考える男マートンと哲学の小部屋(トイレ)~ROOM No.3

5ツ星ホテルへ

私は考える男マートン。
人民公園にて思索に耽っていたのだが、
喉が渇いた。
ちょうど近くに、
評判のいい5ツ星ホテルもあるし、
今日はちょっと贅沢をして、
ホテルラウンジで茶を頂くか。
さすが5ツ星ホテル。
雑多で賑やかな通りからメインロビーに入るだけで、
高級感あふれる別世界が広がっている。
…ん? べつせかい? 
…パラレルワールド、平行世界…面白いテーマだ。
早速小部屋(トイレ)へ!

パラレルワールド

ドアを開けて一歩足を踏み入れた瞬間、
私の身体に衝撃が走った。
手洗い場の壁には、幾筋のラインがクロスしている。
そして便座用個室には、
真直ぐのライン1本のみ。
モスグリーンと黒、金色で彩られ、
一見単なるスタイリッシュでシャレた空間だが、
大きな意味が隠されている。
手洗い場のラインは交わっており、
干渉し合う世界、つまり我々の現実を表す。
そして個室の1本のラインは平行世界、
つまりパラレルワールドを示しているのだ。
これは、小部屋(トイレ)は、
現実とは違うもう1つの世界であるという
主張に他ならない。
…正直、このホテルがここまで高次元な
哲学を持っていたとは考え付かなかった。
さすがは5ツ星だ。
ありがとう、いい小部屋(トイレ)であった。

?~上海ジャピオン05月11日号

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