小さな額の中の〝世界〟
渡邉さんの紹介で伺ったのは、ミニチュア粘土教室に通う岸本さん。
作品が完成したときの喜びは格別だそう。
上海で出会った
ミニチュア粘土
30㌢に満たない小さな額の中、キッチンシェルフにずらりと並ぶガラス瓶。
床には、じゃがいもや、かぼちゃが転がって…。
岸本美智代さんが、2年前に始めたミニチュア粘土は、ぬくもりに満ちた世界がつまっている。
「とにかく、小さく、きゅっと作られたものが好き」と話す美智代さん。
独身時代から、いつかドールハウスを自分で作り、ひな人形代わりに飾りたいと考えていた。
しかし、仕事や結婚、出産などで、実行にうつすことのないまま時が過ぎ、3年前に上海へ――。
そして、上海に来て間もない頃、友人の家で偶然に見つけたのがミニチュア粘土。
すぐに習いたい、と思ったものの、当時は生活基盤を整えることで精一杯。
1年後、生活がようやく落ち着くと教室に通い始めた。
まずは、直径1㍉、2㍉の粘土の玉を作ることから練習。
小さいものを作るだけに、わずかな計量の差が、サイズや色に大きな違いとなってあらわれる。
最初は野菜、それからパン、ケーキ、キッチン、おもちゃと課題をこなしていった。
教室で作った野菜やおもちゃのミニチュア粘土
教室で過ごした時間も
上海生活の思い出に
簡単な作業は、みんなでワイワイとおしゃべりしながら。
ところが、難しい作業にかかると、手元に集中するため、教室内は、シンと静まりかえる。
「そこで上手くいかないと、誰かがはあーっとため息をついて、みんなが笑ったり。仲間とのやりとりも楽しくて」
3月末に本帰国する美智代さんは、できれば日本でもミニチュア粘土を続けたいと考えている。
ずっと憧れているドールハウスも、ミニチュア粘土を学んだことで、実現に近づいた気がする、と笑顔を浮かべた。
上海で、フラワーアレンジの講師資格も取った
岸本美智代さん
⇒NEXT WEEK
南米の民族音楽、フォルクローレを
仲間と楽しむ高橋さん
~上海ジャピオン3月13日 発行号より