最新!! HSKK&TECC ってなーに?

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日本国内での先駆け「中検」

まずは中国語検定試験の歴史を追ってみよう。中国は1970年代から新たな政策が開始され、それに伴う中国経済の発展と中日両国の経済・文化交流の活性化で、日本においても中国語修得者が年々増えつつあった。その中で81年、中国語の実力を測定する検定試験として、「中国語検定試験」(以下「中検」)が、現「日本中国語検定協会」の前身「中国語学力認定協会」により日本国内で初めて実施された。その後「中検」は国内で最も歴史ある中国語の検定試験として、社会的評価に広く用いられ、大学の単位認定や、企業における採用、人事評価に使われることが多い。英語でいう「英検」に相当する試験で、試験問題も英検と同じように級によって異なる。主に日本人が対象となるため、出題文が日本語なのが特徴だ。

世界標準基準となる「HSK」

一方で「HSK」とは「漢語水平考試(Hanyu Shuiping Kaoshi)」の略称で、中国政府教育部認定の検定試験であり、中国語能力を国際レベルで測定する。日本国内も91年から現在に至るまで毎年数回実施されており、世界基準の中国語検定としては最も権威のある試験だ。「中検」と異なるのは、世界118の国と地域で実施され、全受験者が同じ設問に解答する。2010年には大規模な改定が行われ、「新HSK」では「旧HSK」にはなかった作文問題が導入された。これにより「リーディング(読解)」、「ライティング(作文)」、「リスニング(聴力)」それぞれの能力の均整がとれていることが求められるようになった。学問として知識を測るものとは少し異なり、実際にどれだけ中国語を使いこなせるか、という能力を測定するところに特徴を持つ。

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「HSKK」と「TECC」

前述の2つの検定試験に比べ、さらにコミュニケーション能力の測定に重きを置くのが、最近注目を集めている「HSKK」と「TECC」だ。言語能力は「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」4つの技能すべてがバランスよく必要とされるため、今後は「HSK」に加え、口語試験である「HSKK」や、日常生活やビジネスにおいて必要な、総合運用能力を測る「TECC」が重視される可能性が出てきた。次ページからは、この2つの検定試験の特徴を見ていこう。

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スピーキング能力を測定

「HSKK」とは「漢語水平口語考試(Hanyu Shuiping Kouyu Kaoshi)」の略称で、“中国語スピーキング能力の測定”つまり口語試験のみで評価が問われるもの。読解や作文、聴力を総合的に測る「HSK」とは全く別物であり、〝会話のみの検定試験〟となる。試験は、インターネットを通じて音声で問題を流し、それを聞き取り、話すという形式で実施。オンライン試験の場合、回答はそのままオンライン経由で録音される。受験する級は初級、中級、高級の3ランクに分かれており、いずれも100点満点中60点に相当する点数が取得できれば合格だ。

試験時間は各級とも20~30分と短いが、文章を聞いて復唱したり、要約して話したりするため、「HSK」に比べて難易度は高い。初級はHSK1~2級に相当し、基本的な日常のコミュニケーション能力が問われる。中級はHSK3~4級に相当し、中国語が母語である話者と流暢に会話ができるレベルが必要。最難関の高級はHSK5級に相当し、自分の考えを流暢に伝えられるかどうかが試される。自分の言葉で話すということは、語彙力に加え、単語を文章に組み立て、さらに中国標準語「普通話」の発音で話すという能力が求められるのだ。

今後もニーズが高まる資格

以上を踏まえると、まずは「HSK」の受験を優先したいところだが、中国の学校へ入学する場合や中国企業への就職には、やはり「HSKK」が重要となる場合もあるので、念頭に置いておきたい。また、今後は「HSK」よりもさらにコミュニケーション能力が問われる「HSKK」の方が、資格取得の場面において重視される可能性が高い、という意見も多く見られる。

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中国語能力のスコアを算出

「TECC」とは「中国語コミュニケーション能力検定(Test of Communicative Chinese)」の略称で、その名の通り「中国語によるコミュニケーション能力」を測定する検定である。現在は「中国語コミュニケーション協会」が日本で試験内容の開発をし、「ハオ中国語アカデミー」が運営している。専門的な知識や高度な内容はなく、実際にコミュニケーションをする際の中国語運用能力を正確に測定するため、出題内容も日常生活やビジネスシーンでよく使われる中国語が出題される。この趣旨に協賛した34社の有名企業とともに、1997年から検定試験が始まった。現在も「TECC」を活用する企業は増え続けており、日系企業の多くが採用、昇進、海外派遣の選考、社員教育時における能力の目安としている。試験内容は全問マークシート方式で、リスニングとリーディングの2部構成で出題。中日、日中の翻訳問題はなく、実践的な中国語検定評価として1000点満点のスコア方式を採用している。きめ細かく能力が測定できるため何度でも受験し、学習目標を立て、能力のバロメーターとして活用できる。

 回答は4択マークシート方式

日常で目にし、耳にし、口にする中国語が素材となるので、問題そのものは「普通話」となるが、設問は日本語で案内。音声弁別能力、文法力、語彙力、読解力、会話形成力、難解力などを踏まえた「8パターン」の出題形式により、総合的な中国語コミュニケーション能力を測定する。英語検定で例えるなら「TOEIC」のような出題イメージだ。

自分の実力が数値で見られるので、今自分がどのレベルにあるかを測るのにオススメの検定と言える。

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上海でも個人受験が可能

2017年4月に施行された「外国人来華工作許可」では、中国語能力も評価対象になるため、「HSK」資格取得が条件の項目に追加されたことは記憶に新しい。「HSKK」は、その補助として受験を考えるのが妥当だろう。

今年、上海市では「上海外国語大学」を含む各地で年6回実施する予定だ。受験申請は、指定試験会場である語学学校や大学で受け付けるほか、個人で「漢語考試服務網」からオンライン申請をすることも可能。受験料は「微信支付」で支払える。次回開催は10月14日(日)、申し込みは9月17日(月)まで受け付けている。

 年々増加する受験者

一方の「TECC」は全問マークシート解答方式で、検定初心者でも受験しやすい。一般企業の採用試験では〝「HSK何級以上がビジネスレベルに該当するのか?〟といった反応が見受けられるが、1000点満点でスコアとして算出されるわかりやすさは、対外的にこの検定を選ぶ一つの理由になる。まずは〝中国で普通に生活できる〟レベルであるスコア550点を目指したい。次回開催は12月9日(日)、申し込みは「TECC」公式HPまたは「ハオ中国語アカデミー」上海浦東校にて、10月31日(水)まで受け付けている。

コミュニケーション能力重視の流れから派生した「HSKK」と、スコア制で実力を測れる「TECC」。どちらの検定も、取得後に就ける仕事の幅が広がるほか、試験勉強による語彙力アップが中国語への自信に繋がるだろう。上海で受験する日本人駐在員は、増加の一途をたどる。受験を迷っている人は、これを機に積極的にチャレンジしよう!

 

~上海ジャピオン2018年6月29日発行号

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