中国茶芸の世界に触れて…
田中さんの紹介で伺ったのは、中国茶が好きな服部和美さん。
お手前を学ぶ茶芸教室で、お茶の新たな楽しみ方に出会ったそう。
時計回りは「帰って」
お茶の作法にびっくり
「ポットのお湯を茶壷に注ぐときは、時計と逆回りにまわしながら。時計回りだと『早く帰って』の意味になってしまうそうなんです」と楽しげに話す服部和美さん。
紅茶党の和美さんの楽しみは、1人の時間にゆっくりとお茶をいれて味わうこと。上海に来てから、中国茶を飲む機会が増え、今年の春から中国茶のお手前を学ぶ教室に通ってみると、茶芸の世界は思いのほか興味深かったと言う。
客人の位置に合わせて茶器を並べ、まずは背筋を伸ばす。かつて、袖が長い服を着ていた時代の名残で、茶器を扱う手の下側には常にもう片方の手を添えて。茶を注ぐときにはできるだけ高いところから。人差し指と中指でテーブルをノックすると、「ありがとう」のサイン――。
「そんな作法のすべてが、〝もてなし〟に通じていることに感心しました。1人でお茶を飲むときにお作法通りにいれることはないですが(笑)、意味を知るとお茶に対する考え方も変わりましたね」
(右写真)手首の下にもう片方の手を添えてお茶を注ぐ
「茶壷」を育てる!?
中国茶らしい楽しみ方
毎回、教室で違った種類のお茶を味わってみて気がついたこと。それは「花のような香りとまろやかな飲み口の鉄観音が好き」という自身の嗜好だった。そして、和美さんにとってさらに印象深かったのが〝茶壷を育てる〟という行為。
「ひとつの茶壷で1種類のお茶をいれ続けると、お湯を注ぐだけで、そのお茶の香りが楽しめるようになるそうなんです」
時間をかけて少しづつ、茶壷にお茶の香りを移す。そこに、中国茶ならではの歴史を感じると話す和美さん。来年春の本帰国までに、「これだ」という茶葉を見つけるのがこれからの目標だ。
お気に入りの茶器は、教室を主宰する「楽々茶」で購入
服部和美さん
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~上海ジャピオン9月19日発行号より