2018年7月1日からすでに開始されており、現在200以上の企業が参加同意書に調印し、出展面積は3万平米と言われている。なお第2回輸入博は、19年11月5日(火)~11月10日(日)に開催される予定。

経済グローバル化の推進が中国の未来を切り開き、中国経済ひいては世界経済が更なる発展を遂げることが期待されている。

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~上海ジャピオン2018年11月23日発行号

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