考える男マートンと哲学の小部屋(トイレ)~音(yin)

光陰矢のごとし
私は考える男マートン。
近頃は日没も早く、
時の流れの早さを実感する。
気を引き締め、
自覚的に日々を過ごさねばな、
と考えつつ歩いていたら、
衡山路に辿り着いた。
この通りは、飲食店が並んで活気があるな。
ほぉ、この店、
現代風の上海料理が特色とな。
腹も減ったし、入ってみよう。
早速、エビ炒めに春巻きを注文して、と。
では、料理が来るまで、
小部屋(トイレ)で哲学し、
時間を有効活用するか。

ニーチェの哲学
なんと! 
洗面台には、可憐な白ユリが置かれ、
壁には人々の生活をとらえた
写真が飾られる。
一見、何の変哲もない上品な空間だが…
私にはわかる! 
ユリは、飲むと〝永遠の命〟が手に入る、
ギリシャ神話の女神ヘラの乳が
こぼれて生まれた花。
そして、瞬間を切り取る写真、
これを丁重に額縁に収めることで、
一瞬一瞬を大切に過ごす意志を表すのだ。
この哲学…同じ時を繰り返す
「永劫回帰」と、
それを肯定的にとらえ、
自由意志をもって生きる「超人」の
思想を説いた、
哲学者ニーチェの考えにつながる。
私の現在の哲学テーマにピッタリだ。
今日は、彼の著作を読み、
その哲学を再考しよう。
ありがとう、
いい小部屋(トイレ)であった。

~上海ジャピオン2012年11月16日号

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