佐藤姉妹の馬陸ぶどう狩り体験記

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 ぶどう狩りの季節は7月初旬~9月末。
このわずか3カ月に、毎年約20万人が訪れるという「馬陸葡萄主題公園」。
ぶどうの名産地として名高い同公園は、嘉定区の東、馬陸鎮に位置する。
では早速、佐藤姉妹のぶどう狩りの様子を…とその前に、
同公園の副総経理・孫杰さんに同公園について解説してもらった。

名産地として名高い公園
毎夏20万人がぶどう狩りに

 総面積500㌶という広大な敷地を誇る公園内には、現在改良中のものも含め、
100種類以上のぶどうが栽培されている。
孫さんは、ぶどうの木の本数について、1㌶あたり60~100本ぐらいと推測する。
というのも、初めは1㌶あたりに60本植えたそうだが、その後30年間で、勝手に増えてきたという。
ぶどうの繁殖力もあなどれない。

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わずか30年で一世を風靡
現代科学がもたらす恵の味

 今でこそ、ぶどうを中心とした農業が盛んに行われている馬陸鎮。
孫さん曰く、1981年に同公園の前身である馬陸葡萄産業がスタートする前までは、
この一帯に農園はなかったという。
 ではなぜ、この地でぶどう栽培が行われるようになったのだろうか。
その謎を、孫さんにぶつけてみた。
「それは一重に当公園の努力です(笑)」と、冗談交じりに話し出す。
「上海は、もともとぶどうの栽培には適さない土地でした。
ただ、現代の科学技術を持ってすれば、良いぶどうが作れるのではないかと思ったんです」
と、当時を振り返る。
 「80年代初期~90年代中期は、もっぱら地を耕し、ぶどうを育てました。
そして、90年代後半には徹底的に味の改良に取り組み、2001年、現在の形にたどり着いたんです」
と、誇らしげ。
それから商標を取得。瞬く間に『馬陸葡萄』の名が全国に広まり、ぶどうのブランド化に成功したというワケだ。
 これを機に、公園の外でも、積極的にぶどう栽培が行われるようになったそう。
ちなみに、「馬陸葡萄」とは、同公園で収穫したものだけに付くブランド名である。

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年間売り上げ1000万元
訪れた客だけがありつける

 幾多の人の努力あって完成した「馬陸葡萄」。
その年間売り上げは1000万元にも上るという。
実が大きく、奥深い甘味に魅了されるファンも多く、遠方からはるばる買いに来る客も多いとか。
というのも実はこのぶどう、卸しは一切しておらず、同公園に行かない限り、ありつくことができないからなのだ。
 スーパーなどに出回らないにもかかわらず、これだけの知名度と人気を誇るのはなぜなのか。
今回は、その魅力を検証すべく、佐藤姉妹がぶどう狩りへ。
2人は、地下鉄2号線の「江蘇路」駅で待ち合わせると、「馬陸葡萄主題公園」へと出発した。

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入場券は大人1人30元
気さくなガイドがご案内

 地下鉄とバスを乗り継いで、やっと馬陸葡萄主題公園に着いた佐藤姉妹。
日頃はあまり外出しないという2人だが、
今回は、広告会社に勤務するぶどうに目がないお姉さんが、夏休み中の妹さんを誘ってぶどう狩りに。
 2人は早速、入場券30元/人(写真①)を購入。
すると、顔より大きなサンバイザーをかぶった気さくな女性が、
「私がガイドするわね!」と言って、ガイドについてくれた。
彼女の名前は王さん。王さん曰く、ここでは全てのお客さんに無料でガイドがつくという。

同公園の目玉「ぶどう回廊」
頭上に広がるぶどうの下を

 2人は王さんに連れられて、ぶどう畑へと続く「葡萄走廊(ぶどう回廊)」(写真②)へ。
頭上を埋め尽くす無数のぶどうに、「すご~い! これ全部ぶどうじゃ~ん♪」と、早くも大興奮のお姉さん。
逸る気持ちを抑えつつ、王さんの延々と続くぶどう談に耳を傾ける2人だった。

待望のぶどう狩りスタート
ぶどうは500㌘30元!

 ぶどう回廊を抜けると、そこには、今回の舞台となるぶどうのビニールハウスがあった。
2人は、専用のハサミとガゴを受け取ると、ルンルン気分でその中へ(写真③)。
いよいよ、本命のぶどう狩りがスタートだ!
 今回2人が狩り取るぶどうは、バラの香りがする「黄?瑰(バラぶどう)」。
王さん曰く、ぶどう狩りのぶどうは、30元/500㌘とのこと。
2人は、2房ずつ狩り取ることに。
 まずは、王さんに習いながら、ビニールハウスの中のぶどうを満遍なく観察する。
「これどう?」、「こっちの方がいいよ!」と、念入りに品定めをする2人。
そして、妹さんが大ぶりの1房を発見! 
「まずは、ぶどうの粒が取れないよう、ぶどうに袋をかぶせて。そして、ヘタの上の部分を切るのよ!」
と、狩り方を伝授する王さん(写真④)。
パツンという音と同時に、「まずは、1房目をゲット~♪」と、歓声を上げる妹さんがいた。
ズシリと重い戦利品を手に、満面の笑みを浮かべている(写真⑥)。
 徐々に手つきがプロっぽくなってきた2人。
あまりの楽しさに、お姉さんはこっそり3房目を狩り取る(写真⑤)。
それを見た妹さんが、「同じ種類のぶどうばっかりになっちゃうよ」と、突っ込むも、時既に遅し…。
 王さんによると、1日にぶどう狩りできるのは1、2種類で、
何を狩れるかは、当日の朝にしか分からないという。
日本人にもお馴染みの巨峰は、8月に狩れる予定。
目的ありきの人は問い合わせる方が無難だ。
 なお、ぶどう狩り中にぶどうを食べるのはNGなので、
食べるなら、公園内に設置してある、試食コーナー(無料)で頂こう。

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涼しい休憩所で一休み
もぎ立てのぶどうジュース

 ぶどう狩りが一段落した2人は、王さんの薦めで、
休憩所の「迎賓園(インビンユエン)」(写真⑧)で一休みすることに。
 迎賓園の壁には大型のファンが取り付けられ、中は涼しい。
さらに、天井はぶどうで埋め尽くされており、まるでぶどう園の中のオアシスのようだ。
 早速2人は、王さんイチオシの「ぶどうジュース」(20元/杯)を注文。
味は、カウンターに並べられているぶどう(写真⑦)から選択できる。
2人は2種類の味を楽しもうと、お姉さんは先ほど狩り取った「黄?瑰」を、
妹さんはお酒の味がするという紫色の「京亜」をセレクト。
しかし出てきたものは、なにやら濁っている(写真⑨)。
なんとスタッフが、親切心で2つをミックスしてくれたのだ。
「これはこれでイケルね!」と、笑いあう2人だった。
 このほか公園内には、「葡萄科普館(ぶどう資料館)」(写真⑩)や、「水上ぶどう狩り場」(写真⑪)などもある。

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ぶどう公園のレストラン
魅惑のぶどう料理を堪能

 公園を散策すること3時間。
さすがにお腹もペコペコに。
王さん曰く、公園内にある「紅葡萄餐庁(ぶどうレストラン)」では、ぶどう料理が食べられるという。
2人は、王さんに別れを告げると、レストランへ向かった。
 席に通され、メニューを開くと、そこにはぶどうを使った料理がズラリ。
2人は、「葡萄蝦仁(ぶどうとエビの炒め物)」(58元)と「葡萄水餃(ぶどうの水餃子)」(15元)を注文した。
 まず運ばれてきたのは、「葡萄蝦仁」(写真⑭)。
意を決して、ぶどうとエビを同時に口の中へ放り込むお姉さん。
一瞬間を置いて、「美味し~♪」と、感嘆のひと声。
「エビの旨みと、ぶどうの甘酸っぱさが、お互いを高め合ってる感じ!」と、絶賛する。
 続いて運ばれてきた「葡萄水餃」(写真⑬)。
今度は、妹さんが挑戦。
具ではなく、皮を練る際にぶどう汁を織り交ぜているそうで、
「ほのかにぶどうの香りがする」と、妹さん(写真⑫)。
 そうこうしているうちに、バスの時間が迫り、さっと会計を済ませ2人は外へ出るのだった。

品種も様々お土産ぶどう
お土産用ワイン樽も人気

 バス停へ向かう途中、お土産売り場「葡萄銷售中心」に立ち寄る2人。
ここでは、数種類のぶどうを、30~35元/500㌘で購入できる(写真⑯)。
もちろんの試食も可(写真⑮)。
また、同公園のぶどう製ではないが、お土産用のワインもある。
赤ワインボトル(750㍉リットル)は68元、ワイン樽(1100㍉リットル)は198元だ(写真⑰)。
 2人は、ワイン樽1つと2種類のぶどうを2房ずつ購入。
「今晩は、家でぶどうパーティーしよ~」と、2人で声を弾ませバスに飛び乗ったのだった。

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~上海ジャピオン8月13日号より

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