おせっかいマートン
私は考える男マートン。今日は瑞金路のトルコ料理店にきている。
どの料理もボリューム満点で、特に肉を満喫するにはもってこいだな。ん? 隣の席の夫婦がケンカを始めたようだ。何々? 夫がウェイトレスに色目を使った? ふむ。夫は妻を嫉妬深いとなじるし、どうも収拾がつかんな。何か助言をしてやれたらいいのだが…。小部屋(トイレ)に行ってこよう。
スミレの神話の哲学
手洗い台前の鏡にはスミレの花、個室扉にはネコの恋人のステッカーが貼られている。恋人、スミレときたら、ギリシャ神話の最高神・ゼウスとイオの伝説を思い出す。浮気性のゼウスは、妻がありながら、清らかな乙女・イオに恋をする。彼の妻は、嫉妬深いことで有名な女神・ヘラだ。ある日、2人が一緒にいるところにヘラが通りかかり、ゼウスは、この恋がばれることを恐れ、イオを牛に変えてしまう。牛は雑草しか食べられないため、哀れに思ったゼウスは、彼女の食用にスミレを作ったという。
…イオもとんだ災難だな。常識的に考えても、哲学的に考えても、やっかいな夫婦には関わらないのが一番なようだ。私も彼らにアドバイスなどせず、このまま帰ろう。ありがとう、いい小部屋(トイレ)であった。
~上海ジャピオン2013年6月7日号