紹興酒から白酒、地ビールまで 中国酒の世界に酔う

世界三大蒸留酒・白酒

製法異なる7種の香型

白酒は、ブランデーとウィスキーに並ぶ世界三大蒸留酒に数えられる。原料は主に、イネ科のコーリャン(高梁)やジャガイモ、トウモロコシなど。アルコール度数は40~50度のものが多いが、一部銘柄では60度を超すものもある。

冒頭で述べた「中国八大名酒」、内訳は貴州省産「茅台酒(マオタイジウ)」、同省「董酒(ドンジウ)」、四川省産「五糧液(ウーリィァンイェ)」、同省「剣南春(ジィエンナンチュン)」、同省「泸州老窖(ルゥジョウラオジィアオ)」、山西省産「汾酒(フェンジウ)」、陜西省産「西鳳酒(シーフォンジウ)」、安徽省「貢酒(ゴンジウ)」とされる。いずれも白酒だが、それぞれ製法や原料、アルコール度数が異なるため、味わいは様々。白酒は「香型(シャンシン)」と呼ばれる香りによる分類法で7種に分けられ、濃香型、清香型、醤香型、米香型、芝麻香型、鳳香型、馥郁香型がある。

ブランド品値段は、1本数千元、中には1万元を超えるものもある。そのためか、偽造品が作られてしまうため、正規品ではフタに細工を施し、初心者では簡単に開けられない仕組みになっている。外フタが無事取れても、中ブタがあり、それは壊すしかないのだ。そうすることで、中身をすり替えられたり、容器をマネされたりするのを防いでいるんだとか。

甘味が強くまろやかな黄酒

米酒や果実酒も欠かせない

日本でよく知られる、通称・紹興酒。これは厳密には「黄酒(ホアンジウ)」という。浙江省の紹興市で造られる黄酒が、日本では黄酒の総称のように扱われているのだ。

黄酒は醸造酒で、アルコール度数は9~15度ほど、醸造の過程で「糖化」を行うため、ほのかな甘味とまろやかな口当たりで飲みやすい。原料は、コメやトウモロコシ、小麦、キビなどで、全国で醸造されている。しかし地域によってメインの原料が異なり、上海市を含む南方地方では、うるち米「糯米黄酒」、北京など北方ではキビ「黍米黄酒」、吉林省や山東省など一部地域はコメ「大米黄酒」、福建省や浙江省ではうるち米を原料に、漢方「紅曲」で糖化させる「紅曲黄酒」がある。これからの時期、上海蟹(大閘蟹)の濃厚カニミソと黄酒の相性は抜群。国慶節休暇にぜひ一度ご賞味あれ。

さらに中国では、コメを使った米酒や、ヤマモモ(楊梅)を白酒と氷砂糖で漬けた「楊梅酒」をはじめとする果実酒も豊富。それでは次ページから、中国酒を楽しめる中華料理店やバーを紹介していく。

文化香る文廟で紹興酒

上海の古き良き街並みが今なお残る、老西門の一角に構える歴史的建築物「文廟(ウェンミィアオ)」。この外壁に建つのが、紹興料理店「孔乙己(コンイージー)」文廟店だ。なお店名の「孔乙己」は、かの有名な作家・魯迅の『阿Q正伝』の中の一編「孔乙己」に登場する、学問はあるが、酒場でおちぶれている孔乙己という男の名から取っている。

同店では、浙江省の紹興料理をはじめ、上海料理、寧波料理など、長三角エリア一帯の料理を主に扱う。紹興酒は15種類ほどを用意し、銘柄によって250㍉から注文できる。チョイスに迷った時は「紹興酒飲み比べセット」(50元)をどうぞ。原料であるうるち米の量を通常より多く用い、コメの香り豊かな「加飯酒(5年)」をはじめ全5種で、1杯約60㍉。見た目はほぼ同じだが、甘いものからやや酸味があるものまで味が異なるので、紹興酒初心者にピッタリ。もちろん瓶で注文するのもいいが、ストレートで飲む方が紹興酒本来の甘味を感じられる。

飲み比べで色んな味を嗜む

紹興酒にはやはり紹興料理を。紹興料理の特徴は、調理に紹興酒を用いたり、アルコールに合うよう濃い目に味付けをしたりしていること。中でもオススメは、紹興酒や醤油などのタレを使った「鶏の煮込み」(56元/半羽、108元/1羽)だ。鶏肉はホロホロになるまで柔らかく煮込まれ、紹興酒のアルコール分は飛んでいるため香りだけが残り、非常に食べやすい。ほか「ウイキョウ豆(茴香豆)」(15元)も、紹興酒とよく合うので、忘れずに注文しよう。

白酒ベースの中華カクテル

外灘から路地に一歩足を踏み入れたところにあるのが、中国酒バー「壹玖肆伍(1945)中国酒館」だ。

店内は、さすが外灘という立地だけあって高級感がありつつ、落ち着いた雰囲気。カウンター席はもちろんのこと、テーブルソファ席、テラス席まであるので、天気がいい日は秋風に吹かれながら酒を嗜むのもまた一興だ。なお同店では外灘のバーでは珍しくサービス料が掛からないため、割安感がある。

同店は白酒や紹興酒を使ったカクテルをメインに提供。一番人気は、若者向けに作られた白酒「食鉄獣」をベースに、ライム、パッションフルーツ、そしてピンクペッパー(粉紅胡椒粒)で風味付けした「鳥語花香」(98元)だ。中国茶で使われるような茶器に入れ、鳥籠の形をしたトレイで提供。見た目も中国らしさにこだわった一杯、ぜひ一度試してほしい。さらに紹興酒×ボタン×バラのカクテル「牡丹亭」(188元)など、創作カクテルは全4種を揃える。

中国酒の世界に浸かる

また、長時間かけて飲むことを想定したロングドリンクでは、紹興酒+スプライト「紹興元紅加雪碧」、紹興酒+ソルティーソーダ「紹興元紅加塩汽水」(各88元/杯)などを用意。ストレートで紹興酒を飲むのは苦手…という人は試してみて。ほかにも、6種の白酒をストレートで試飲する「中国白酒之旅」(238元)、ウイスキーの「中国威士忌之旅」(398元/各人)など、中国酒に酔いしれる品揃えとなっている。

~上海ジャピオン2019年9月27日発行号

最新号の電子版はこちらから

PAGE TOP