カラダの60%をえらぶ

上海の水ってどんな水?


水道水が飲める、世界的に稀な国から来た私たち。
だからこそ、他国の水事情には疎くなりがち。

だけど、「なんとなく」は生活の大敵。
私たちは、体の6割が水でできていて、
毎日2リットル以上の水分を摂取している。

水を正しく選ぶことは、健康のための基礎中の基礎。
まずは、上海の水を知ることから始めよう。

問題意識を持ってはいても、上海の水道水事情はなかなか分からないもの。そこで、三菱レイヨンの現地法人である上海麗陽咨詢有限公司の総経理・指山氏に、詳しく話を伺った。

【Q1】
 上海の水が、日本と違う点はどこですか?

【A1】
 上海の水道水をそのまま飲用することはできるだけ避けたい、という点のほか、大きな違いとして水の硬度があげられます。硬度とは、水中に含まれるミネラル分(カルシウムイオンとマグネシウムイオン)を数値化したもので、この数値の高い水は硬水と呼ばれます。WHO(世界保健機関)では、1リットル中のミネラル含有量が120ミリグラム以上の水を硬水と定義しています。
 日本の水道水は、硬度が20~100ミリグラム/リットルほどの軟水ですが、上海の水道水は130~240ミリグラム/リトルの硬水。そのため、飲み慣れない硬水に腸を刺激され、お腹をくだす日本人もいます。ただ、胃腸が敏感な人も徐々に慣らせば問題ありません。市販の水にも硬水は多く(「エビアン」の硬度は291ミリグラム/リットル)、そうした水に馴染んでいれば、硬水といっても特に身構える必要はないでしょう。

【Q2】
 上海の水道水の問題は?
【A2】
  大きな問題としては、以下の3つが考えられます。
・水源の汚染
・浄水場~家庭の間で起こる二次汚染
・二次汚染による、水の殺菌力の低下
 上海では特に、水源となる長江の汚染が問題視されています。長江は6000キロ以上に渡り、途中で様々な排水が流れ込んでいるので、農薬や化学物質などによる水質汚染が深刻化しているのです。
 また、上海市内の水道管は劣化が進んでいる物が多く、浄水場で処理した水が家庭に届くまでに再び汚染されるという二次汚染問題も指摘されています。具体的には、ここで鉄サビや原虫類の混入、さらに有機物との反応により水道水中の塩素殺菌力が低下するという被害が考えられます。

【Q3】
 上海の水道水は、今後良くなりますか?
【A3】
 上海市政府は、2010年の万博までに、市内の水道水を直接飲めるレベルに引き上げる方針を打ち出しています。そのため、今後は良くなっていくと思われます。ただ、改善策として計画中の古い水道管の取り替え工事が、実現可能なのか疑問視する向きもあるようです。

【Q4】
 上海人の水意識は?
【A4】
 全体的に、水の安全性への関心が高まりつつあるようです。
 例えば、飲水器(ウォーターサーバー)は、安全のために定期的な清掃などのメンテナンスが不可欠。また市販されている桶水にも、水質の問題で摘発されるケースが出ています。こうした水の安全に関する知識が、ニュースなどから徐々に市民に浸透しているようですね。
 また、不動産物件の中には、あらかじめセントラル浄水設備を備えたマンションや、室内に浄水器を備え付けた部屋も増えています。安全な水を飲もうという意識は、今後も広がっていくでしょう。


プロフィール
上海麗陽咨詢有限公司(三菱レイヨン現地法人)の総経理・指山正敏氏

万博までに水道管取り替え

 上海市では、二次汚染の怖れがある市内の古い水道管を、2010年までにすべて取り替える計画を立てている。工事開始は来年の予定。
 水道管には、100年以上前の物も残っており、サビついて水を通さない物もある。昨今では、水道問題に市民の関心が集まっており、住人の要望から水道管の取り替えも行われている。
 計画では、総延長1・5万キロメートルにのぼる古い水道管と、12万個の旧型貯水タンクの取り替え、8000余りの地下貯水池の新設が予定されている。市ではこの工事に、45億元の費用を用意している。

『解放日報』2006年8月7日より

キレイな水をえらぶ方法


浄水器で楽々キッチン

浄水器とは、水道水をろ過して浄化する器具のこと。ビルトイン式、カウンタートップ式、蛇口直結式など、形状も様々。


水道水


フィルター
(活性炭、中空糸膜、逆浸透膜など)
↓   →カビ臭、濁り(サビなど)、残留塩素、化学物質、大腸菌群、細菌類、溶解性鉛

ろ過水

メリット
・キッチンに便利
 蛇口から浄水した水を出せるので、お米をとぐ、野菜を洗う、皿をすすぐ、などキッチンでの仕事に使いやすい。

・二次汚染の心配がない
 飲水器のように、浄水した水が二次的に汚染される心配がないので、最低限の安全性は確保できる。

うまく使うために

・最適なものを選ぶ
 ろ過方式には様々あるので、上海の水質に適したものを選びたい。また、浄水器のスペック選びの際は、水道水の質が最も悪くなる夏場を基準にしよう。

・信頼性を確かめる
 中国では、浄水器の信頼性を示す基準が曖昧なので、メーカー選びは重要。メーカーの信頼性を確かめるには、とにかくいろいろと聞いてみて、専門的な質問にどれだけ答えられるかを見る。

・メンテナンス
 フィルターは使えば使うほど劣化するもの。取り替え期限をきちんと把握しよう。特に、精密なろ過ほど劣化が早くなりがち。

(取材協力/アクア商貿(上海)有限公司)

ミネラルウォーターで栄養補給

ミネラルウォーターの基準は国によって違うが、中国では、市販される水は5つの種類に区別される。

・蒸留水
 水道水を蒸留した水。ミネラルなどの含有物はない。
・純浄水
 水道水を浄水装置によってろ過した水。ろ過方法は様々だが、通常ミネラルはほとんどない。
・鉱化水/鉱物質飲水
 純浄水に、人口合成のミネラルを加えた水。
・天然水/山泉水
 湖底や地下を源泉とする天然の水で、ミネラルの量が「鉱泉水」の基準に達していないもの。
・鉱泉水
 地下を源泉とする天然の水で、メタ珪酸(偏珪酸)・ストロンチウム・リチウムのうち一種以上が、中国の規定量に達しているもの。

メリット
・ミネラル補給

 体の生理作用に必要なミネラルを、効率的に吸収できる。具体的には、スポーツ後や妊産婦のミネラル補給、老廃物の排出、胃腸の調整、ダイエット補助効果などが見込める。

・汚染のない安心感
 汚染された水を浄水処理した水に比べ、天然の良質水は、一度も汚染されていないという安心感がある。また、水道での二次汚染の心配もない。

うまく使うために
・信頼性を確かめる
 品質基準も強化され、最近は減っているようだが、ボトル内の水が実際の表示と異なっているケースもあるのが現状だ。なるべく、信頼できるメーカーの商品を選びたい。

・水の品質に気をつける
 水には消費期限があるので、開封後は長期保存を避ける。中国衛生局は、市販の水の消費期限を、開封前なら3カ月としており、開封後も1週間~10日で飲みきるよう勧めている。また、飲水器は日光の当たるところに設置しない。

・メンテナンス
 飲水器は使い続けると水アカなどが溜まるので、3カ月~半年に1回、専門家による清掃を受けることが望ましい。

(記事協力/上海増田貿易有限公司)

水の悩みにお答えします

生活に関わる水のお悩みに、その道の専門家がアドバイス

入居前に水質を確かめたいんです
 2004年以降に建設された物件では、水質にいくらかの改善が見られます。ですから、築年数をひとつの目安にするのもいいかも知れません。
 ほかに、水道水を実際に出すときは、一カ所だけでなく、すべてチェックしましょう。可能なら、バスタブに水を溜めるのも手です。溜めてみると水のにごり具合も一目瞭然ですよ。
 でも実際のところ、よっぽどの高級物件でない限り、どの物件も水質に大きな差はないと思います。どうしても自宅の水質が気になるようなら、浄水器の設置がオススメです。私たちの取り扱っている浄水器は、においや黄ばみといった水の悩みをほとんど解決することが可能で、実際入居前に設置を希望する人も多いんですよ。
 最後に、黄ばんでしまう洗濯物の対策をひとつ。上海の家庭では、洗濯物の黄ばみ対策で、洗濯の際に漂白剤を入れるのが一般的です。漂白剤は、中国語で「漂白粉」と言い、スーパーでも手に入るので、使ってみてはいかがですか?


黄少婕さん
エイブル
ハウジングアドバイザー

おいしいお茶を淹れたいんです
 お茶を淹れるのに軟水がいいというのは、専門家の間では定説で、その理由には、香りもうまみも出やすいということが挙げられます。
 私の店舗で使っているのは「農夫山泉」というミネラルウォーターです。「農夫山泉」は、天然水なのでお茶を淹れるのに適していると思います。そのまま飲んでも、水自体に甘味がありおいしいですよ。
 特に紅茶を美味しく淹れる場合には、空気をたくさん含んだ水を使うことが非常に重要です。空気の量は、水が沸騰するごとに減少するので、何度も沸騰させたり、ポットなどで長時間高温のままにするのは禁物です。テレビなどで、高いところからお湯を注ぐお茶の淹れ方を見たことはありませんか?あれも、紅茶の美味しい淹れ方のひとつで、水に空気を含ませることが目的です。
 美味しく淹れたお茶を存分に楽しむには、どんなお茶においても使用するコップを、予め温めておくことをお忘れなく。中国でも美味しいお茶を楽しんで下さい。


西原禎志さん
TEA Camellia
老板

上海に来てから、髪がボロボロなんです
 上海に来て髪が傷む人は多いですね。でも、街で見かける中国人は、髪がきれいな人が多いと思いませんか?
 同じ上海の水を使っていても、傷みの度合いに差があるのは、日本人の髪質そのものが原因のひとつです。中国人の髪は刺激に強いのに比べて、日本人の髪は傷みやすいんですよ。だから同じ水を使っていても、差が出るんです。
 ほかに考えられるのは、洗髪剤です。中国人は日頃から油っぽい食事をしたり、日本人のように毎日お風呂に入る習慣がないので、洗髪剤の洗浄力が日本のものに比べて強いんです。その洗浄力が、日本人の髪には強すぎて、どうしてもパサパサになってしまうんです。
 そこで、私たちのサロンでは、大型軟水機を導入して、洗髪の際には軟水を使用しています。洗髪剤も、低刺激のものを使い、髪へ与える刺激をできる限り抑えています。
もちろん、自宅でも軟水機を使うのが1番ですが、なかなか難しいですね。そこで、簡単に取り入れられるヘアケアの方法をご紹介しましょう。
 まず、洗髪剤を日本製のものなど、なるべく低刺激のものにすること。シャンプーの際は、できるだけ細かい泡を作って洗うこと。トリートメント(護理)の際は5~10分放置して、じっくり浸透させるといいです。
 また、傷みに敏感な方の中には、すすぎの仕上げに、軟水のミネラルウォーターをかける人もいるようです。髪へのダメージを軽減させたいなら、これくらい徹底的にやってみてもいいかもしれませんね。


高橋佳代さん
HAIR SALON AGITO
スタイリスト

~上海ジャピオン9月1日発行号より

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