ムーディーな火鍋店
上海体育場のすぐ近く、夜であっても…むしろ夜だからこそ大きな存在感を誇る1軒の火鍋専門店がある。
ブルーのネオンに照らし出され、宵闇に「上上謙串串香火鍋」のシルエットが浮かび上がる。店内はムーディーな雰囲気で、大切な仲間と腹を割って話すのにオススメだ。
この店のオーナーは、今をときめく上海出身の歌手ジャッキー・シュエ(薛之謙)。歌唱力だけでなくその甘いマスクが評判となり、タレントや俳優としても活躍中だ。
歌手としての代表作には『認真的雪』や『深深愛過你』などがある。2012年、浦東新区に本店をオープンし各エリアに続々と店舗を展開。
現在では市内5店のほか、北京や杭州にも支店を有する。営業時間は店舗によって異なり、中山南二路と龍華西路の交差点脇にある徐家匯店は、深夜2時まで営業している。
メニューには「薛之謙最愛(ジャッキーのお気に入り)」や「薛之謙推薦(ジャッキーのイチオシ)」といったマーク付き。
また15年から提供を開始した、湯葉や冷凍豆腐などをそろえた「豆腐盛り合わせ」(28元)や、熱々チーズ入りの「チーズエビ団子」(42元)なども人気だ。
オーダーに迷ったらこれらを一通り頼めば間違いない。さらに「チャーハン食べ放題」や「注文から30分以内に提供できなかったメニューをタダに」、
「営業時間内に人気メニューが売り切れたら次回以降に使える50元分の食事券贈呈」など、おもてなしの心も欠かさない。大切な仲間と、夜が更けるまで語らおう。
info
住所:龍華西路585号
TEL:5410-8888
営業時間:11時~翌3時
予算:200元~
ユーモアたっぷり
続いては、洋食レストラン「很高興遇見你」。中国の現代作家として知られる韓寒の開いた店だ。この店は、なんと市内に20軒以上もの店舗を展開している。
今回紹介するのは、ラストオーダーが深夜1時半という淮海中路の店舗だ。
韓寒は〝80後(1980年代生まれ)〟の大物として、雑誌『亜洲周刊』や『新世紀周刊』などのメディアにも、注目の著名人として取り上げられるなど、知名度抜群の上海人だ。
代表作は『三重門』や『零下一度』など。また昨年には、自らメガホンを執り、映画『後会無期』を製作、プロのレーサーとしても活躍するなど、経歴に事欠かない。
そんな彼の開いた同店は、隠れ家的な内装で取ってもオシャレ! 店名の「很高興遇見你」は「あなたに会えてうれしい」という意味の中国語で、韓寒が編集した芸術本の書名から取ったもの。
メニューはかわいらしい料理のイラスト付きで、「来自星星的炸鶏」(49元)や「あの那些年錯過的烤羊排」(88元/本)など、聞き覚えのある映画や小説の名称をもじった料理名が並ぶ。
料理を選ぶつもりが、いつの間にかその名前に楽しく見入ってしまう。オーダーする段階からもうワクワクが止まらない。
料理が来てからも、色鮮やかなソースや、イラスト通りのキュートな盛りつけに目が釘付けに。味も工夫されており、特に「那些年錯過的烤羊排」はフルーティーなソースがよく合う。
深夜でも、友人やカップルで気軽に楽しめる洋食店へレッツゴー♪
info
住所:淮海中路776号栗時代3階
TEL:3368-7068
営業時間:11時~翌2時
予算:120元~
有名人と会えるかも
3つ目の「辣府火鍋」は上海東方伝媒集団有限公司(SMG)の著名司会者・丁暁峰が、2011年にオープンさせた火鍋料理店だ。
メディア業界に身を置く丁暁峰は顔も広く、スン・リー(孫儷)やカリーナ・ラウ(劉嘉玲)、ジャッキー・ウー(呉宗憲)、ダン・チャオ(鄧超)など、著名人がしばしば訪れると言われる。運が良ければ、アノ人に会えるかも?
現在では、徐家匯、金沙江路、打捕橋など市内6カ所に展開し、杭州や北京にも支店を持つ。しかも、どの店舗も深夜まで営業しており、深夜0時頃でも客が途切れない盛況ぶりだ。
早めに行って長居するのにも便利なので、最寄りの「辣府火鍋」を見つけておくと、宴会などでも困らない。
写真の嘉善店は、嘉善路の尚街LOFTの向かいにあり、少し奥まったところにあるが、ひと際カラフルに点灯するネオンが目印だ。
店内に足を踏み入れると、九官鳥が「ニーハオ」と迎えてくれる。この店のコンセプトは「本格的な四川料理を食べてほしい」というもの。
こだわっているだけあって、辛いモノ好きには堪らない絶品火鍋を楽しめる。もう。
辛さは調整できるが、苦手な人は「白湯」を選ぶと良いだろう。火鍋の味を存分に味わうためには、野菜や豆腐などのサッパリした食材をオススメしたい。
タレはゴマダレや魚醤など20種以上から好みでブレンドできる。それでも辛さが足りないという人は、最初に配られるラー油を使おう。
火を噴くような辛さに、それでも止められない本場のヤミツキ火鍋を召し上がれ!
info
住所:嘉善路508号
TEL:6433-7217
営業時間:11時~14時、17時~翌2時
予算:150元~
おふくろの味をどうぞ
4件目に紹介するのは、淮海中路にある台湾料理店「小城故事」。ここは、アクションスターとして中華芸能界にその名を轟かせるエディ・ポン(彭于晏)の母親がオーナーを務める中華料理店だ。
入り口付近にエディが表紙を飾る雑誌が多数置かれているのは、母親の愛情なのだろうか。
ここでは、中国台湾の家庭料理を提供している。暑い季節にうれしい冷麺「台式涼麺」(39元)や「開鍋肉」(52元)などは野菜たっぷり。
また、まろやかなテイストの「酸辣湯」(39元)は、深夜の疲れた胃袋に、じんわりと染み渡る。
そして実はここ、スイーツも絶品なのだ。夜に甘いものがほしくなったら、ここの「香烤手工布丁氷」(35元)を頼んでみよう。
大きなガラスの皿に、かき氷がどーんと盛られ、そのうえに2つのプリンが乗った豪快なスイーツ。
しかし、スプーンですくってひと口食べれば、見た目に反して丁寧に、繊細に作られたものだとわかる。かき氷のキンッ! とした刺激の後、ミルクの優しい味が口の中に広がり、そのギャップに再び驚かされる。
そこに、黒蜜と練乳のシロップをかければ、3度目の衝撃にもうメロメロ! 運ばれてきた時には「ちょっと大きいかな?」と感じたかき氷&プリンがあっという間に胃袋の中へ。
「香烤手工布丁氷」のほかにも、「南瓜餅(パンプキンペストリー)」(10元/6個)や「日式銅鑼焼(日本風どら焼き)」などをそろえる。
日本人好みの味付けで、昼も夜も来客が絶えない。上海国際映画祭に出品された、エディの新作映画『激戦 ハート・オブ・ファイト』の話題で盛り上がりつつ、本場の台湾料理をいただこう!
info
住所:淮海中路1414号1階
TEL:6431-8107、6431-8027
営業時間:11時~24時
予算:110元
記念館付属のレストラン
ラストを飾るのは、木々に囲まれどこか幻想的な雰囲気が漂うレストラン「龍庭文化餐飲(ドラゴン・オアシス)」。
オーナーはジャッキー・チェン、数えきれないほどのカンフー映画に出演し、自身でも監督として腕を振るう、言わずと知れた中国香港の大スターだ。
彼について、これ以上の説明は不要だろう。普陀区には、彼の功績や資料を集めた記念館「成龍電影芸術館(ジャッキー・チェン映画芸術館)」がある。
ジャッキーが約6億5000万円の私財を投じて建設。実は、ここを建設したのは、映画『プロジェクトA』の落下シーンの撮影で失敗し、死に直面したことがきっかけだという。
死が実感できたとき、「自分の生きた足跡を残したい」と感じたそうだ。そして、「ドラゴン・オアシス」はその敷地内に佇んでいる。
ここでは、食べるのがもったいなくなるような盛り付けに、幸せなため息が漏れる。
そのうえ使用する食材は、食物繊維豊富なレンコンや、脂肪分が低く良質な子牛、ビタミンやミネラルがバランスよく含まれているナマコなど、消化に良く、滋養強壮に役立つものばかり。
コース料理は1人当たり688~1180元と高めだが、それに見合うだけの上質な料理、食器、内装を提供している。
暗くなるまで映画記念館を巡り、最後の締めにこの「ドラゴン・オアシス」で夕食を摂る…ジャッキーファンには忘れられない贅沢な1日を過ごせるだろう。
info
住所:雲嶺東路88号成龍電影芸術館3号楼
TEL:6155-7788
営業時間:11時~22時
予算:600元~
~上海ジャピオン2015年6月19日発行号