街角に繰り返し響く音声で危険をお知らせ
日本でもお馴染みの①は、トラックなどの大型車両がバックしている時に繰り返し流される音声。これが聞き取れないと、背後から迫り来るトラックに気がつかないという危険性もあるので、覚えておこう。
そして、街中で①と同じくらいリピートされているのが、②の廃品回収業者の音声。アパートの低層階に住んでいると、休日の惰眠をこの音声に妨げられた、という経験がある人も少なくないのでは?
③は、飛び出し事故防止の感知式警告放送。歩道からはみ出している人がいると、音声が流れる仕組みだ。設置数はまだ少なく物珍しいのか、どこまでセーフかと手や足で探る人も多いが、いつまでも繰り返される女性の声が憐れに思えてくる…。大人しく後ろに下がってお待ちいただきたいものだ。
聞き漏れている単語は?エスカレーターに注意
どんどん路線を増やしつつある地下鉄/軌道交通。通勤など日常的に使用している人も多いと思うが、車内で流れている音声案内をどこまで聞き取れているだろうか? 大部分はさほど難易度が高くないのだが、①に出てくる「闸机」などは、意外と盲点かもしれない。
中国ではエスカレーター事故が頻発しており、今年7月に湖北省のデパートで女性がエスカレーターに巻き込まれ死亡した事故はまだ記憶に新しい。市内でも事故防止を強化しているため、乗降口では絶えず③が流れている。
タクシーアプリ〝滴米″バス車内では上海語も
すっかり定着したタクシー配車アプリ。乗車してからも運転手がアプリを起動しっぱなしにしていると、スマホからひっきりなしに④の音声が鳴り響く。一方、アプリをオフにする時は「停止接单了(アプリを停止します)」という音声が流れる。
文中の〝滴米″とは、タクシー配車アプリ「滴滴打車」を使用する運転手が獲得するポイントのこと。走行距離が長く、道路状況が良好な場合はポイントが引かれ、逆に距離が短く、道が渋滞していると加算される。そして乗客から同距離に2台の車両がいる場合はポイントの多い方が優先される、という仕組みだ。
最後は公共バスの車内で流れる音声。交通カードが普及してからは、コインの投入ではなくカードをスキャンする方が主流だが、⑦からわかるように車内での音声は変わっていない。変わった点といえば、2011年末から、共通語、英語に加え、上海語での放送も追加されたことだろう。ちなみに、70歳以上の上海市民は「老年卡」が交付され、無料で乗車できる。
警察からの注意喚起年末は気を引き締めて
中国で生活するとなれば、ほぼ確実に銀行口座の開設が必要だ。そして開設後は、多額の両替やカード紛失などの場合を覗き、日常的な現金引き出しや預け入れなどはすべて、窓口ではなくATMで用を足すことになるだろう。もちろん、画面には英語の案内表示もあるし、中国語ができない人でも、基本動作さえ覚えてしまえば、特段困らず使用できる。
だが気になるのは、ATMボックスに足を踏み入れた途端、時には女性の声で、また時には男性の声で、耳に飛び込んでくる音声案内。しかも結構な長セリフだ。何を言ってるかと思えば、詐欺被害に遭わないように、との警備からの注意喚起だった。
年末に窃盗や引ったくりなどの犯罪が増えるのは、日本だけでなく中国も同様。今まで聞き流していた音声メッセージに耳を傾け、気を引き締めよう。
上海語? 日本語? 有名な謎のフレーズ
新装開店、もしくは閉店セール中の店でよく使われる①。意味は上記の通りだが、感覚としては「さあさあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!」といったところだろう。韻を踏んでいるので、耳に心地よい。
②は、街でよく見かけるジューススタンドで、必ず聞かれる一言。ファストフード店では、「这里吃还是打包」になる。
そして、番外編の上海語フレーズ。2008年に浜崎あゆみが上海コンサートを開いた際、司会者が「上海語は日本語と発音が近いんですよ」と前置きし、このフレーズを彼女に披露したんだとか。全く日本語が話せないはずの上海人が得意気に「俺も日本語しゃべれるんだぜ」と言ってきたら、これが飛び出てくるかもしれない。前半はあまり意味を成さないが、確かに後半は「私は」と聞こえなくもない。
~上海ジャピオン2015年12月18日発行号