酒香る、年の暮れ②

二日酔いにならないための秘策


酒が持つ万国共通の悪友・二日酔い。吐くなら飲むな――しかし飲まねばならない時もある。そこで編集部から、二日酔い・悪酔いを防ぐための秘訣をお届け!

※本記事は医療手段を紹介するものではありません。
アルコールの過剰摂取による体の不調については、専門機関の適切な診療を受けてください。

事前の備え

・コンディションの調整
・酸っぱいもの
・牛乳


 備え有れば憂いなし! 重要な飲み会に臨む時は、事前の備えが重要だ。

 決戦までに時間があるなら、とにかくコンディションの調整を心がけよう。ひとつは栄養面。良質のタンパク質やビタミンを摂り、肝機能を高めておくのだ。もうひとつは睡眠。特に前夜は充分寝て、体調を万全に。
 当日でもやれることはある。まず、梅干、お酢、ミカンなどの酸っぱいものを摂っておこう。これらは肝機能を促進してくれる。そしてご存知の方も多いだろうが、飲み会直前の牛乳! 胃壁に膜を作ってくれるので、アルコールの吸収が和らぐ。ちなみに、チーズやヨーグルトでも同様の効果がある。手元にあれば、胃薬やウコンを飲んでおくのも良い。

席上の注意

・タンパク質
・ビタミンC
・チャンポンに注意


 乾杯! と飲み始めてからも、頭に入れておくことがある。

 まず基本は、タンパク質を摂りながら飲む、ということ。良質のタンパク質は、アルコールの分解を助け、急激な酔いを防ぐのだ。消化に良い豆腐やチーズ、お刺身などがオススメ。逆に脂肪の多い料理は、胃にもたれて悪酔いの原因になることがあるのでNG。
 また、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解を助けるビタミンCの摂取も心がけたい。これは、フルーツだけでなく、枝豆などにも多く含まれている。
 最後に、お酒のチャンポンには注意しよう。それ自体は悪酔いの原因にはならないものの、口当たりが変わると飲む量が増えがち。適量を超えないよう意識しておこう。

飲んだ後で

・水分補給
・汗をかく

 飲んだ、酔った、頭痛で目が覚めた。そんな翌日でも、まだできることはある。
 とにかくは水分補給。血中のアルコール濃度を薄めるのだ。スポーツドリンク、お茶、ジュースなどでOK。
 そして、汗をかく。ぬるま湯につかったり、歩いたりして、新陳代謝を活性化させ、アルコールと後悔を排出してしまおう。

飲めない人対策


事前のアピール

飲めないことを、先に周囲に伝えておく。最初からソフトドリンクを頼むのもいい。

水と並行して飲む

水のグラスをそばに置いておき、お酒を飲むたびに水も飲む。

満杯のままに

これ以上飲めないと思ったら、グラスのお酒は満杯のままにしておくのも手。

ドクターに訊く、お酒のこれホント?


飲めば飲むほど強くなる?
 まず、持って生まれた資質について。お酒に強い遺伝子をA、弱い遺伝子をaとすると、日本人は遺伝的にAA、Aa、aaの3種類に分かれます。残念ですが、酒に弱いAaや飲めないaaの人は、努力してもAAにはなれません。
 これとは別に、飲めば飲むほど出るアルデヒド分解酵素も確かにあります。その特徴は①数週間飲まなければ元に戻る②出し続けると肝機能障害を起こすことがある!
 つまり、確かに飲むほど強くなる面はあるものの、それは言わば肝機能の切り売り。飲める資質のない人が無理に飲んで強くなろうとするのは、無謀というものですよ。

迎え酒って効果ある?
全く効果ありません。
 実はこれ、血中のアルコール濃度を再度高め、頭痛や不快感をマヒさせているだけ。ただのごまかしです。その酔いが醒めたら、また〝迎え酒〟が必要になる訳で……。
 この悪循環はアルコール依存の第一歩と呼ばれており、とにかく止めて欲しいですね。

二日酔いには頭痛薬?
 二日酔いの時は「ただバカを悔いて寝てろ」と言いますが……私も賛成です(笑)。
 そもそも市販の頭痛薬は、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドに対応してないんですよ。効果があるとすれば、(食べられるなら)果糖や卵などを摂ることくらいですね。
 最後に、アルコールの致死量の目安は、体重60キロの人で、15度の酒を30分以内に1リットル飲むことです。これからのシーズン、一気飲みには本当に注意してください。

上海国際クリニック
主任医師
小林昌明


~上海ジャピオン11月24日発行号より

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