親孝行のハニカミガール
「てんてん、ほっぺに指当ててみたら?」。
店長の言葉に一瞬困ったような顔を見せながら、
「KOTA’S KITCEN まいど」のてんてんは、人差し指をそっと自分のほほに触れさせた。
「この記事がきっかけで本物のアイドルにスカウトされるかも知れないぜ」。
冗談交じりに持ち上げられると、はにかんで笑う。
照れ屋なのは昔からだとか。
それでも「仕事のおかげで前より人と話せるようになった。
そうじゃないとサービス業は生き残れないから」と、訥々と語る。
お客さんと記念写真
中学卒業後、内陸部の重慶から同郷の先輩を頼り上海へ。
しばらくほかの日本料理店で働いていたが、昼は日本語学校、
夜はアルバイトという生活を両立させるため、半年前から現在の店に入店した。
身長は150㌢足らずで、自転車は補助輪がないと乗れない。
そんな子どもっぽさを仲間やお客さんからいじられつつも、可愛がられている。
日本への帰国直前に急遽来店し、「最後に一緒に記念写真を」とカメラを持って来た客もいたほどだ。
仕送り欠かさぬ孝行娘
それでもやるべきことはきっちりこなし、店での信頼は厚い。
「炙りシメサバ」(35元)を仕上げるガスバーナーの手つきも慣れたものだ。
稼いだ給料はできるだけ無駄遣いせず、故郷の両親への仕送りに回している。
「私ももう二十歳。両親にもっと恩返ししていきたい」と頼もしい表情を見せた。
~上海ジャピオン3月19日号より