ユーシアンロウスー
魚香肉絲
~四川省成都市~
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ピリリと辛い魚香肉絲は、レストランで1皿20元程度
香りはすれども姿は見えず
節約の心が生み出した料理
四川料理といえば辛いもの。
その中でも、代表的な家庭料理として、昔から庶民に広く親しまれているのが、
「魚香肉絲(豚肉のピリ辛炒め)」だ。
その字面から、魚料理なのか? と誤解する人もいると思うが、入っているのは豚肉のみ。
魚は一切使われていない。
ではなぜこのような名前が付けられたのか?
その謎を紐解くと同時に、誕生の由来に迫ってみよう。
南北時代に創建された文殊院
いつの時代か定かではないが遥か昔、今の四川省成都市に商売人の一家がいた。
彼らは魚が大好物で、毎日魚を食べるだけでなく、魚に合う調味料の研究を日々行っていた。
その多くは魚の臭みを取るためのもので、ネギ、ショウガ、にんにく、酒、酢、醤油などが主だった。
そんなある日、妻が夕食の支度をしようとしたところ、
ふと昼に作った魚料理のタレが残っているのを目にした。
妻は調味料を無駄にすまいと、それで豚肉の炒め物を作ったのだ。
しかし作ってみたはものの、美味しいかどうか、自信がなかった。
そこへ帰宅した主人がその料理を食べると、「この料理はどうやって作ったんだ!?」と妻に詰め寄った。
やはり不味かったのかと妻が狼狽すると、事実はその逆。
あまりにも美味かったから聞いたのだという。
妻が一部始終を話すと、2人はその調味料をあらゆる料理に応用してみることに。
するとどれもこれもすこぶる美味い。
そこで、魚料理に用いた調味料を使ったことから、「魚香」と名づけ、やがて四川、全国へと広まっていったのだ。
魚香肉絲やほかの様々な「魚香」料理を、一家の妻に倣って、一口残らず平らげに行こう。
【アクセス】
①上海浦東空港から成都まで飛行機で約3時間
②上海駅または上海南駅から空調普通快速に乗り、成都駅まで。約35時間、硬座257元~
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~上海ジャピオン10月15日号より