アート空間「M50」へ②

新旧整乱のアート空間を歩く

 M50に足を踏み入れると、奇妙でいびつな感触を覚える。計画されたスマートな通りの向こうに現れる、廃屋と見まごう古アパート。現代ギャラリーの隣で人を迎える、洞窟のような伝統芸術画廊。ぴかぴかのオブジェの隣に、無造作に積み上げられた建築資材――。それはまるで、旧市街と新興住宅が混在する蘇州河一帯の景色を凝縮したかのようだ。M50を楽しむには、ただそんな景色を眺めながら、気のむくままに歩けばいい。敷地面積は約2・4万平方メートルというから、「新天地」よりやや狭い程度。偶然に身を任せながら、絵画、立体、映像、服飾など、多種多様なアートを堪能したい。ギャラリーの移転や改装も日常的なので、再訪しても新たな変化を目の当たりにできるはずだ。ちなみにギャラリーの多くは月曜休館で、夜は18時前後で閉まる。

information
蘇州河をのぞむ莫于山路50号は、普陀区と静安区の境あたりにあり、上海駅からなら徒歩で20分程度。
詳細情報は公式ウェブサイトでも確認できる。


比翼芸術:7号楼4階

イギリス、フランス、スイス、イスラエルなど、10を超える国と地域からアーティストが集まるM50。
ここでは、彼らに活動の場を提供し、顧客との間を取り持ちながら、積極的に上海アートシーンの発展に関わって来たギャラリーも多い。
よく知られるのは、東廊芸術、香格納画廊、H空間、比翼芸術など。


4号楼1階
現在M50には、それぞれ数字が振られた22の棟がある。
中でも最大なのが4号楼で、小さな20近いギャラリーがひしめく雰囲気を見るだけでも楽しめる。
また、柵に遮られて直接行くことができない21号楼(手前の17号楼2階から渡り廊下を通って行く)など、迷路のような棟同士の構造も楽しみどころ。


半度珈琲:11号楼1階
敷地正面にはレンガ造りのオシャレなカフェもあるが、休憩するなら半度カフェもオススメ。
中国の民俗音楽レーベルが経営しており、毎週土曜20時からは演奏会も開かれる。
林小草オーナーによれば「アートめぐりの休憩だけでなく、音楽のために訪れる人も増えている」そうだ。
問い合わせは6276-8267。

~上海ジャピオン10月27日発行号より

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